詳細情報
令和6年7月25日からの大雨により甚大な被害を受けられた山形県内の中小企業・小規模事業者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。事業の継続に不安を抱え、先の見えない状況に置かれている方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな皆様の事業再建を力強く後押しする「山形県被災中小企業支援事業費補助金(令和7年度実施事業)」について、どこよりも分かりやすく徹底解説します。本補助金は、被災した施設や設備の復旧費用を最大1億円、補助率2/3という手厚い条件で支援するものです。この記事を読めば、対象者や条件、申請の具体的なステップ、採択されるためのポイントまで全て理解できます。事業再建への第一歩を踏み出すための重要な情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
この補助金のポイント
- 令和6年7月の大雨災害で被災した山形県内の中小企業が対象
- 事業用施設・設備の復旧費用を支援
- 補助率は一律2/3以内と手厚い
- 補助上限額は最大1億円(拡張型の場合)
- 建物の建替えや構築物の復旧も対象(拡張型)
- 申請期限は令和7年11月28日(金)まで
① 補助金の概要
まずは、本補助金の全体像を把握しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを解説します。
正式名称
山形県被災中小企業支援事業費補助金(令和7年度実施事業)
実施組織
山形県(担当:産業労働部 商業振興・経営支援課)
目的・背景
この補助金は、令和6年7月25日からの大雨災害により被災した中小企業・小規模事業者の事業再建を支援することを目的としています。被災した事業用の施設や設備の復旧にかかる経費の一部を補助することで、事業者の早期の事業再開と経営の安定化を図り、地域経済の維持・活性化に繋げるための重要な制度です。令和7年度版は、令和6年度版から内容が拡充され、建物の建替えなども対象となる「拡張型」が新設されるなど、より手厚い支援内容となっています。
② 補助金額・補助率
本補助金は、復旧の規模に応じて「基本型」と「拡張型」の2つのタイプが用意されています。それぞれの補助率と補助金額を詳しく見ていきましょう。
| 区分 | 補助率 | 補助金額(下限~上限) |
|---|---|---|
| 基本型 | 2/3以内 | 10万円 ~ 1,000万円 |
| 拡張型 | 10万円 ~ 1億円 |
【重要】
・基本型と拡張型の両方に申請する場合の補助上限額は、合計で1億円です。
・令和6年度に「山形県被災中小企業支援事業費補助金」の交付を受けている場合、その交付額が今回の上限額から差し引かれます。(例:令和6年度に200万円受給した場合、令和7年度の基本型の上限は800万円になります)
計算例
例えば、被災した機械装置の修繕に税抜1,200万円の費用がかかった場合:
- 補助対象経費:1,200万円
- 補助率:2/3
- 計算上の補助額:1,200万円 × 2/3 = 800万円
- この場合、基本型の上限1,000万円の範囲内なので、800万円が補助されます。
③ 対象者・条件
補助金を利用するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。ご自身が該当するか、一つずつ確認していきましょう。
- 1. 対象地域の中小企業・小規模事業者であること
災害救助法が適用された以下の16市町村に事業所を有する商工業者である必要があります。
(鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、村山市、尾花沢市、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、三川町、庄内町、遊佐町)
※ただし、いわゆる「みなし大企業」は対象外です。 - 2. 認定支援機関の確認を受けていること
作成する事業計画について、地域の商工会・商工会議所、金融機関などの「認定経営革新等支援機関」の確認を受ける必要があります。 - 3. 公的な被災証明があること
令和6年7月25日からの大雨災害により被災したことを証明する、市町村等が発行する「被災証明書」や「り災証明書」の交付を受けている必要があります。 - 4. BCP(事業継続計画)を策定すること
実績報告時までに、いずれかの形式でBCPを策定する必要があります。今後の災害に備える姿勢が求められます。
・経済産業大臣認定の「事業継続力強化計画」
・山形県版BCPモデル
・上記に準じた事業者独自の計画 - 5. 事業を継続する意思があること
今後も事業を継続していく明確な意思が必要です。廃業や事業譲渡を予定している場合は対象外となります。
④ 補助対象経費
どのような費用が補助の対象になるのでしょうか。「基本型」と「拡張型」で対象経費が異なりますので、注意が必要です。
| 経費区分 | 内容 | 基本型 | 拡張型 |
|---|---|---|---|
| 機械装置費 | 被災した機械装置、工具、器具の修繕・取換え | ○ | ○ |
| 建物修繕費 | 被災した事業用建物の修繕 | ○ | ○ |
| 車両費 | 被災した事業用車両の修繕・取換え | ○ | ○ |
| 建物建替費 | 被災した事業用建物の建替え・代替建物の取得 | × | ○ |
| 構築物復旧費 | 被災した事業用構築物(塀、看板など)の修繕・取換え | × | ○ |
経費に関する注意点
・原則として修繕による復旧が基本です。修繕が不可能な場合に限り、取換えや建替えが認められます。
・拡張型に申請する場合、原則として市町村の固定資産課税台帳に記載されている施設・設備が対象です。
・拡張型で原状回復を超える復旧(例:より性能の高い機械を導入)も可能ですが、補助対象となる経費は原状回復に必要な費用が上限となります。そのため、原状回復工事の見積書が別途必要になります。
⑤ 申請方法・手順
申請は、定められた期間内に必要書類を提出することで行います。全体の流れとスケジュールをしっかり確認し、計画的に準備を進めましょう。
申請スケジュール
- 申請書受付開始: 令和7年4月1日(火曜日)
