「後継者が見つからない」「事業の将来が不安だ」…そんな悩みを抱える経営者様は少なくありません。本記事では、後継者不在の中小企業が第三者を後継者として迎える際の準備費用を支援する「事業承継・引継ぎ補助金(事業承継トライアル)」について、専門家が分かりやすく解説します。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継トライアル)とは?
この補助金のポイント
この制度は、後継者不在に悩む中小企業が、親族や従業員以外の第三者を後継者候補として迎え入れるための取り組みを支援するものです。事業承継計画の策定から後継者とのマッチング、教育までの一連のプロセスにかかる費用が補助対象となります。
補助金の概要(早見表)
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 最大350万円 |
補助率 | 2/3以内 |
対象者 | 第三者への事業承継を計画している中小企業・小規模事業者等 |
公募期間(第3次) | 2021年10月18日(月)~11月22日(月) ※公募は終了しています |
実施機関 | 中小企業庁 |
補助対象となる3つの取り組み
本補助金は、以下の3つの取り組みを支援します。全てに取り組む必要はありません。
(1) 事業承継計画の策定
円滑な第三者承継を実現するため、金融機関などの外部専門家と連携して事業承継計画を策定・改善する取り組みです。財務分析や経営資源の棚卸しなどが含まれます。
(2) 後継者候補の選定(マッチング)
策定した計画に基づき、人材ビジネス事業者などの外部機関と連携して、社外から後継者候補を選定する取り組みです。
(3) 後継者教育の実施
マッチングした候補者に対して、事業を円滑に引き継ぐための後継者教育を行う取り組みです。専門資格の取得費用や外部セミナーの受講費用などが対象です。
補助対象経費と補助額・補助率
支援区分 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
事業承継計画の策定支援 | 100万円以内 | 2/3以内 |
後継者マッチングに伴う手数料等 | 250万円以内 | |
※後継者教育にかかる経費も対象となります。 ※補助対象経費:謝金、旅費、外注費、外部研修・受験費、会議費、資料購入費など |
主な申請要件【3つの重要ポイント】
- 外部機関の支援を受けていること
本補助金は、事業者単独の取り組みは対象外です。金融機関や人材紹介会社など、外部の専門機関から支援を受けることが必須条件です。 - 事業期間内に支援・支払いが完了すること
補助対象となる経費は、原則として交付決定日以降に発注し、補助事業実施期間内(例:2022年1月31日まで)に支払いを完了したものである必要があります。 - 指定の後継者教育プログラムを受講すること
補助事業者(経営者)と後継者候補の双方が、執行管理団体が提供する後継者教育プログラムを受講する必要があります。このプログラムの受講完了後に補助金が支給されます。
申請から受給までの流れ
- 1公募期間内に申請書類を提出
- 2審査・選定
- 3補助金の交付決定
- 4補助事業の実施(計画策定、マッチング、教育など)
- 5実績報告書の提出
- 6補助金額の確定・支給
まとめ
「事業承継・引継ぎ補助金(事業承継トライアル)」は、後継者不在という深刻な経営課題に対し、第三者承継という選択肢を強力に後押しする制度です。専門家の支援を受けながら計画的に事業承継を進めることで、企業の存続と発展を目指すことができます。
今回の公募は終了していますが、事業承継に関する支援策は今後も形を変えて公募される可能性があります。最新情報を見逃さないようにしましょう。