小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、小規模事業者が直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度導入など)に対応し、持続的な経営に向けた販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する、非常に人気の高い補助金です。自社の経営計画に基づいた前向きな投資に対し、経費の一部が補助されます。
本記事では、2023年9月7日に締め切られた第13回公募の情報を基に、制度の全体像を徹底解説します。今後の公募に備え、今のうちから要件やポイントをしっかり押さえておきましょう。
補助金の概要早見表
補助金名 | 小規模事業者持続化補助金<一般型> |
補助上限額 | 最大250万円 ・通常枠: 50万円 ・特別枠: 200万円 ・インボイス特例: 各上限額に+50万円 |
補助率 | 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4) |
対象者 | 常時使用する従業員数が規定以下の小規模事業者等 |
目的 | 販路開拓、業務効率化(生産性向上) |
申請締切 | 第13回:2023年9月7日(木)※公募終了 |
申請できる事業者の条件は?
この補助金を利用するには、まず「小規模事業者」の定義に当てはまる必要があります。
小規模事業者の定義(常時使用する従業員数)
業種分類 | 従業員数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
※「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません。
その他の主な要件
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)。
- 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと。
- 過去の持続化補助金で採択された場合、定められた「事業効果報告」を提出済みであること。
- 過去に「卒業枠」で採択・事業実施した事業者ではないこと。
補助額と申請枠の詳細
本補助金は、事業者の状況や目標に応じて複数の申請枠が用意されています。自社に最適な枠を選択することが重要です。
注目!インボイス特例
2021年9月30日から2023年9月30日の間に免税事業者であった事業者が、適格請求書発行事業者(インボイス事業者)に登録した場合、全ての枠で補助上限額が一律50万円上乗せされます。これにより、最大補助額は250万円となります。
申請枠 | 補助上限額 | 概要 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 経営計画に基づく地道な販路開拓等の取組を支援。 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者向け。 |
卒業枠 | 200万円 | 雇用を増やし小規模事業者の定義を超える事業者向け。 |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリスト等になった事業者向け。 |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け、過去3年以内に開業した事業者向け。 |
補助対象となる経費
販路開拓や業務効率化に関する幅広い経費が対象となります。主な経費項目は以下の通りです。
- 機械装置等費:事業用の機械やソフトウェアの購入費用
- 広報費:チラシ、カタログ、新聞・雑誌広告、看板作成などの費用
- ウェブサイト関連費:WebサイトやECサイトの構築・更新・改修費用 (※補助金申請額の1/4が上限)
- 展示会等出展費:国内外の展示会や商談会への出展料など
- 旅費:販路開拓のための出張費用(宿泊費、交通費)
- 開発費:新商品の試作品やパッケージのデザイン開発費用
- 資料購入費:事業に必要な書籍や資料の購入費用
- 雑役務費:事業遂行のための臨時アルバイト代など
- 借料:事業用の機器・設備のリース・レンタル費用
- 設備処分費:販路開拓のためのスペース確保に伴う設備処分費用 (※補助対象経費総額の1/2が上限)
- 委託・外注費:店舗改装や専門家への相談など、自社で実施困難な業務の委託費用
注意!対象外となる経費の例
パソコン、タブレット、スマートフォン、自動車(事業用車両として認められるものを除く)、文房具などの汎用性が高く目的外使用になりえるものは原則として対象外です。申請前に公募要領で詳細を必ず確認してください。
申請から受給までの流れ
申請手続きは計画的に進めることが採択への鍵となります。
- 経営計画・補助事業計画の作成
自社の強みや市場を分析し、具体的な販路開拓プランを策定します。 - 地域の商工会・商工会議所へ相談
作成した計画書を持参し、助言を受けながら「事業支援計画書(様式4)」の交付を依頼します。 - 申請書類の提出(電子申請)
原則として、補助金申請システム「Jグランツ」で電子申請を行います。(GビズIDプライムアカウントが必須) - 審査・採択・交付決定
事務局による審査後、採択結果が通知され、「交付決定通知書」が届いてから事業を開始できます。 - 補助事業の実施
計画に沿って販路開拓等の取組を実施します。経費の支払いや証拠書類の保管を徹底します。 - 実績報告書の提出
事業完了後、期限内に実績報告書と証拠書類を提出します。 - 補助金額の確定・請求・受給
事務局の検査を経て補助金額が確定し、請求手続き後に補助金が振り込まれます(後払い)。
審査で採択されるためのポイント
書面審査の観点
- 自社の経営状況や強みを適切に把握しているか。
- 経営方針や目標が、自社の強みや市場特性を踏まえているか。
- 補助事業計画が具体的で実現可能性が高いか。
- 販路開拓の取組として有効か、小規模事業者ならではの創意工夫があるか。
- ITを有効に活用する取組が見られるか。
- 事業費の積算が正確・明確で、真に必要な金額か。
加点項目を積極的に活用しよう!
採択の可能性を高めるために、加点項目を積極的に活用しましょう。【重点政策加点】と【政策加点】からそれぞれ1つずつ選択できます。
加点カテゴリ | 加点項目 |
---|---|
【重点政策加点】 (いずれか1つ) |
赤字賃上げ加点 |
事業環境変化加点 | |
東日本大震災加点 | |
【政策加点】 (いずれか1つ) |
パワーアップ型加点(地域資源型/地域コミュニティ型) |
経営力向上計画加点 | |
事業承継加点 | |
過疎地域加点 |
まとめ:次回の公募に向けて準備を始めよう
小規模事業者持続化補助金は、事業の成長を後押しする強力なツールです。公募は終了しましたが、例年複数回実施される傾向にあります。次回のチャンスを逃さないためにも、今から自社の課題を洗い出し、どのような販路開拓や業務効率化が可能か、計画の骨子を練り始めてはいかがでしょうか。
最新情報は公式サイトで発表されますので、定期的にチェックすることをおすすめします。