詳細情報
大阪府で事業を営む中小事業者の皆様へ朗報です。環境への配慮と災害時の備えを両立できる「中小事業者の対策計画書に基づくZEV導入促進補助金」の公募が開始されました。この制度を活用すれば、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などのゼロエミッション車(ZEV)導入にかかる費用の一部として、1台あたり最大10万円の補助を受けることができます。脱炭素経営への移行が求められる現代において、この補助金は大きな後押しとなるでしょう。しかし、申請には「対策計画書の届出」や「脱炭素経営宣言」といった事前準備が必要であり、予算上限に達し次第終了の先着順という重要な注意点もあります。この記事では、複雑な要件をわかりやすく整理し、申請手順から採択のポイントまで、専門家が徹底的に解説します。最後まで読めば、スムーズな申請と採択への道筋が見えるはずです。
この記事のポイント
- 大阪府の中小事業者が対象のZEV導入補助金
- ZEV1台あたり10万円、急速充電設備も対象
- 申請は先着順!予算がなくなり次第終了
- 「対策計画書」と「脱炭素経営宣言」の事前手続きが必須
- 申請から補助金受給までの全ステップを完全ガイド
補助金の概要
まずは、本補助金の基本的な情報を確認しましょう。制度の目的や背景を理解することで、申請の方向性がより明確になります。
| 正式名称 | 令和7年度 中小事業者の対策計画書に基づくZEV導入促進補助金 |
|---|---|
| 実施組織 | 大阪府 環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 |
| 目的・背景 | 大阪府気候変動対策推進条例に基づき「対策計画書」を届け出た中小事業者のZEV導入を支援。特に災害時の停電時に電源確保が求められる事業者を対象とし、ZEVを効果的に活用するモデル事例を創出することで、府域の運輸部門における二酸化炭素排出量削減を促進することを目的としています。 |
補助金額・補助対象
本補助金で受けられる支援内容と金額は以下の通りです。ZEV本体だけでなく、関連設備も対象となる点が大きな特徴です。
補助金額と上限台数
| 補助対象車両等 | 補助金の額 | 補助上限台数 |
|---|---|---|
| ZEV(ゼロエミッション車) | 10万円/台 (※1) | 5台/者 |
| 急速充電設備 | 10万円/台 (※2) | 1台/者 |
| 外部給電器 | 5万円/台 (※2) | 1台/者 |
※1 導入するZEVと同種または同規模程度のガソリン車との本体価格差が10万円未満の場合は、その差額が補助上限となります。
※2 急速充電設備および外部給電器は、ZEVの補助金交付申請を行う場合に限り対象となります。
計算例
例えば、ある介護事業者が職員の送迎用にZEVを2台、事業所に急速充電設備を1台、災害時備品として外部給電器を1台導入する場合:
ZEV補助金:10万円 × 2台 = 20万円
急速充電設備補助金:10万円 × 1台 = 10万円
外部給電器補助金:5万円 × 1台 = 5万円
合計補助金額:35万円
対象者・条件
本補助金の対象となるには、複数の要件をすべて満たす必要があります。自社が該当するか、一つずつ丁寧に確認してください。
重要:3つの必須要件
以下の3つの要件をすべて満たす中小事業者である必要があります。
要件1:事業内容・事業所の指定
特定事業者(※)に該当しない中小事業者で、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 市町村から「指定緊急避難場所」「指定避難所」「指定一般避難所」「指定福祉避難所」のいずれかに指定されている事業所を有する。
- 日本標準産業分類において、以下のいずれかの事業を営んでいる。
- 中分類81:学校教育
- 中分類83:医療業(歯科技工所は除く)
- 中分類85:社会保険・社会福祉・介護事業
※特定事業者とは、エネルギー使用量が原油換算で年間1,500kl以上、または府内の自動車使用台数が30台以上(タクシーは75台以上)などの大規模事業者を指します。詳細は公募要領をご確認ください。
要件2:対策計画書の届出
大阪府気候変動対策推進条例第9条第2項に基づく「対策計画書」を大阪府に届け出ている必要があります。これは、事業活動における温室効果ガス排出削減の取組計画を任意で届け出る制度です。未提出の場合は、補助金申請前に手続きを完了させる必要があります。
要件3:脱炭素経営宣言
大阪府の「脱炭素経営宣言登録制度」に基づき、脱炭素経営宣言を行っている必要があります。こちらも補助金申請前の登録が必須です。宣言を行うことで、府のウェブサイトでPRされるほか、各種支援情報を受け取ることができます。
補助対象経費
補助金の対象となる経費は、事業実施に直接必要な「導入費」に限られます。対象外となる経費も多いため、見積もり取得の際は注意が必要です。
- 対象となる経費:
- 補助対象となるZEV、急速充電設備、外部給電器の本体購入費用
- 対象外となる経費の例:
- 消費税及び地方消費税
- 振込手数料
- 工事費(材料費、労務費、現場管理費など)
- 運搬費、付帯工事費、測量費、事務費
- 既存設備の撤去・処分費
- その他、知事が導入費に該当しないと認める経費
最重要ポイント:タイミング
補助対象となるのは、補助金の交付決定通知書を受け取った後に発注・契約・支払いを行った経費のみです。交付決定前に購入した車両等は一切対象になりませんので、絶対にフライングしないようにしてください。
申請方法・手順
申請はオンラインで完結しますが、事前準備が重要です。以下のステップに沿って進めましょう。
