詳細情報
東京都内で事業を営む中小企業の皆様、日々の業務効率化や生産性向上に課題を感じていませんか?「デジタル化を進めたいけれど、コストがネックで…」とお悩みの方に朗報です。東京都中小企業振興公社が実施する「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」は、そんな悩みを解決するための強力な味方です。この制度を活用すれば、会計ソフトや業務自動化ツールなどの導入費用について、最大100万円、経費の最大2/3の助成を受けることが可能です。この記事では、令和7年度の公募に向けて、制度の概要から申請方法、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。DX化への第一歩を、この助成金で踏み出しましょう。
この記事でわかること
- 中小企業デジタルツール導入促進支援事業の全体像
- 助成される金額や対象となる経費の詳細
- 具体的な申請手順とスケジュール
- 審査で有利になる申請書作成のコツ
- よくある質問と注意点
1. 中小企業デジタルツール導入促進支援事業とは?
事業の目的と概要
この事業は、東京都内の中小企業者等が生産性向上や業務効率化を目的として、新たにデジタルツールを導入する際の経費の一部を助成する制度です。人手不足の解消、働き方改革の推進、そして企業競争力の強化を後押しすることを目的としています。単なるツールの導入だけでなく、専門家によるフォローアップ支援も受けられる点が大きな特徴です。
| 制度概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 中小企業デジタルツール導入促進支援事業 |
| 実施組織 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 |
| 目的 | 都内中小企業のデジタルツール導入を支援し、生産性向上と競争力強化を促進する。 |
| 公式サイト | 公式ページはこちら |
2. 助成金額・補助率
本事業の助成金額と助成率は、企業の規模によって異なります。特に小規模企業者に対しては手厚い支援が用意されています。
| 項目 | 小規模企業者 | その他の中小企業者 |
|---|---|---|
| 助成率 | 助成対象経費の3分の2以内 | 助成対象経費の2分の1以内 |
| 助成限度額 | 最大100万円 | |
| 助成下限額 | 5万円 | |
| 助成対象期間 | 2年間 | |
【具体例】助成額の計算方法
実際にどれくらいの助成が受けられるのか、例を見てみましょう。
- ケース1:小規模企業者が150万円(税抜)の業務自動化ツールを導入する場合
助成対象経費:150万円
計算式:150万円 × 2/3 = 100万円
助成額:100万円(上限額適用)
自己負担額:50万円 - ケース2:一般の中小企業者が60万円(税抜)のクラウド会計ソフトを導入する場合
助成対象経費:60万円
計算式:60万円 × 1/2 = 30万円
助成額:30万円
自己負担額:30万円
3. 対象者・条件
本事業の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業者等です。
- 申請日現在、東京都内に登記上の本店または主たる事業所があること。
- 法人(会社)、個人事業主、または中小企業団体であること。
- 都内で実質的な事業活動を行っていること。
- 公社が実施する他の助成事業との重複申請でないこと(一部例外あり)。
「小規模企業者」に該当すると助成率が優遇されます。自社が該当するかどうかは、常時使用する従業員数で判断しますので、事前に確認しておきましょう。
4. 補助対象経費
助成の対象となるのは、新たに導入するデジタルツール本体の購入費と、それに関連する初期設定やサポート費用です。
対象となる経費の例
- クラウド型会計ソフト:経理業務の自動化、効率化
- 業務自動化ツール(RPA):定型的なPC作業の自動化
- 顧客管理システム(CRM):顧客情報の一元管理、営業活動の効率化
- 勤怠管理システム:従業員の勤怠管理、給与計算の簡素化
- 上記ツールの導入にかかる初期設定、カスタマイズ、運用・保守サポート費用
対象外となる経費の例
- ハードウェア:パソコン、タブレット端末、スマートフォン、サーバーなど
- 汎用性の高いソフトウェア:OS、セキュリティソフト、Officeソフト(Word, Excelなど)
- 既存システムの更新・改修費用
- ホームページ制作・改修費用
- 消費税および地方消費税
【例外規定】専用ハードウェアについて
通常ハードウェアは対象外ですが、特定のソフトウェア(例:設備稼働状況を可視化するソフト)の目的達成に不可欠な専用接続機器(スキャンツール等)は、例外的に対象となる場合があります。ただし、この場合の助成上限額は20万円となりますのでご注意ください。
5. 申請方法・手順
申請は国の電子申請システム「Jグランツ」を利用して行います。事前に「GビズIDプライム」アカウントの取得が必須ですので、早めに準備を進めましょう。
申請期間
令和7年度の申請期間は以下の通りです。
令和7年10月1日(水)~ 令和7年10月27日(月)
※予算に達し次第、期間内でも受付が終了となる可能性があります。準備は早めに行い、受付開始後速やかに申請することをおすすめします。
申請のステップ
- GビズIDプライムの取得【最重要・最優先】
申請に必須のアカウントです。取得には審査があり、通常2週間程度かかります。申請期間直前では間に合わない可能性が高いため、今すぐ手続きを開始しましょう。
GビズID公式サイトはこちら - 必要書類の準備
募集要項を確認し、必要な書類を揃えます。主な書類は以下の通りです。- ツール導入にあたってのチェックシート
- 導入するツールの見積書(発行から3か月以内のもの)
- 【法人の場合】履歴事項全部証明書
- 【個人事業主の場合】開業届の写し、または直近の確定申告書