- 申請書提出期限: 令和7年11月28日(金曜日)午後5時必着
- 補助金交付決定: 令和7年4月上旬以降、随時
- 事業実施期間: 交付決定日 ~ 令和8年2月13日(金曜日)まで
- 実績報告提出期限: 事業完了後15日以内(最終期限:令和8年2月27日)
申請のステップ
- 事前相談・準備
まずは地域の商工会・商工会議所等の認定支援機関に相談し、事業計画の策定支援を受けましょう。同時に、市町村から被災証明書等を取得します。 - 必要書類の収集・作成
公募要領を確認し、申請書、事業計画書、被災状況がわかる写真、復旧費用の見積書など、必要な書類を漏れなく準備します。 - 申請書の提出
すべての書類が揃ったら、提出先へ郵送します。期限厳守です。 - 審査・交付決定
山形県にて審査が行われ、採択されると「交付決定通知書」が届きます。 - 事業の実施
交付決定後、事業(修繕、購入など)を開始します。発注、納品、支払いまでを事業実施期間内に完了させる必要があります。
※特例:交付決定前に契約・支出したものでも、災害救助法の適用時点以降の発注であれば、遡って対象とすることが可能です。 - 実績報告
事業が完了したら、15日以内に実績報告書と証拠書類(契約書、請求書、領収書、写真など)を提出します。 - 補助金額の確定・支払い
実績報告書の内容が審査され、補助金額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
必要書類リスト
主な必要書類は以下の通りです。詳細は必ず山形県の公式サイトで公募要領をご確認ください。
- 交付申請書
- 事業計画書
- 収支予算書
- 認定支援機関による確認書
- 被災証明書またはり災証明書の写し
- 被災した施設・設備の写真
- 復旧に係る経費の見積書の写し
- (法人の場合)履歴事項全部証明書、決算報告書
- (個人の場合)本人確認書類、確定申告書の写し
- その他、県が必要と認める書類
⑥ 採択のポイント
申請すれば必ず採択されるわけではありません。審査を通過し、確実に補助金を受け取るためのポイントを解説します。
事業計画書の具体性
最も重要なのが事業計画書です。単に「壊れたから直す」だけでなく、「なぜこの復旧が必要なのか」「復旧によって事業がどのように回復・発展するのか」「今後の事業継続に向けた具体的なビジョン」などを、説得力をもって記述することが重要です。数値目標なども盛り込み、計画の実現可能性を示しましょう。
認定支援機関との密な連携
認定支援機関の確認は必須要件ですが、単にハンコをもらうだけでは不十分です。計画策定の段階から専門家のアドバイスを受け、客観的な視点で計画をブラッシュアップしてもらいましょう。金融機関や商工会・商工会議所は、多くの事業者の事例を知っているため、有益な助言が期待できます。
BCP策定への意識
実績報告時までのBCP策定が要件となっていますが、申請段階から策定を意識し、事業計画にその考えを反映させることが望ましいです。今回の被災経験を教訓に、将来の災害リスクにどう備えるかを示すことで、事業継続への強い意志をアピールできます。
よくある不採択理由
- 申請書類の不備(記入漏れ、添付書類不足など)
- 補助対象外の経費を申請している
- 事業計画の具体性や実現可能性が低い
- 被災状況と復旧内容の整合性が取れていない
- 補助対象者の要件を満たしていない
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. リースしている機械が被災しました。対象になりますか?
A1. いいえ、対象外です。本補助金は、自社で所有する事業用施設・設備が対象となります。
Q2. 交付決定を待たずに、緊急で工事を始めてしまいました。補助金の対象になりますか?
A2. はい、対象になる可能性があります。交付決定前に契約・支出したものであっても、災害救助法の適用時点(令和6年7月25日)以降に発注したものであれば、遡って補助対象とすることが可能です。ただし、必ず採択される保証はないためご注意ください。
Q3. BCP(事業継続計画)は、いつまでに策定すれば良いですか?
A3. 事業完了後の実績報告書を提出する時までに策定している必要があります。申請時に未策定でも問題ありません。
Q4. 拡張型で、被災した設備より高性能な新しい設備を導入したいのですが可能ですか?
A4. はい、可能です。ただし、補助対象となる経費は、被災した設備と同等のものに復旧する場合の費用(原状回復費用)が上限となります。差額分は自己負担となりますので、原状回復費用の見積書も必要です。
Q5. 認定支援機関はどこに相談すれば見つかりますか?
A5. 普段お付き合いのある金融機関(銀行、信用金庫など)や、事業所所在地の商工会・商工会議所が認定支援機関となっている場合が多いです。まずはそちらにご相談ください。
⑧ まとめ・行動喚起
今回は、令和6年7月の大雨災害で被災された山形県の中小企業・小規模事業者向けの「被災中小企業支援事業費補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 対象者: 山形県内16市町村の被災した中小企業・小規模事業者
- 補助額: 最大1億円(拡張型)、補助率2/3
- 対象経費: 施設・設備の修繕、建替え、取換えなど
- 申請期限: 令和7年11月28日(金)午後5時必着
- 必須要件: 認定支援機関の確認、BCP策定など
この補助金は、皆様が困難を乗り越え、再び力強く事業を前進させるための大きな支えとなるはずです。申請には準備が必要ですが、諦めずに挑戦する価値は十分にあります。
何から手をつけて良いかわからないという方は、まずはお近くの商工会・商工会議所、または取引金融機関にご相談ください。専門家があなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれます。
事業再建への道は決して平坦ではないかもしれませんが、利用できる制度を最大限に活用し、共にこの困難を乗り越えていきましょう。
お問い合わせ先
- 担当部署: 山形県産業労働部商業振興・経営支援課 経営支援係
- 住所: 〒990-8570 山形市松波2-8-1
- 電話番号: 023-630-2354
- 公式サイト: 山形県被災中小企業支援事業費補助金