海外での特許出願後、「拒絶理由通知」への対応や「出願審査請求」にかかる費用でお困りではありませんか?
INPIT(工業所有権情報・研修館)が実施する「外国出願補助金(中間手続補助)」は、そんな中小企業等の皆様を力強くサポートする制度です。本記事では、この補助金の概要から申請方法まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
令和7年度 INPIT外国出願補助金(中間手続補助)とは?
本補助金は、中小企業等が外国で特許を取得する過程で発生する「中間手続」の経費を一部補助することで、国際的な知的財産戦略を支援する制度です。具体的には、外国特許庁から拒絶理由通知を受けた際の意見書・補正書の提出や、出願審査請求に要する費用が対象となります。
この補助金の重要ポイント
- 対象手続が明確:拒絶理由通知への応答や出願審査請求に特化。
- 費用負担を軽減:代理人費用や翻訳費用など、高額になりがちな経費を最大50万円、1/2補助。
- 前提条件あり:過去にINPITや特許庁の関連する外国出願支援事業の採択を受けていることが必須。
補助金の概要(早見表)
補助金名 | INPIT 外国出願補助金(中間手続補助) |
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実施機関 | INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館) |
申請受付期間 | 令和7年7月1日(火)~ 令和7年12月22日(月)17:00 |
補助上限額 | 1手続(各国別)あたり 50万円以内 |
補助率 | 補助対象経費の 2分の1以内 |
申請方法 | jGrantsによる電子申請のみ |
補助対象となる事業者
本補助金を利用するには、まず大前提として、過去にINPITや特許庁の特定の外国出願支援事業で交付決定を受けている必要があります。その上で、以下のいずれかに該当する日本国内に本社を有する事業者が対象です。
対象者の種類
- 中小企業者:業種ごとに定められた資本金・従業員数の要件を満たす会社または個人事業主。
- 創業特定法人:設立10年未満で資本金3億円以下の法人。
- 試験研究機関等:大学や公設試験研究機関など。
- 実施権者等:上記対象者から実施権の設定を受け、費用を負担する者。
【注意】みなし大企業は対象外です
中小企業者であっても、大企業から一定以上の出資を受けている「みなし大企業」は補助対象外となりますのでご注意ください。
補助対象となる手続と経費
対象となる手続
以下のいずれかの手続が対象です。
- 出願審査請求手続:補助事業期間内に審査請求が完了できるもの。
- 中間応答手続:新規性・進歩性に関する拒絶理由通知を受領し、応答期限内で補助事業期間内に手続が完了できるもの。
対象経費の詳細
経費区分 | 内容 |
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外国特許庁への納付手数料 | 出願審査請求料、意見書・補正書提出手数料、審査官面接手数料など |
代理人費用 | 国内代理人(弁理士等)費用、現地代理人費用 |
翻訳費用 | 意見書や補正書など、手続書類作成にかかる翻訳費用 |
※消費税、日本国特許庁への手数料、特許料・登録料などは対象外です。
※交付決定日以降に契約(発注)し、補助事業実施期間内に支払いを完了した経費のみが対象です。
申請手続きの5ステップ
申請はすべてオンライン(jGrants)で完結します。事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
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1
GビズID取得と書類準備
jGrantsでの申請に必要な「GビズIDプライムアカウント」を取得します(発行に1週間程度かかります)。並行して、公募要領を確認し、見積書や決算書などの必要書類を準備します。 -
2
jGrantsで電子申請
申請期間内にjGrantsにログインし、必要事項を入力して準備した書類をアップロードし、申請を完了させます。 -
3
交付決定通知
審査後、jGrantsを通じて交付決定が通知されます。この通知を受け取るまで、代理人への発注等は絶対に行わないでください。 -
4
補助事業の実施
交付決定後、代理人へ正式に依頼・発注し、外国特許庁への中間手続等を進めます。事業完了期限は令和8年1月30日(金)です。 -
5
実績報告と補助金受領
すべての支払いが完了したら、30日以内または事業完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。金額確定後、補助金が支払われます。
まとめ
INPIT外国出願補助金(中間手続補助)は、海外での権利化プロセスにおける重要な局面を金銭的に支援する、非常に価値のある制度です。特に、拒絶理由通知への対応は専門的な知識と費用が必要となるため、本補助金の活用は大きな助けとなります。
申請には過去の補助金採択という前提条件がありますが、該当する企業様はぜひこの機会を逃さず、国際的なビジネス展開を加速させてください。まずは公式サイトで詳細な公募要領をご確認ください。