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「自宅の裏にある大きな木が、台風や大雨で倒れてこないか心配…」「隣の土地の木が枯れていて危ないけど、伐採費用が高そうで手が出せない…」そんなお悩みを抱えていませんか?実は、多くの自治体で、そのような危険な木の伐採費用を補助してくれる制度があることをご存知でしょうか。
この制度を活用すれば、高額になりがちな伐採費用を大幅に抑え、ご自身やご家族、そして近隣住民の安全を守ることができます。この記事では、全国の自治体で実施されている「危険木伐採補助金」について、制度の概要から対象となる木、補助金額、申請方法、そして審査に通るためのポイントまで、どこよりも詳しく解説します。京都市や豊田市などの具体的な事例も交えながら、あなたの「知りたい」にすべてお答えします。
この記事のポイント
✅ 危険木伐採補助金の目的や概要がわかる
✅ 自治体ごとの補助金額や補助率の事例がわかる(最大50万円の例も!)
✅ 補助金の対象となる人・木・経費の条件がわかる
✅ 申請から補助金受け取りまでの具体的な流れがわかる
✅ 審査に通りやすくなる申請のコツがわかる
危険木伐採補助金とは?
制度の目的と背景
危険木伐採補助金は、台風、豪雨、地震などの自然災害によって樹木が倒れ、住宅への被害や道路の寸断、電線などのライフラインへの影響が出ることを未然に防ぐことを目的とした制度です。近年、気候変動の影響で自然災害が激甚化・頻発化しており、倒木による被害リスクが高まっています。そこで、多くの市区町村が、住民の安全な生活環境を守るために、危険な木の伐採費用の一部を補助する事業を実施しています。
この制度は、個人の負担を軽減し、自主的な防災対策を促進する重要な役割を担っています。
実施している組織
この補助金は、国ではなく、主にお住まいの市区町村が実施しています。担当部署は自治体によって異なり、「防災課」「森林課」「農林課」「環境保全課」「道路管理課」などが窓口となることが多いです。ご自身の自治体で制度があるか調べる際は、これらの部署に問い合わせてみるのが良いでしょう。
補助金額・補助率の具体例
補助される金額や割合は、自治体によって大きく異なります。ここでは、いくつかの自治体の事例を比較してみましょう。お住まいの地域を考える際の参考にしてください。
| 自治体名 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 愛知県豊田市 | 対象経費の4分の3以内 | 50万円 | 非常に手厚い補助内容(※令和7年度は受付終了) |
| 京都市 | 対象経費の75%以内 | 30万円 | 土地1筆当たりの上限 |
| 栃木県下野市 | 対象経費の2分の1以内 | 20万円 | 伐採、撤去、処分費用が対象 |
| 長野県飯田市 | 対象経費の2分の1以内 | 15万円 | 市が管理する道路や河川への影響が対象 |
| 神奈川県秦野市 | 対象経費の2分の1以内 | 10万円 | 伐採、撤去、処分費用が対象 |
このように、補助率や上限額は様々です。例えば、伐採費用が60万円かかった場合、豊田市では上限の50万円が補助される可能性がありますが、秦野市では上限の10万円となります。ご自身の自治体の制度をしっかり確認することが重要です。
補助金の対象者・条件
誰でも申請できるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。一般的な条件を見ていきましょう。
対象となる人(申請者)
- 危険木がある土地の所有者
- 危険木によって直接的な被害を受ける恐れのある住宅の所有者や居住者
- 地域の自治会や町内会
多くの場合、土地の所有者でなくても、隣接地の木によって自宅に被害が及ぶ可能性がある場合に申請できます。ただし、その場合は土地所有者の同意書が必要になるのが一般的です。また、市税などを滞納していないことも条件とされる場合がほとんどです。
対象となる危険木
どのような木でも対象になるわけではありません。「危険木」と判断されるには、客観的な基準があります。
危険木の主な判定基準
- 大きさ:樹高5m以上、胸高直径20cm以上など、一定の大きさを超えていること。
- 位置:倒れた場合に、住宅や公道、河川、鉄道、電線などに被害を及ぼす範囲にあること。(例:住宅から5m以内など)
- 状態:以下のような異常が見られること。
- 傾き:不自然に大きく傾いている(例:20度以上)。
- 枯れ:葉の大部分が枯れている、変色している。
- 腐朽・空洞:幹にキノコが生えている、大きな空洞や亀裂がある。
- 病害虫:根元に木くずが溜まっている、樹皮が剥がれている。
これらの基準は自治体によって細かく定められています。申請前に市の担当者による現地確認が必要な場合もあります。
補助対象となる経費・ならない経費
補助金の対象となる経費の範囲も重要です。間違えると補助額が減ってしまう可能性があるので、しっかり確認しましょう。
対象となる経費
- 危険木の伐採に要する費用(専門業者への委託費)
- (自治体による)伐採した木の撤去や処分に関する費用
対象とならない経費
- 自分で伐採した場合の費用(重機レンタル代や人件費など)
- 枝打ち(剪定)や抜根(根を掘り起こす作業)に要する費用
- 伐採した木を売却した場合の売却額
- 消費税
- 既に倒れてしまった木の処理費用
特に重要なのは、専門業者に委託することが前提である点です。また、自治体によっては伐採後の木の処分費用は対象外となるケース(京都市、豊田市など)もあるため、見積もりを取る際に内訳を明確にしてもらう必要があります。
