京都市で西陣織や京友禅、清水焼といった伝統産業に携わる事業者の皆様へ朗報です。インバウンド需要の回復や物価高騰への対応を見据え、新たな挑戦を支援する「京都市伝統産業新商品開発・販路開拓支援事業補助金」の三次募集が開始されます。この制度は、補助率が最大4/5、補助上限額は最大38万円と、非常に手厚い支援内容が魅力です。新商品の開発に必要な道具や原材料の購入から、国内外の展示会出展、さらには販路開拓のためのウェブサイト制作や広告宣伝費まで、幅広い経費が対象となります。しかし、申請期間は限られており、事業計画書の質が採択を大きく左右します。この記事では、補助金の概要から対象者の詳細な条件、申請方法、そして採択を勝ち取るための戦略的なポイントまで、公式情報を基に徹底的に解説します。この絶好の機会を逃さず、あなたの伝統技術を未来へ、そして世界へと羽ばたかせるための一歩を踏み出しましょう。

① 京都市伝統産業新商品開発・販路開拓支援事業補助金とは?

補助金の目的と背景

本補助金は、京都市が「物価高騰対応重点支援地方交付金」を活用し、市内の伝統産業事業者を支援するために設けられた制度です。その主な目的は、インバウンド需要の増加など、変化する市場環境を見据えて新たな事業展開に挑戦する事業者を後押しすることにあります。具体的には、以下の2つの柱で支援が行われます。

  • 新商品開発支援:伝統技術を活かした新しい商品の開発に必要な、道具・原材料の購入や製造設備の導入・改修を支援します。
  • 販路開拓支援:開発した新商品や既存の商品を国内外の新たな市場へ届けるための、展示会出展や販売会への参加などを支援します。

単に伝統を守るだけでなく、時代に合わせて革新的な取り組みを行う事業者を京都市が強力にサポートするという、強いメッセージが込められています。

② 驚異の補助率4/5!補助金額と上限額を徹底解説

この補助金の最大の魅力は、その手厚い財政支援です。自己負担を大幅に抑え、意欲的な事業展開を可能にします。

補助率

補助対象となる経費の5分の4以内が補助されます。つまり、事業にかかった費用の80%を京都市が負担してくれることになり、自己負担はわずか20%で済みます。

補助上限額

補助上限額は、申請者の区分(組合等、法人、個人事業主)と、販路開拓の対象地域(国内か海外か)によって異なります。特に海外展開を目指す場合は、上限額が引き上げられます。

申請者区分 国内での販路開拓等 海外での販路開拓
組合等 25万円 38万円
法人 10万円 15万円
個人事業主 5万円 8万円

計算シミュレーション

ケース1:法人が海外展示会出展のため、多言語ウェブサイト制作とSNS広告に合計20万円(税抜)の経費をかけた場合

  • 補助対象経費:200,000円
  • 補助率を適用した金額:200,000円 × 4/5 = 160,000円
  • 補助上限額(法人・海外):150,000円
  • 最終的な補助金額:150,000円(上限額が適用)
  • 自己負担額:200,000円 – 150,000円 = 50,000円

わずか5万円の自己負担で、20万円規模の海外向けプロモーションが実現できます。

③ あなたは対象?補助金を受けられる事業者の詳細条件

この補助金は、京都市の伝統産業を担う特定の事業者を対象としています。申請前に必ず以下の条件を満たしているか確認してください。

  • 【絶対条件】京都市が指定する伝統産業74品目に携わっていること:西陣織、京友禅、京焼・清水焼、京仏具、京漆器など、市が定める74品目のいずれかの製造、加工、販売等に携わっていることが大前提です。対象品目の詳細は必ず公式サイトの別紙で確認してください。
  • 事業者の形態と所在地:以下のいずれかに該当する必要があります。
    • 組合等:上記74品目に携わる事業協同組合など。
    • 法人:京都市内に本店または主たる事務所を有すること。
    • 個人事業主:京都市内の店舗、事務所等で事業を営んでいること。
  • その他:市税を滞納していないこと、暴力団関係者でないことなど、一般的な要件も満たす必要があります。

④ 何に使える?補助対象となる経費・ならない経費

補助金の使い道は明確に定められています。申請を検討している経費が対象になるか、事前にしっかり確認しましょう。

補助対象となる経費の例

  • 新商品開発に資する経費:
    • 道具・工具・器具の購入費
    • 原材料、副資材の購入費
    • 製造工程に直接関わる設備の新設、更新、改修費(税抜30万円未満のもの)
  • 国内外での販路開拓に資する経費:
    • 展示会・販売会への出展料、ブース設営費
    • 広告宣伝費(ウェブ広告、SNS広告、チラシ・パンフレット制作費など)
    • 通訳料、翻訳料(ウェブサイトの多言語化費用など)
    • 海外渡航費(航空券代、宿泊費など)

【要注意】補助対象外となる経費の例

以下の経費は対象外ですので、申請に含めないようご注意ください。

  • 汎用性のあるもの(パソコン、プリンター、カメラ、スマートフォンなど)の購入費
  • 事業運営にかかる固定費(人件費、家賃、光熱水費など)
  • 国内移動にかかる旅費交通費
  • 飲食費、接待交際費
  • 消費税及び地方消費税
  • 1台あたり30万円以上(税抜)の設備投資(別の補助金制度の対象となる場合があります)

