この記事のポイント
この記事では、2020年に実施された「令和2年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業」について解説します。公募は既に終了していますが、大規模な省エネ投資を支援する代表的な補助金であり、今後の後継事業を検討する上で非常に参考になる情報です。過去の事例として、制度の概要や対象設備などを確認しましょう。
令和2年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業とは?
「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」、通称「省エネ補助金」は、事業者が計画した省エネルギーへの取り組みを支援するための補助金です。特に、工場や事業場全体での大規模な省エネ設備導入や、個別の高効率設備への更新などが対象となりました。経済産業省の管轄のもと、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行団体として運営していました。
補助金の基本情報(令和2年度実績)
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業) |
執行団体 | 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII) |
公募期間 | 2020年5月20日(水)〜6月30日(火)17:00必着【公募終了】 |
対象者 | 全国の事業者(工場・事業場) ※「設備単位」は中小企業等に限定 |
予算額(新規採択分) | 122億円 |
2つの事業区分
本事業は、申請の規模や内容に応じて2つの区分が設けられていました。
区分Ⅰ:工場・事業場単位
工場や事業場全体で、複数の設備を組み合わせて包括的な省エネ対策を実施する事業が対象です。エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、エネルギー消費を最適化する取り組みなどが該当します。大規模な投資が想定される区分です。
区分Ⅱ:設備単位
あらかじめ定められた高効率な省エネ設備へ更新する事業が対象です。工場・事業場単位よりも小規模な投資で、特定の設備をピンポイントで更新する場合に活用されました。
⚠️ 注意点
「区分Ⅱ:設備単位」での申請は、中小企業等に限定されていました。大企業は工場・事業場単位での申請が基本となります。
補助対象となった設備(設備単位)
「設備単位」で補助対象となったのは、主に以下の設備です。最新の省エネ補助金でも同様の設備が対象となることが多いので、参考にしてください。
- 高効率空調
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 低炭素工業炉
- 変圧器
- 冷凍冷蔵庫
- 産業用モータ
ポイント:照明は対象外
この補助金では、高効率照明(LEDなど)は補助対象外でした。省エネ補助金によっては照明が対象となる場合もあるため、公募要領の確認が不可欠です。
税制上のメリット「圧縮記帳」
本補助金は、税制上の特例である「圧縮記帳」の適用が認められていました。これは、補助金を受け取った年度の課税所得を圧縮できる制度で、採択事業者にとって大きなメリットとなります。
圧縮記帳とは?
通常、補助金は収益として計上され法人税の課税対象となります。圧縮記帳を適用すると、補助金で購入した固定資産の取得価額を減額(損金算入)することで、補助金収入と相殺し、その年度の税負担を軽減できます。税理士などの専門家への相談が推奨されます。
まとめ:今後の省エネ補助金活用のために
「令和2年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業」は既に終了していますが、その仕組みや対象設備は、現在実施されている「省エネルギー投資促進支援事業」などの後継事業に引き継がれています。過去の事例を学ぶことは、今後の補助金申請を有利に進めるための第一歩です。
省エネ設備の導入を検討している事業者は、常に最新の補助金情報をチェックし、計画的に準備を進めることが重要です。以下のリンクから最新の省エネ関連補助金情報を確認し、次回の公募に備えましょう。