助成金・補助金インサイト
中級

特定求職者雇用開発助成金(成長分野コース)とは?最大360万円

0回閲覧

【2024年10月要件緩和】本記事では、高齢者や障害者、ひとり親などを成長分野で雇用・育成する事業者を支援する「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」について解説します。最大360万円が支給されるこの助成金の概要、2つのメニュー、支給額、申請方法まで、最新情報をわかりやすくお届けします。

特定求職者雇用開発助成金(成長分野コース)とは?

特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)とは、高齢者(60歳以上)、障害者、母子家庭の母といった就職が困難な方を、デジタル分野やグリーン分野などの成長分野で未経験から雇用し、育成する事業主に対して支給される助成金です。人手不足が深刻化する成長分野での人材確保と、求職者の安定した雇用の両方を促進することを目的としています。

2024年10月に要件緩和!さらに活用しやすく

2024年10月1日から、本助成金の要件が緩和される予定です。これにより、これまで対象とならなかった事業者や労働者も対象に含まれる可能性があり、より多くの企業が助成金を活用しやすくなることが期待されます。具体的な緩和内容は今後発表されますが、手続きの簡素化や対象者の拡大などが考えられます。最新情報は厚生労働省のウェブサイトを必ずご確認ください。

助成金の2つのメニューを徹底解説

この助成金には、事業者のニーズに合わせて選べる2つのメニューが用意されています。

1. 人材育成メニュー

未経験者を雇い入れ、Off-JT(座学など)とOJT(実務訓練)を組み合わせて育成する場合に活用できます。特に、専門的な知識やスキルが必要な職種で人材を育てたい場合に適しています。

  • 対象:成長分野の業務が未経験の対象労働者を雇用し、訓練計画に沿って育成する事業者
  • 特徴:訓練時間に応じた助成が加算されるため、手厚い育成が可能です。
  • 支給額:基本助成額に加え、Off-JTの賃金・経費助成が上乗せされます。

2. 人材確保メニュー

成長分野での業務経験がある方を、より専門性の高い業務で雇用する場合に活用できます。即戦力となる人材を確保し、事業を加速させたい場合に有効です。

  • 対象:成長分野の業務経験がある対象労働者を、専門的な知識・技術を要する業務で雇用する事業者
  • 特徴:育成(訓練)は必須ではありませんが、経験者を確保したことに対して助成されます。
  • 支給額:基本助成額が支給されます。

支給額はいくら?【最大360万円】

支給額は、対象労働者の類型や企業規模(中小企業か大企業か)によって異なります。支給は2期に分けて行われます。以下は、中小企業が「人材育成メニュー」を活用した場合の支給額の一例です。

対象労働者 基本助成額(第1期/第2期) Off-JT賃金助成(1時間あたり) Off-JT経費助成(上限) 合計最大額
重度障害者等 60万円/60万円 800円 50万円 最大360万円※
高年齢者、母子家庭の母等 40万円/40万円 800円 30万円 最大110万円+α

※合計最大額は、Off-JTの実施時間など諸条件により変動します。詳細は管轄の労働局にご確認ください。

助成金の対象となる事業者・労働者・分野

対象となる事業者(主な支給要件)

  • 雇用保険の適用事業主であること。
  • 対象労働者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れること。
  • 雇入れ日の前後6か月間に事業主都合の解雇等を行っていないこと。
  • 労働関係法令を遵守していること。

対象となる労働者

以下のいずれかに該当する方が対象です。

  • 60歳以上の高年齢者
  • 身体障害者、知的障害者、精神障害者
  • 母子家庭の母等、父子家庭の父
  • その他、就職が困難な方として定められた方

対象となる成長分野

デジタル化や脱炭素化に関連する、将来的な成長が見込まれる分野が対象です。

  • デジタル分野:DX推進、AI開発、Webデザイナー、ITエンジニア、データサイエンティストなど
  • グリーン分野:再生可能エネルギー関連、省エネ設備開発、環境コンサルタントなど

【簡単4ステップ】申請から受給までの流れ

申請手続きは、計画書の提出から始まります。事前に流れを把握しておくことが重要です。

  1. 計画書の作成・提出
    対象労働者の雇入れ日の1か月前までに、管轄のハローワークまたは労働局へ「計画書」を提出します。
  2. 雇入れ・訓練の実施
    計画書の認定後、対象労働者を雇い入れます。「人材育成メニュー」の場合は、計画に沿って訓練を開始します。
  3. 第1期 支給申請
    支給対象期間(雇入れから6か月)の経過後、2か月以内に支給申請書を提出します。
  4. 第2期 支給申請
    第1期の支給対象期間終了後の6か月間が経過した後、2か月以内に支給申請書を提出します。

まとめ

特定求職者雇用開発助成金(成長分野コース)は、成長分野での人材不足に悩む事業者にとって、採用と育成のコストを大幅に軽減できる非常に有効な制度です。特に2024年10月からの要件緩和により、さらに多くの事業者が活用しやすくなる見込みです。

多様な人材を確保し、企業の持続的な成長を目指すために、本助成金の活用をぜひご検討ください。申請手続きには専門的な知識が必要な場合もあるため、不明な点は管轄の労働局や社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。