⑤ 申請から入金まで!失敗しないための全ステップ

補助金の申請は、スケジュール管理が非常に重要です。特に事業実施期間には注意が必要です。

STEP 1:交付申請(事業着手前)

  • 申請受付期間:令和7年9月10日 ~ 令和8年1月4日 (当日消印有効)
  • 提出書類:申請書、事業計画書、収支予算書など、公式サイトからダウンロードできる様式一式。
  • 提出方法:郵送または電子メール

STEP 2:審査と交付決定

提出された書類を京都市が審査し、令和8年1月中に交付予定額が通知されます。

STEP 3:事業の実施

【最重要】補助対象の事業期間:令和7年2月1日 ~ 令和8年1月31日

交付決定通知を受けた後、この期間内に事業の契約・発注・実施・支払いをすべて完了させる必要があります。この期間外の経費は一切対象になりませんので、絶対に間違えないようにしてください。

STEP 4:実績報告

  • 提出期限:事業終了後、速やかに(最終期限:令和8年2月6日)
  • 提出書類:実績報告書、収支決算書、経費の支払いを証明する書類(領収書、契約書など)、事業の成果がわかるもの(完成した製品の写真、出展した展示会の様子など)。

STEP 5:額の確定と入金

実績報告書が審査され、補助金額が最終的に確定します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます(精算払い)。

⑥ 採択を勝ち取る!事業計画書作成の3つの戦略

本補助金は申請すれば誰でも受けられるものではありません。説得力のある事業計画書を作成することが採択への鍵となります。

戦略1:補助金の目的と事業内容を明確にリンクさせる

事業計画書では、あなたの事業が「インバウンド需要の増加を見据えた新たな事業展開」という補助金の目的にどう貢献するのかを具体的に示しましょう。「円安を背景に欧米からの観光客が増加しているため、彼らに響くデザインの新商品を開発し、多言語ECサイトで販売することで新たな顧客層を獲得する」といったように、市場分析から具体的なアクションまでを論理的に説明することが重要です。

戦略2:「新商品開発」と「販路開拓」の相乗効果をアピールする

もし両方の事業を計画しているなら、それらがどう連携して効果を生むのかを強調しましょう。「今回開発する新商品は海外市場をターゲットにしており、その成功のためには、同時に申請する海外展示会への出展とウェブ広告が不可欠です」というように、2つの取り組みが一体となった戦略であることを示すことで、計画全体の説得力が高まります。

戦略3:補助率4/5を活かした費用対効果の高い計画を示す

自己負担が2割で済むというメリットを最大限に活かし、これまで投資を躊躇していたような、より質の高い取り組みを計画に盛り込みましょう。例えば、「補助金を活用することで、単なる機械翻訳ではなく、ターゲット国の文化を理解したプロのコピーライターに依頼し、真に顧客の心に響くウェブサイトを構築する」など、補助金があるからこそ実現できる「質の高さ」と、それがもたらす「高い費用対効果」をアピールすることは有効な戦略です。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 新商品開発と販路開拓の両方に申請できますか?
A1. はい、可能です。両方に申請する場合、補助上限額は合算されます(例:法人の場合、国内販路開拓10万円+新商品開発10万円=最大20万円)。詳細は市の担当窓口にご確認ください。
Q2. 申請前に発注・支払いをした経費は対象になりますか?
A2. いいえ、対象になりません。必ず市の交付決定を受けた後、定められた事業実施期間内(令和7年2月1日~令和8年1月31日)に契約・発注・支払いを行った経費のみが対象です。
Q3. パソコンやカメラの購入は対象になりますか?
A3. いいえ、対象外です。特定の事業にのみ使用するとは言い切れない汎用性のある物品の購入費は、補助の対象となりません。
Q4. 補助金はいつもらえますか?
A4. 補助金は「精算払い」です。事業期間内にすべての支払いを事業者様が一旦立て替えて行い、事業終了後に実績報告書を提出し、審査を経てから指定口座に振り込まれます。
Q5. 自分が対象の伝統産業74品目に含まれるかどこで確認できますか?
A5. 京都市の公式サイトに掲載されている募集要項やチラシに添付されている「別紙」に一覧が記載されています。申請前に必ずご確認ください。

⑧ まとめ:伝統の技を世界へ羽ばたかせるチャンス

「京都市伝統産業新商品開発・販路開拓支援事業補助金」は、京都の伝統を未来へ繋ぐ事業者にとって、またとない強力な追い風となる制度です。補助率4/5、最大38万円という破格の支援を活用し、これまで温めてきたアイデアや、挑戦したかった海外展開を実現させましょう。申請期間は限られています。この記事を参考に、まずはご自身の事業が対象となるかを確認し、具体的な事業計画の策定に取り掛かってください。あなたの素晴らしい技術と革新的なアイデアが、京都から世界へと広がることを応援しています。

お問い合わせ先

〒604-8571
京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488
京都市産業観光局クリエイティブ産業振興室 新商品開発・販路開拓支援事業補助金担当宛
電話:075-222-3337
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