本庄市にある使っていない空き家、どうしようか悩んでいませんか? その空き家が、地域を元気にする宝物に変わるかもしれません。本庄市では、空き家を地域コミュニティの拠点として活用するための改修費用を最大100万円補助する「空き家利活用補助金」制度を実施しています。この記事では、制度の概要から対象条件、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、誰にでもわかるように徹底的に解説します。

① 本庄市空き家利活用補助金とは?

本庄市空き家利活用補助金は、市内の空き家を地域コミュニティの促進に資する施設として活用する際の改修費用の一部を市が補助する制度です。単に空き家を減らすだけでなく、市民の住環境向上や地域活性化に繋げることを目的としています。増加する空き家を「負の遺産」ではなく「地域の資源」として捉え、新たな価値を創造するための重要な取り組みです。

制度の背景:本庄市の空き家対策計画

本庄市では、令和3年度から令和7年度までの「本庄市空家等対策計画」に基づき、空き家対策を総合的に推進しています。この計画では、令和7年度の空き家数を2,450戸以下に抑えるという具体的な数値目標を掲げており、本補助金はその目標達成に向けた「空き家等の流通・利活用等の促進」策の柱の一つとなっています。

② 補助金の概要(金額・補助率)

補助金の金額は、対象となる工事費と物件の所在地によって変動します。非常に手厚い内容となっていますので、詳細を確認しましょう。

項目 内容
補助率 補助対象工事に要する費用の3分の2
補助上限額(都市機能誘導区域内) 最大100万円
補助上限額(その他の区域) 最大60万円

※「都市機能誘導区域」とは、本庄市立地適正化計画で定められた区域です。ご自身の物件が対象区域に含まれるか、市の公式サイトや窓口で必ず確認してください。

計算例

  • 例1:都市機能誘導区域内で改修工事費が180万円の場合
    180万円 × 2/3 = 120万円 → 上限額の100万円が補助されます。
  • 例2:その他の区域で改修工事費が90万円の場合
    90万円 × 2/3 = 60万円 → 上限額内の60万円が補助されます。

③ 補助対象の詳しい条件

この補助金を利用するには、「事業」「用途」「空き家」「対象者」の4つの側面で条件を満たす必要があります。

1. 補助対象事業

最も重要な要件です。以下のすべてを満たす事業である必要があります。

  • 地域コミュニティの促進を図ることを目的とする施設として利用するための改修工事であること。
  • 改修後の建物の全部を10年以上継続して活用すること。
  • 営利活動、政治活動、宗教活動、選挙活動を目的としないこと。

2. 補助対象用途

具体的にどのような施設が対象になるのでしょうか。以下に例を示します。

活用用途 具体例
まちづくり活動拠点施設 市民活動・グループ活動を行う施設、貸し会議室など
交流施設 集会所、子ども食堂、高齢者の居場所など
体験学習施設、教育施設 防災体験学習、放課後学習支援施設など
創作活動施設 手工芸、絵画、料理教室などを行う施設
文化施設 美術作品展示施設など
滞在型体験施設 移住体験宿泊施設など

※上記はあくまで例です。これら以外でも地域コミュニティの促進に資すると認められれば対象となる可能性がありますので、まずは市に相談してみましょう。

3. 補助対象空き家

  • 本庄市内に存在すること。
  • 1年以上使用されていないこと。
  • 昭和56年6月1日以降に建築された建物であること。
    (※それ以前の建物でも、耐震性が確保されている、または耐震改修工事を行う場合は対象)
  • 公共事業の補償対象になっていないこと。
  • 国や地方公共団体が所有していないこと。

4. 補助対象者

市税の滞納がない方で、以下のいずれかに該当する個人、法人、または団体が対象です。

  • 空き家の所有者
  • 空き家を売却または賃貸する権利を持つ方
  • 所有者の同意を得て事業を行う方(賃借人や購入予定者も含む)

④ 補助対象となる経費(工事)

補助の対象となるのは、事業を行うために必要な改修工事費用です。具体的には以下の工事が対象となります。

  • 外装工事:屋根、外壁などの改修
  • 内装工事:内壁、床(畳)、天井などの改修
  • 給排水工事:台所、浴室、洗面所、便所などの改修
  • 設備工事:電気、ガス、空調、通信設備などの改修
  • 増改築工事:耐震診断及び耐震改修工事を含む(※全面建て替えは除く)
  • その他の工事:用途変更に伴い法令上必要となる工事、事業に必要な工作物の設置など

【注意】対象外となる経費
エアコン、冷蔵庫、テレビといった家電製品や、パソコン、レジスター、机、椅子などの物品の購入費およびその設置工事は補助の対象外です。あくまで建物本体の改修に関わる費用が対象となります。

