自動車事故による重度後遺障害者の方々が、介護者なき後も安心して地域で生活できる環境を整えることは、社会全体の重要な課題です。この課題解決を支援するため、国土交通省は「自動車事故被害者受入環境整備事業」を実施しています。本記事では、障害者支援施設やグループホームを運営する事業者様向けに、最大1,500万円が支給されるこの補助金制度について、対象者、補助経費、申請方法などを分かりやすく解説します。
補助金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 令和7年度 自動車事故被害者受入環境整備事業 |
実施機関 | 国土交通省 |
目的 | 自動車事故による重度後遺障害者の「介護者なき後」の生活の場を確保するため、グループホーム等の新設や受入体制の整備・維持を支援する。 |
補助上限額 | 【新設】最大1,500万円 【継続】最大1,000万円 |
公募期間(1次) | 令和7年6月2日(月) ~ 令和7年8月29日(金) |
この補助金の重要ポイント
- 新規開設の事業者を強力に支援:開業準備段階の資金繰りを助けるため、最大1,500万円という手厚い補助が受けられます。
- 人材確保・定着に直結:人材雇用費や職員の賃金改善費が対象。介護業界の人手不足解消に貢献します。
- 質の高いケアを実現:特殊浴槽や見守りロボットなど、最新の介護器具・用具の導入費用も補助対象です。
補助対象となる事業者
本補助金の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす事業者です。
① 事業内容
障害者総合支援法に規定される「施設入所支援」または「共同生活援助(グループホーム)」を行う事業者であること。
② 利用者要件
令和7年度中に、自動車事故による重度後遺障害者を受け入れている、または受け入れる具体的な見込みがあること。
③ その他の要件
- 事業を効率的かつ確実に実施できること。
- 過去3か年度以内に本事業で補助金の返還を求められていないこと。
④ 人材雇用費・賃金改善費を申請する場合の追加要件
上記に加えて、以下の要件も満たす必要があります。
- 法令で定められた人員配置基準を超えて対象となる職種の従業者(世話人、生活支援員、看護職員等)を配置していること。
- 医師、看護師、准看護師、または喀痰吸引等研修の修了者等を配置していること。
補助対象経費・補助率・上限額
補助内容は、事業所の開設時期によって「新設等支援費」と「継続経費」の2種類に分かれます。
【A】令和7年4月1日以降に開設する事業者(新設等支援費)
上限額: 1,500万円 / 1事業所
補助率: 原則1/2
※利用者のうち重度後遺障害者の割合が8%を超える場合は定額(100%)補助となります。
対象経費
- 人材雇用費開設1ヶ月前から開設2ヶ月後までに要する従業員の給与、賞与、法定福利費など。
- 施設支援費重度後遺障害者のケアに必要な介護器具・用具(特殊浴槽、移動用リフト、見守りロボット等)の導入費用。※原則、単一取得価格10万円以上
- 求人情報発信費求人サイト掲載料、新聞広告費、職業紹介手数料、パンフレット作成費など。
- 研修等経費重度後遺障害者ケアの知識・技術習得のための研修参加費、開催費用(講師謝金、会場費、旅費等)。
【B】令和7年3月31日までに開設した事業者(継続経費)
上限額: 1,000万円 / 1事業所
補助率: 原則1/2
※利用者のうち重度後遺障害者の割合が8%を超える場合は定額(100%)補助となります。
対象経費
- 賃金改善費処遇改善加算等でカバーしきれない職員の賃金改善額(自己負担分)を補助。
- 施設支援費(新設の場合と同様)
- 求人情報発信費(新設の場合と同様)
- 研修等経費(新設の場合と同様)
申請手続きとスケジュール
申請にあたっては、公募期間内に必要書類を提出する必要があります。応募者多数の場合は、選定基準に基づき優先順位が決定されます。
公募期間
- 1次公募: 令和7年6月2日(月) ~ 令和7年8月29日(金)
- 2次公募: 未定
注意:予算の執行状況によっては、公募期間の短縮や申請の打ち切りが行われる可能性があります。早めの準備・申請をおすすめします。
選定の優先順位
応募者が多数の場合、以下の順で優先的に選定されます。
- 当該年度中に重度後遺障害者が初めて入所する見込みがある事業者。
- 既に受け入れており、かつ当該年度中に新たな入所見込みがある事業者。
- 既に受け入れており、かつ過去に本補助金を受けたことがない事業者。
- 既に受け入れており、かつ過去に本補助金を受けたことがある事業者(直近の経常収支率を勘案)。
まとめ
「自動車事故被害者受入環境整備事業」は、重度後遺障害者の方々の生活を支える障害者支援施設やグループホームにとって、非常に価値のある補助金です。人材の確保・定着、サービスの質向上、そして安定した事業運営のために、本制度の活用をぜひご検討ください。
詳細な申請要件や必要書類については、必ず公式ウェブサイトをご確認ください。