「従業員がなかなか定着しない」「働きやすい環境を整えたいが、コストが…」
葛飾区で事業を営む多くの中小企業が、このような人材に関する悩みを抱えているのではないでしょうか。その課題を解決する強力な味方となるのが、葛飾区の「人材確保・人材定着支援事業費助成金」です。令和7年度からは助成対象が拡大され、さらに使いやすくなりました。この記事では、最大300万円が支給される本助成金の概要から申請方法まで、どこよりも分かりやすく徹底解説します。
葛飾区 人材確保・人材定着支援事業費助成金とは?
この助成金は、女性や高齢者、障害者を含むすべての従業員にとって働きやすい職場環境を整備することで、人材の確保と定着を促進することを目的としています。トイレの改修や休憩スペースの新設、暑さ対策グッズの購入など、労働環境を改善するための経費の一部が助成されます。
制度概要(令和7年度)
| 助成対象 | 働きやすい職場環境づくりのための施設改修や備品購入等 |
|---|---|
| 助成率 | 対象経費の1/2 |
| 上限額 | 原則250万円 (ワーク・ライフ・バランス推進認定企業は300万円) |
| 申請期間 | 令和7年6月2日(月)~ 令和8年2月27日(金)必着 |
| 実施機関 | 葛飾区 産業観光部 産業経済課 |
あなたの会社は対象?7つの必須要件をチェック
この助成金を利用するには、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。自社が該当するか、一つずつ確認していきましょう。
- 1. 中小企業であること
中小企業基本法で定められた資本金または従業員数の基準を満たす必要があります。業種ごとに基準が異なるため、下の表で確認してください。 - 2. 葛飾区内に事業所があること
事業所、営業所、工場、店舗などが葛飾区内にあることが必須です。 - 3. 常時使用する従業員が1人以上いること
上記の区内事業所で、常時雇用の従業員が1人以上いる必要があります。 - 4. 育児・介護休業法に対応した就業規則があること
労働基準監督署に届出済みの就業規則があるか、または令和8年3月までに届出予定であることが条件です。 - 5. 葛飾区SDGs宣言を行っていること
これから宣言を行う場合でも対象となります。 - 6. 他の補助金等と重複していないこと
目的や対象が類似した他の補助金を、同じ経費で受けていない(受ける予定がない)ことが必要です。 - 7. 税金を滞納していないこと
直近期の法人都民税、または前年度課税分の特別区民税の滞納がないことが条件です。
中小企業の定義(要件1の詳細)
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業など | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 小売業、飲食業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
※医療法人や社会福祉法人、一般社団法人なども対象となります。詳細は公式サイトをご確認ください。
何に使える?対象経費の具体例
助成の対象となるのは、区内事業所における以下の3つのカテゴリーの経費です。自社の課題に合わせて活用を検討しましょう。
1. 施設の新設・改修に係る工事・設計費
- 従業員用トイレ、ロッカー室、休憩スペース、シャワー室
- 女性(男性)が少ない職場での専用施設
- 手すりの設置や段差解消などのバリアフリー対応工事
2. 暑熱・寒冷対策の備品購入費
- スポットクーラー
- 業務用ストーブ
- サーキュレーター など
- ※設置工事が必要な固定式のエアコン等は対象外です。
3. 暑熱・寒冷対策の消耗品購入費
- ファン付き作業服
- ヒーター付き作業服
- 熱中症警報リストバンド など
- ※使い捨て品は対象外です。
申請手続きの完全ガイド|流れと必要書類
申請は「交付申請」と、工事費の場合のみ「実績報告」、そして最後に「助成金の請求」という流れで進みます。特に交付申請は期限が定められているため、計画的に準備を進めましょう。
ステップ1:交付申請
- 申請期間:令和7年6月2日(月)~ 令和8年2月27日(金)必着
- 申請方法:オンライン申請、または郵送・持参
- 提出先:葛飾区 産業経済課 経営支援係(テクノプラザかつしか内)
- 主な必要書類:
- 交付申請書(第1号様式)
- 事業計画書(別紙様式1)
- 企業概要(別紙様式2)
- 従業員名簿(別紙様式3)
- 法人都民税又は特別区民税の納税証明書
- 育児・介護休業法に対応した就業規則の写し
- 葛飾区SDGs宣言証の写し
- 経費の内訳がわかる見積書の写し
- 【工事の場合】工事前の状況がわかる写真や図面
※備品・消耗品購入費の場合は、交付申請と実績報告を兼ねた「交付申請兼実績報告書(第9号様式)」を使用します。
ステップ2:実績報告(工事・設計費の場合のみ)
工事・設計費で申請した場合、事業が完了し、支払いも終えたら実績報告が必要です。
- 報告期間:事業費支払後 ~ 令和8年3月31日(火)必着
- 手続き:オンライン、または郵送・持参で実績報告書等を提出します。
- 注意点:備品・消耗品購入費のみの申請の場合は、この手続きは不要です。
ステップ3:助成金の請求
区の審査が完了すると「助成金交付額確定通知書」が届きます。この通知書を受け取ったら、請求書を提出します。
- 提出方法:メール、または郵送・持参
- 様式:交付請求書(第11号様式)を使用します。
申請前に確認!3つの重要注意点
- 事業完了期限
助成対象となる事業は、令和7年度内(令和8年3月31日まで)に実施し、支払いまで完了する必要があります。 - 申請回数の制限
経費の種類によって申請できる回数が異なります。
・工事・設計費:1年度につき1回まで
・備品購入費:6年度につき1回まで
・消耗品購入費:3年度につき1回まで - 事前着手も可能
本助成金の交付申請前に工事や購入、支払いが完了していても申請対象となります。ただし、必ず令和7年度内に完了していることが条件です。
まとめ
葛飾区の「人材確保・人材定着支援事業費助成金」は、従業員が働きやすい環境を整えたい中小企業にとって、非常に価値のある制度です。トイレの改修や休憩室の整備、夏の暑さ対策など、具体的な改善策に最大300万円の支援が受けられます。
要件の確認や書類の準備など、やるべきことは少なくありませんが、この記事を参考に計画的に進めれば、スムーズに申請できるはずです。職場環境の改善は、従業員の満足度向上と生産性アップに直結し、ひいては企業の成長に繋がります。この機会を最大限に活用し、より魅力的な職場づくりを目指しましょう。
対象者・対象事業
葛飾区内に事業所を持つ中小企業等で、常時使用する従業員が1人以上おり、育児・介護休業法に対応した就業規則の届出(または予定)、葛飾区SDGs宣言、税金の滞納がない等の要件をすべて満たす事業者。
必要書類(詳細)
交付申請書、事業計画書、企業概要、従業員名簿、法人都民税又は特別区民税の納税証明書、育児・介護休業法に対応した就業規則の写し、葛飾区SDGs宣言証の写し、見積書、工事前の写真など。詳細は公式サイトで要確認。
対象経費(詳細)
【施設の新設・改修】従業員用トイレ・ロッカー室・休憩スペース、女性(男性)専用施設、バリアフリー対応施設等の工事・設計費。【備品購入費】スポットクーラー、ストーブ等の暑熱・寒冷対策備品。【消耗品購入費】ファン付き作業服、ヒーター付き作業服、熱中症警報器等。