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【2025年最新】住居確保給付金(転居費用補助)とは?引っ越し費用を補助!対象者・申請方法を解説

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「仕事を辞めて収入が減り、今の家賃が払えない…」「家計を立て直すために引っ越したいけど、初期費用がなくて困っている」そんな悩みを抱えていませんか?この記事では、そんなあなたのための公的支援制度「住居確保給付金(転居費用補助)」について、どこよりも分かりやすく解説します。この制度は、経済的な理由で住まいを失うおそれのある方が、家計を改善するために転居する際の費用を補助してくれる心強い味方です。対象者の条件から支給額、申請方法、必要書類まで、この記事を読めば全てがわかります。一人で悩まず、まずは制度を正しく理解し、新たな一歩を踏み出す準備を始めましょう。

この記事のポイント

  • 住居確保給付金(転居費用補助)の全体像がわかる
  • 自分が対象になるかの条件(収入・資産要件)をチェックできる
  • 具体的な支給額や対象経費がわかる
  • 申請から支給までの流れと必要書類を完全に理解できる
  • 採択されるためのコツや注意点がわかる

住居確保給付金(転居費用補助)とは?

制度の概要と目的

住居確保給付金(転居費用補助)は、生活困窮者自立支援法に基づき、国が設けている公的な支援制度です。主な目的は、離職や収入の減少によって経済的に困窮し、住まいを失うおそれのある方が、より家賃の安い物件へ引っ越すなどして家計を立て直すことを支援することです。具体的には、転居に必要な初期費用(礼金、仲介手数料など)や引越し代などを補助してくれます。

この制度は、単にお金を給付するだけでなく、専門の相談員(家計改善支援員)があなたの状況をヒアリングし、一緒に家計の見直しや生活再建の計画を立ててくれる「伴走型支援」である点が大きな特徴です。

従来の「家賃補助」との違い

住居確保給付金には、以前からある「家賃補助」と、新たに追加された「転居費用補助」の2種類があります。それぞれの違いを理解しておきましょう。

  • 家賃補助:現在の住まいの家賃の一部を、原則3ヶ月(最長9ヶ月)補助する制度。求職活動を行うことが主な要件です。
  • 転居費用補助:家計改善のために転居が必要な場合に、その引っ越し費用(初期費用など)を一括で補助する制度。家計改善支援を受けることが主な要件です。

この記事では、後者の「転居費用補助」について詳しく解説していきます。

支給額はいくら?自治体ごとの上限額をチェック

支給される金額は、実際に転居にかかる費用のうち、対象となる経費の実費です。ただし、無制限に支給されるわけではなく、世帯人数や転居先の自治体によって上限額が定められています。

この上限額は、生活保護制度の「住宅扶助基準額」を基に算出されることが多く、自治体ごとに異なります。以下にいくつかの自治体の例を挙げますので、参考にしてください。

世帯人数 鎌ケ谷市(千葉県)の上限額 太宰府市(福岡県)の上限額 中野区(東京都)の上限額
単身世帯 159,000円 96,000円 279,200円
2人世帯 171,000円 114,000円 300,000円
3人世帯 186,000円 123,300円 324,000円

※上記はあくまで一例です。正確な金額は必ずお住まいの(または転居先の)自治体の相談窓口にご確認ください。

あなたは対象?詳細な支給要件を徹底解説

この給付金を受けるためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、特に重要な「収入要件」と「資産要件」、そして「家計改善に関する要件」について詳しく見ていきましょう。

基本的な対象者

まず、以下のいずれかに該当する方が基本的な対象となります。

  • 離職または事業を廃止してから2年以内の方
  • ご自身の責任や都合によらない理由で休業などを余儀なくされ、収入が離職・廃業と同程度まで減少した方
  • 申請の時点で、世帯の生計を主として維持していた方

収入要件

申請する月の世帯全員の収入合計額が、自治体の定める「収入基準額」以下である必要があります。収入には、給与(交通費を除く)、事業所得、年金、失業手当、各種手当などが含まれます。

収入基準額は、「基準額 + 家賃額(上限あり)」で計算されます。これも自治体によって異なります。

資産要件

申請日時点での世帯全員の金融資産(預貯金、現金、株式など)の合計額が、自治体の定める「資産上限額」以下である必要があります。

資産上限額は、「基準額 × 6」(ただし100万円が上限)で計算されるのが一般的です。

【最重要】家計改善に関する要件
この給付金で最も重要なのが、「転居することが家計の改善に必要である」と認められることです。そのためには、お住まいの自治体の「自立相談支援機関」で専門の相談員による「家計改善支援」を受けることが必須となります。相談員と一緒に家計の状況を確認し、転居によって家計全体の支出が削減できると判断された場合に、申請に進むことができます。

何に使える?対象となる経費・ならない経費

補助の対象となる経費、ならない経費は明確に決まっています。事前にしっかり確認しておきましょう。

支給対象となる経費

  • 転居先の住宅の初期費用(礼金、仲介手数料、家賃債務保証料、住宅保険料など)
  • 転居先への家財の運搬費用(引越し業者代)
  • ハウスクリーニングなどの原状回復費用(転居前の住宅も含む)
  • 鍵交換費用