- 【小規模企業者の場合】小規模企業者に該当することの確認書
- Jグランツでの電子申請
申請期間内にJグランツにログインし、申請フォームに必要事項を入力、準備した書類をアップロードして申請を完了させます。 - 審査・交付決定
申請内容が審査され、採択されると「交付決定通知書」が届きます。ツールの発注・契約・支払いは必ずこの通知書を受け取った後に行ってください。 - 事業実施
交付決定された計画に基づき、デジタルツールの導入と支払いを完了させます。 - 実績報告
事業完了後、定められた期限内に実績報告書と関連書類(契約書、請求書、支払証明など)を提出します。 - 助成金の交付
実績報告書の内容が確認されると、助成金が指定の口座に振り込まれます。
6. 採択されるための3つのポイント
人気の助成金であるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。審査を通過するためには、説得力のある申請書を作成することが不可欠です。ここでは、採択率を高めるための3つの重要なポイントをご紹介します。
ポイント1:課題と導入目的を明確にする
「流行っているから」「便利そうだから」という理由では採択されません。申請書では、「自社が現在抱えている具体的な経営課題」と「その課題を解決するために、なぜこのデジタルツールが必要なのか」を論理的に説明する必要があります。例えば、「手作業による請求書作成に毎月20時間かかっており、ミスも頻発している」という課題に対し、「クラウド会計ソフトを導入し、請求書発行から入金管理までを自動化することで、作業時間を5時間に短縮し、ヒューマンエラーをゼロにする」といった具体的なストーリーを描きましょう。
ポイント2:導入効果を数値で示す
ツール導入によってどのような効果が期待できるのかを、できるだけ具体的な数値目標で示しましょう。審査員は、投資(助成金)に見合うリターン(生産性向上)があるかを評価します。
- 【悪い例】業務が効率化される。
- 【良い例】月間の残業時間を平均15%削減する。/ 経理担当者の手作業時間を月間30時間削減し、その時間を資金繰り分析などの高付加価値業務に充てる。/ 顧客対応履歴の一元管理により、問い合わせ対応時間を平均20%短縮する。
ポイント3:募集要項を隅々まで読み込む
基本的なことですが、非常に重要です。対象外の経費を計上していたり、必要書類が不足していたりすると、それだけで不採択となってしまいます。募集要項やFAQを熟読し、ルールを完全に理解した上で申請に臨みましょう。不明な点があれば、申請前に事務局に問い合わせることも大切です。
【重要】悪質な勧誘にご注意ください!
「自己負担なしでツールを導入できる」「キャッシュバックがある」といった電話勧誘やセールスは、不正受給につながる悪質な手口です。本助成金は必ず自己負担が発生します。虚偽の申請が発覚した場合、助成金の返還だけでなく、刑事罰が科される可能性もあります。甘い言葉には絶対に乗らないようにしてください。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 申請前にツールを購入してしまいました。対象になりますか?
A1. 対象になりません。必ず公社からの「交付決定通知書」を受け取った後に、ツールの契約・発注・支払いを行ってください。交付決定前の経費はすべて助成対象外となります。
Q2. パソコンやタブレットも対象になりますか?
A2. 原則として、パソコン、タブレット、サーバーなどのハードウェアは対象外です。ソフトウェアの利用に不可欠な専用機器のみ、例外的に対象となる場合がありますが、条件が厳しいため募集要項をよくご確認ください。
Q3. GビズIDとは何ですか?すぐに取得できますか?
A3. GビズIDは、様々な行政サービスにログインできる認証システムです。本助成金の申請には「gBizIDプライム」という種類のアカウントが必要です。郵送での書類提出と審査が必要で、取得に2週間程度かかるため、早急に手続きを開始してください。
Q4. 複数のツールをまとめて申請できますか?
A4. はい、可能です。ただし、導入するツール群が一連の業務プロセス改善にどう貢献するのか、事業計画の中で関連性を明確に説明する必要があります。バラバラの目的のツールを羅列するだけでは、採択は難しくなります。
Q5. どのツールを選べば良いか分かりません。相談できますか?
A5. はい、相談窓口があります。東京都が実施する「デジタル技術導入促進ナビゲーター事業」では、専門家が課題をヒアリングし、適切なツールを提案してくれます。また、公社の「ワンストップ総合相談窓口」でもITに関する相談が可能です。ただし、これらの相談は助成金の採択を保証するものではありません。
8. まとめ:今すぐ準備を始めよう!
「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」は、都内の中小企業がDXを推進するための非常に価値ある制度です。最後に、申請に向けて押さえておくべき重要ポイントを再確認しましょう。
- 最大100万円、助成率最大2/3の強力な支援。
- 申請には「GビズIDプライム」が必須。取得に2週間かかるため最優先で手続きを!
- 申請期間は令和7年10月1日~10月27日。予算上限による早期終了に注意。
- 採択の鍵は「課題の明確化」と「導入効果の数値化」。
- 交付決定前の発注・支払いは絶対NG。
申請期間はまだ先ですが、GビズIDの取得や事業計画の策定には時間がかかります。この記事を参考に、今から準備を始めて、ぜひこの機会を最大限に活用してください。
お問い合わせ先
中小企業デジタルツール導入促進支援事業事務局
TEL:03-4446-9058 (平日:9:00~16:30)
※審査内容に関する個別のお問い合わせには回答できません。
公式サイト: https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/digital-tool.html