申請受付期間:令和7年7月8日(火)~ 令和7年12月25日(木)午後6時まで
Step 1:事前準備(最重要)
申請の前に、必ず以下の2つの手続きを完了させてください。これらが済んでいないと申請できません。
- 対策計画書の届出:大阪府の公式サイトから様式をダウンロードし、必要事項を記入して届け出ます。
- 脱炭素経営宣言の登録:こちらも大阪府の公式サイトからオンラインで登録申請を行います。
Step 2:必要書類の準備
公募要領を確認し、以下の書類を漏れなく準備します。PDFなどのデータ形式で用意しておくとスムーズです。
- 補助金交付申請書(第1号様式および別紙)
- 補助対象者または指定緊急避難場所等に指定されていることを証する書類
- 導入予定のZEV等の見積書の写し
- 納税証明書(国税及び府税、3カ月以内発行のもの)の写し
- 通帳(振込先口座情報がわかるページ)の写し
- 【法人の場合】履歴事項全部証明書又は現在事項全部証明書(3カ月以内発行のもの)の写し
- 【個人事業主の場合】本人確認書類、営業に必要な許認可証の写し
- 【リースの場合】リース料金の設定根拠資料及び契約書案
- その他、公募要領で定められた書類
Step 3:オンライン申請
準備した書類を「大阪府行政オンラインシステム」から提出します。システムの利用が難しい場合は、早めに問い合わせ先に相談してください。
Step 4:審査・交付決定
申請内容が審査され、要件を満たしていれば交付決定通知書が郵送で届きます。この通知書を受け取るまで、車両の発注や購入は絶対に行わないでください。
Step 5:事業実施と実績報告
交付決定後、ZEV等の発注・購入・支払いを行います。事業が完了したら、令和8年2月27日(金曜日)までに実績報告書と関連書類(契約書、請求書、領収書、車検証の写し、写真など)を提出します。
Step 6:補助金の交付
実績報告書が審査され、内容に問題がなければ補助金額が確定し、指定の口座に補助金が振り込まれます。
採択のポイント
本補助金は審査で優劣をつけるものではなく、要件を満たした申請を先着順で受け付けます。したがって、採択されるための最大のポイントは「スピード」と「正確性」です。
- 公募開始後、即座に申請する:予算上限に達すると早期に締め切られる可能性があります。公募開始と同時に申請できるよう、事前準備を万全にしておきましょう。
- 事前手続きを最優先で完了させる:「対策計画書」と「脱炭素経営宣言」は時間がかかる場合があります。補助金の検討を始めたら、まずこの2つに着手してください。
- 書類の不備をなくす:申請書類に不備があると、修正に時間がかかり、その間に予算が上限に達してしまうリスクがあります。提出前に複数人でダブルチェックすることをお勧めします。特に、納税証明書や履歴事項全部証明書の発行日に注意しましょう(3カ月以内)。
- 公募要領を熟読する:この記事で要点を解説していますが、細かなルールは必ず公式の公募要領で確認してください。思い込みによるミスが一番の命取りです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申請前にZEVを購入してしまいましたが、対象になりますか?
A1. 対象になりません。本補助金は、必ず「交付決定通知書」を受け取った後に発注・契約・購入したものが対象です。フライングでの購入は絶対におやめください。
Q2. 中古の電気自動車は対象ですか?
A2. いいえ、対象外です。補助対象となるのは新規に導入される車両(新車)のみで、中古品や新古品は対象となりません。
Q3. リースでの導入も対象になりますか?
A3. はい、対象になります。ただし、申請時に「リース料金の設定根拠資料」や「リース会社と申請者との契約書案」などの追加書類が必要となりますので、事前にリース会社と相談の上、準備してください。
Q4. 国の補助金(CEV補助金など)と併用できますか?
A4. はい、国の補助金との併用は可能です。ただし、申請書類として国の補助金の交付決定通知書の写しなどが必要になる場合があります。詳細は公募要領で確認し、それぞれの補助金の要件を遵守してください。
Q5. 補助金を受けて導入したZEVには何か義務がありますか?
A5. はい、いくつかの要件があります。例えば、府から配布されるステッカーを車両に表示すること、業界団体等と連携した給電体験会を開催すること、災害時の停電時には電力供給設備として活用することなどが求められます。詳細は公募要領の「主な補助要件」をご確認ください。
まとめと行動喚起
「中小事業者の対策計画書に基づくZEV導入促進補助金」は、大阪府の中小事業者が脱炭素化と防災力強化を同時に進める絶好の機会です。
最後に確認!成功への3つの鍵
- 事前準備を今すぐ開始:「対策計画書」と「脱炭素経営宣言」の手続きを最優先で進めましょう。
- 先着順を意識する:公募が開始されたら、一日でも早く申請できるよう、書類準備は完璧に。
- 交付決定まで待つ:絶対にフライングで車両を購入・発注しないこと。
予算には限りがあります。このチャンスを逃さないためにも、まずは公式サイトで公募要領をダウンロードし、自社が対象となるか最終確認の上、すぐに行動を開始してください。
お問い合わせ先
大阪府 環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 脱炭素モビリティグループ
電話番号:06-6210-9586
メールアドレス:datsutanene-01@gbox.pref.osaka.lg.jp
公式サイト:中小事業者の対策計画書に基づくZEV導入促進補助金