⑤ 申請方法と手続きの流れ

申請は、必ず工事着工前に行う必要があります。手続きは以下のステップで進みます。

  1. 事前相談:まずは本庄市役所 都市計画課に事業内容を相談します。(必須)
  2. 交付申請:必要書類を揃えて、都市計画課の窓口に提出または郵送します。
  3. 交付決定:市による審査後、「交付決定通知書」が届きます。
  4. 工事着工:交付決定通知書を受け取ってから、工事を開始します。
  5. 実績報告:工事完了後、30日以内に「完了実績報告書」と関連書類を提出します。
  6. 額の確定・補助金交付:市の検査後、補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。
  7. 活動状況報告:事業開始後、10年間にわたり毎年活動状況を報告します。

申請に必要な書類

申請時には多くの書類が必要となります。事前にしっかりと準備しましょう。

  • 交付申請書(様式第1号)
  • 位置図
  • 補助対象工事に要する費用の見積書
  • 現況写真(建物及び敷地)
  • 登記事項証明書
  • 事業計画書(様式第2号)
  • 法人・団体概要書(法人の場合)
  • 所有者等からの同意書(申請者が所有者でない場合など)
  • 債権者登録申出書
  • その他、市の指示する書類(耐震診断報告書など)

※各様式は本庄市の公式サイトからダウンロードできます。実績報告時にも別途書類が必要となりますので、詳細は公式サイトや事前相談でご確認ください。

⑥ 採択されるための3つのポイント

この補助金は、単なるリフォーム費用補助ではありません。審査を通過し、採択されるためには以下の点が重要になります。

ポイント1:事業計画書の具体性

「事業計画書」が審査の核となります。「なぜこの事業をしたいのか」「どのように地域コミュニティに貢献するのか」「誰がどのように運営するのか」といった点を、具体的かつ熱意をもって記述しましょう。特に、10年間継続するための収支計画は、現実的で持続可能なプランを示すことが不可欠です。

ポイント2:事前相談の徹底活用

申請前の「事前相談」は必須事項ですが、これを形式的なものと捉えてはいけません。市の担当者に事業の構想をしっかりと伝え、制度の趣旨に合っているか、計画に無理がないか、アドバイスを求めましょう。ここで疑問点をすべて解消し、担当者と良好な関係を築くことが、スムーズな申請と採択への近道です。

ポイント3:地域貢献度の明確なアピール

あなたの計画が、本庄市のどのような課題を解決し、地域にどのような良い影響を与えるのかを明確にアピールしましょう。「高齢者の孤立を防ぐ居場所づくり」「子育て世代の交流拠点」「移住検討者のための体験施設」など、市の課題と自分の事業を結びつけて説明できると、説得力が増します。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 自分で住むためのリフォームは対象になりますか?
A1. いいえ、対象外です。この補助金は、あくまで「地域コミュニティの促進」を目的とする不特定多数の方が利用する施設への改修が対象です。個人が居住するためのリフォームは対象となりません。
Q2. 昭和56年5月31日以前に建てられた古い建物でも対象になりますか?
A2. はい、条件付きで対象となります。建築士による耐震診断の結果、耐震性能が確保されていることが証明できる場合、またはこの補助事業とあわせて耐震改修工事を行う場合に限り対象となります。
Q3. 補助金はいつ受け取れますか?
A3. 補助金は後払いです。工事がすべて完了し、市に実績報告書を提出し、検査を受けた後に指定の口座へ振り込まれます。そのため、工事費用は一旦全額自己資金で立て替える必要があります。
Q4. 申請前に工事の契約をしてしまいました。対象になりますか?
A4. いいえ、対象外です。必ず市の「交付決定通知書」を受け取った後に、工事の契約・着工をしてください。交付決定前の契約や着工は補助対象となりませんので、くれぐれもご注意ください。
Q5. 10年間の活動報告とは、具体的にどのようなものですか?
A5. 補助事業を開始した日から10年間、毎年5月末までに前年度の活動状況(施設の利用実績、収支決算など)を所定の様式で市に報告する義務があります。これにより、補助金の目的通りに施設が継続的に活用されているかを確認します。

⑧ まとめと次のステップ

本庄市空き家利活用補助金は、空き家という地域資源を活用して、まちを元気にしたいという熱意のある方にとって、非常に魅力的な制度です。

重要ポイントの再確認

  • 目的:地域コミュニティの促進(居住用は対象外)
  • 補助額:最大100万円(費用の2/3)
  • 条件:10年以上の継続活用、営利目的でないこと
  • 必須事項:工事着工前の申請と、市への事前相談

この制度に興味を持った方、具体的なアイデアが浮かんできた方は、まずは第一歩として、本庄市役所の担当窓口へ「事前相談」の連絡をしてみましょう。あなたのアイデアが、本庄市の未来を明るくするかもしれません。

お問い合わせ先

  • 部署:本庄市 都市整備部 都市計画課 計画係
  • 住所:〒367-8501 埼玉県本庄市本庄3丁目5番3号(本庄市役所2階)
  • 電話:0495-25-1136
  • ファックス:0495-24-0242