この記事のポイント
- ✓ 国の退職金制度「中退共」の概要とメリットがわかる
- ✓ 山口県内の市町村が実施する掛金補助制度について詳しく知れる
- ✓ 萩市・岩国市の具体的な補助内容と申請方法がわかる
- ✓ 人材確保と福利厚生の強化に繋がるヒントが得られる
山口県内で事業を営む中小企業の経営者の皆様、「従業員の退職金制度」についてお悩みではありませんか? 大企業のような退職金制度を独自に設けるのは難しいと感じる方も多いでしょう。しかし、国の制度を活用し、さらに自治体からの掛金補助を受けることで、従業員の福利厚生を大幅に向上させることが可能です。
この記事では、中小企業のための退職金制度である「中退共」と、山口県内の多くの市町村が実施している掛金補助制度について、萩市や岩国市の具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
中小企業退職金共済(中退共)制度とは?
中小企業退職金共済制度(通称:中退共)とは、国が運営する中小企業向けの退職金制度です。事業主が中退共と契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付することで、従業員が退職した際に中退共から直接退職金が支払われる仕組みです。
中退共制度の3つの大きなメリット
- 国の助成がある: 新たに加入する事業主や掛金を増額する事業主に対して、国が掛金の一部を助成します。
- 税制上の優遇: 事業主が負担する掛金は、法人企業の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費として全額非課税となります。
- 管理が簡単: 掛金の管理や退職金の計算・支払いはすべて中退共が行うため、事業主の手間がかかりません。
この制度は、企業の魅力向上、従業員の定着率アップに繋がり、人材確保の面でも非常に有効な一手となります。
【本題】山口県内の市町村による掛金補助制度
国の助成に加えて、山口県内の一部の市町村では、中退共に加入した事業主に対して独自に掛金の一部を補助する制度を実施しています。これにより、事業主の負担はさらに軽減されます。ここでは、代表的な2つの市の事例をご紹介します。
【事例1】萩市:中小企業退職金共済掛金補助制度
補助対象者 | 市内に事業所を有し、中退共制度に加入している中小企業者 |
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補助額 | 従業員1人につき、年額上限6,000円 |
申請期間 | 令和7年4月1日〜 |
ポイント | 従業員の福利厚生を確立するための掛金の一部を萩市が補助します。 |
【事例2】岩国市:中小企業退職金共済掛金補助制度
補助対象者 | 市内で1年以上事業を営み、市税を完納している中小企業者 |
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補助額 | 新たに共済加入した従業員1人につき、月額450円(1年間限り) |
申請期間 | 1月〜12月分を翌年2月末日までに申請 |
ポイント | 新規加入者を対象としたスタートアップ支援が手厚いのが特徴です。電子申請も可能です。 |
⚠️ ご注意ください
補助内容、対象者、申請期間は各市町村によって異なります。事業所のある市町村の商工担当課や公式ウェブサイトで最新の情報を必ずご確認ください。
その他の市町村でも実施されています
入力データによると、萩市、岩国市の他にも、下関市、長門市、防府市、下松市、柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、平生町など、県内多くの市町で同様の掛金補助制度が設けられています。まずは自社の所在地で制度があるか確認してみましょう。
申請から受給までの一般的な流れ
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1
中退共への加入まず、国の「中小企業退職金共済制度」に加入します。手続きは金融機関や商工会議所・商工会で行えます。
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掛金の納付毎月の掛金を指定の金融機関口座から納付します。この納付実績が補助金申請の際に必要となります。
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3
市町村へ補助金申請各市町村が定める期間内に、申請書や掛金納付証明書などの必要書類を提出します。
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4
交付決定・受給審査後、交付決定通知が届き、指定した口座に補助金が振り込まれます。
まとめ
中小企業退職金共済制度は、従業員の将来の安心を確保し、企業の魅力を高めるための強力なツールです。山口県内の多くの市町村では、この制度の利用を後押しするための独自の掛金補助制度を用意しています。
国の助成と市町村の補助をダブルで活用することで、経営負担を抑えながら手厚い福利厚生を実現できます。人材の確保・定着に課題を感じている経営者の方は、ぜひこの機会に、自社の市町村の制度を確認し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※補助制度の詳細は、各市町村のウェブサイトをご確認ください。