支給対象とならない経費

  • 敷金(退去時に返還される可能性があるため)
  • 契約時に支払う家賃(いわゆる前家賃
  • 家財や設備(エアコン、照明器具など)の購入費

申請から支給までの5ステップ

申請手続きは、一般的な補助金とは少し異なります。以下の流れをしっかり把握しておきましょう。

  1. Step1: 自立相談支援機関への相談
    まずはお住まいの市区町村にある「自立相談支援機関」に連絡し、相談の予約をします。生活の状況や困りごとを正直に話しましょう。
  2. Step2: 家計改善支援と転居の必要性の判断
    専門の相談員と一緒に、家計の収支状況を確認します。その上で、転居することが家計の改善に繋がるかを判断してもらいます。必要と認められれば「住居確保給付金要転居証明書」が発行されます。
  3. Step3: 必要書類の準備と申請
    証明書が発行されたら、その他の必要書類を揃えて正式に申請します。同時に、転居先の物件探しも進めます。
  4. Step4: 自治体による審査
    提出された書類を基に、自治体が支給要件を満たしているか審査を行います。
  5. Step5: 支給決定と業者への振込
    審査に通ると支給が決定されます。給付金は、原則として申請者本人ではなく、不動産会社や引越し業者などの口座へ自治体から直接振り込まれます(代理納付)。

【注意】時間に余裕を持った相談を!
最初の相談から家計改善支援、書類準備、審査を経て、実際に給付金が振り込まれるまでには1ヶ月〜2ヶ月以上かかることが一般的です。物件の契約などを急ぐ前に、まずは早めに自立相談支援機関へ相談することが非常に重要です。

申請に必要な書類一覧

申請には多くの書類が必要です。事前に準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。以下は一般的な必要書類の例です。

  • 住居確保給付金支給申請書(窓口で配布)
  • 住居確保給付金申請時確認書(窓口で配布)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 収入が確認できる書類(世帯全員分の給与明細書、預貯金通帳の写しなど)
  • 資産が確認できる書類(世帯全員分のすべての預貯金通帳の写しなど)
  • 離職や収入減少が確認できる書類(離職票、解雇通知書、シフトが減少したことがわかる書類など)
  • 住居確保給付金要転居証明書(自立相談支援機関が発行)
  • 入居予定住宅に関する状況通知書(不動産会社に記入を依頼)
  • 現在の住まいの賃貸借契約書の写し

※自治体によって必要書類は異なります。必ず事前に相談窓口で確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相談から支給までどのくらいかかりますか?

A1. 自治体や申請状況によりますが、最初の相談から家計改善支援、申請、審査を経て、実際に振り込まれるまで1ヶ月〜2ヶ月以上かかることが多いです。時間に余裕を持って、できるだけ早く相談を開始することをおすすめします。

Q2. 転居先の家賃が今より高くなっても対象になりますか?

A2. はい、対象になる可能性があります。例えば、転居によって職場や病院に近くなり、交通費が大幅に削減されるなど、家計全体の支出が改善されると判断されれば、家賃が多少上がっても認められる場合があります。これは家計改善支援の中で相談員と一緒に検討します。

Q3. どこに相談すればいいですか?

A3. お住まいの市区町村が設置している「自立相談支援機関」が相談窓口です。市役所や区役所の福祉担当課に問い合わせるか、下記のリンクから全国の窓口を探すことができます。
全国の自立相談支援機関の一覧(みんなつながるプロジェクト)

Q4. 無職でも申請できますか?

A4. はい、離職・廃業された方が主な対象ですので、申請時点で無職であっても問題ありません。ただし、この制度は生活の自立を支援するものですので、家計改善支援の中で、今後の生活設計について相談員と一緒に考えていくことになります。

Q5. 一度受給したら、もう二度と受けられませんか?

A5. いいえ、再支給の制度があります。受給後にやむを得ない理由(本人の責任によらない離職など)で再び収入が著しく減少し、前回の支給終了から1年以上経過しているなどの要件を満たせば、再度申請できる場合があります。詳しくは相談窓口にご確認ください。

まとめ:一人で悩まず、まずは専門窓口へ相談を

今回は、収入減少で住まいの確保が難しくなった方を支える「住居確保給付金(転居費用補助)」について解説しました。

【重要ポイントの再確認】

  • 離職や収入減で困窮し、転居で家計が改善する方が対象。
  • 礼金や仲介手数料、引越し代などが補助される(敷金・前家賃は対象外)。
  • 収入・資産要件があり、自治体ごとに基準が異なる。
  • 申請には「自立相談支援機関」での家計改善支援が必須。
  • 相談から支給まで時間がかかるため、早めの行動が鍵。

経済的な困難に直面すると、将来への不安から視野が狭くなりがちです。しかし、あなたを支えるための公的な制度は確かに存在します。この制度は、単なる金銭的な支援だけでなく、あなたの生活再建を専門家が一緒に考えてくれる貴重な機会です。

もしあなたが対象かもしれないと感じたら、どうか一人で抱え込まず、勇気を出してお住まいの地域の自立相談支援機関に連絡してみてください。そこから、新しい生活への道がきっと開けるはずです。