申請方法と手順(ステップ・バイ・ステップ)
補助金を受け取るまでの流れを、一般的なステップに沿って解説します。最も重要な注意点は「必ず伐採作業を始める前に申請し、交付決定通知を受け取ること」です。事後の申請は絶対に認められません。
- ステップ1:自治体の担当窓口へ事前相談
まずは「〇〇市 危険木 補助金」などで検索し、担当部署に電話で相談します。対象となるか、どのような手続きが必要かを確認しましょう。 - ステップ2:専門業者から見積もりを取得
造園業者や林業組合など、伐採を専門とする事業者に見積もりを依頼します。自治体によっては2社以上の相見積もりを求められる場合(下野市など)があるので、事前に確認しましょう。 - ステップ3:申請書類の準備と提出
自治体のホームページから申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。一般的に以下の書類が必要です。- 交付申請書
- 事業計画書、収支予算書
- 見積書の写し
- 危険木の状況がわかる写真(全景、傾き、腐朽部分など)
- 場所がわかる地図(位置図)
- 土地所有者の同意書(申請者と所有者が異なる場合)
- 市税の納税証明書または調査同意書
- ステップ4:交付決定通知の受領
提出された書類を自治体が審査し、補助金の対象として認められると「交付決定通知書」が送られてきます。この通知を受け取るまで、絶対に業者と契約したり、作業を開始したりしないでください。 - ステップ5:伐採作業の実施
交付決定通知を受け取ったら、見積もりを依頼した業者に正式に伐採を依頼し、作業を実施してもらいます。 - ステップ6:実績報告書の提出
作業が完了したら、自治体に「実績報告書」を提出します。以下の書類を添付するのが一般的です。- 実績報告書、収支精算書
- 業者への支払い領収書の写し
- 作業前と作業後の写真
- ステップ7:補助金額の確定と請求
実績報告書を審査し、補助金額が最終的に確定されると「額の確定通知書」が届きます。その後、「交付請求書」を提出します。 - ステップ8:補助金の受領
請求書に基づき、指定した口座に補助金が振り込まれます。申請から振込まで数ヶ月かかる場合もあります。
採択されるためのポイントと注意点
申請すれば必ず補助金がもらえるわけではありません。予算には限りがあり、審査も行われます。採択率を上げるためのコツを知っておきましょう。
審査に通るための3つのコツ
- 危険性を客観的に示す:写真は非常に重要です。木の傾きがわかるように少し離れた場所から撮った写真、幹の空洞やキノコがはっきりわかるアップの写真など、誰が見ても「これは危ない」とわかる証拠を複数枚用意しましょう。
- 見積もりの妥当性を示す:複数の業者から見積もりを取る(相見積もり)ことで、提示された金額が妥当であることを示せます。1社だけの見積もりよりも信頼性が高まります。
- 申請前に必ず相談する:いきなり申請書を提出するのではなく、事前に担当窓口に相談に行くことで、担当者に顔を覚えてもらい、書類の不備なども防げます。熱意も伝わりやすくなるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 隣の家の木が危ないのですが、申請できますか?
A1. はい、申請できる場合があります。多くの自治体で「危険木により住宅に直接的な被害を受ける恐れのある者」も対象者としています。ただし、その木の所有者の「伐採承諾書」が必須となります。まずは木の所有者に相談し、協力して申請を進めるのが良いでしょう。
Q2. 自分の住む市町村にこの制度があるか、どうすればわかりますか?
A2. 最も簡単な方法は、インターネットで「(お住まいの市町村名) 危険木 伐採 補助金」と検索することです。公式サイトの情報が出てくるはずです。見つからない場合は、市役所・区役所の代表電話に電話し、「危険木の伐採を補助してくれる制度について聞きたい」と伝えれば、担当部署につないでもらえます。
Q3. 補助金はいつ、どのようにもらえますか?
A3. 補助金は後払いです。まずご自身で業者に伐採費用を全額支払い、その領収書を添えて実績報告を行います。その後、審査を経て指定の口座に振り込まれます。立て替え払いが必要になる点にご注意ください。
Q4. どの業者に頼めばいいですか?自治体で紹介してくれますか?
A4. 自治体が特定の業者を斡旋することは基本的にありません。ご自身で地域の造園業者、シルバー人材センター、森林組合などを探す必要があります。自治体によっては「市内に事業所を有する事業者」といった条件(豊田市など)がある場合もあるので、確認が必要です。
Q5. 申請期間は決まっていますか?
A5. 自治体によります。通年で受け付けているところもあれば、豊田市のように特定の期間(例:5月1日~6月20日)だけ受け付けているところもあります。また、通年受付でも年度の予算がなくなり次第終了となる場合がほとんどですので、早めに相談・申請することをおすすめします。
まとめ:まずは自治体への相談から始めよう
危険木の伐採は、安全を守るために非常に重要ですが、費用がネックとなりがちです。しかし、今回ご紹介したように、多くの自治体が補助金制度を用意して、その負担を軽減してくれます。
行動へのステップ
1. 自宅周辺に気になる木がないか、改めて確認する。
2. 「(お住まいの市町村名) 危険木 補助金」で検索してみる。
3. 担当部署を見つけ、電話で気軽に相談してみる。
この記事が、あなたとあなたの周りの人々の安全な暮らしを守る一助となれば幸いです。手遅れになる前に、ぜひ行動を起こしてみてください。