詳細情報
北九州市で事業を営む中小企業の経営者の皆様へ。原材料費や光熱費などの物価高騰により、厳しい経営環境が続いているのではないでしょうか。利益が圧迫され、新たな設備投資や事業展開に踏み出せないとお悩みかもしれません。そんな皆様を力強く支援するため、北九州市が「物価高騰に立ち向かう中小企業等に対する生産性向上支援助成金」の第2次募集を開始しました。この助成金は、省エネ設備の導入や業務のデジタル化、新商品開発など、企業の生産性を高めるための幅広い取り組みを支援するもので、最大100万円（補助率1/2）という手厚い内容が魅力です。この記事では、制度の概要から対象経費、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。このチャンスを最大限に活用し、物価高の逆風を乗り越え、事業をさらに成長させる一歩を踏み出しましょう。
この記事でわかること
- ✅ 北九州市「生産性向上支援助成金」の全体像
- ✅ 自分が対象者かどうかを確認できる条件
- ✅ 最大100万円の助成金の具体的な使い道
- ✅ 申請から受給までの具体的なステップ
- ✅ 採択率を高めるための事業計画書の書き方のコツ
助成金の概要
まずは、本助成金の基本的な情報を確認しましょう。どのような目的で、誰を対象に、どれくらいの支援が受けられるのかを一覧表にまとめました。
| 北九州市 生産性向上支援助成金 概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 物価高騰に立ち向かう中小企業等に対する生産性向上支援助成金 |
| 実施組織 | 北九州市（産業経済局 中小企業振興課） |
| 目的・背景 | 物価高の影響で厳しい経営環境にある市内中小企業等が行う、生産性向上の取組（省エネ投資、効率化・高収益化等）に要する費用の一部を助成し、競争力向上と地域経済の振興に寄与する。 |
| 対象者 | 北九州市内に事業所を有する中小企業者（個人事業主を含む）で、特定の要件を満たす者。 |
| 募集期間（第2次） | 2025年10月15日（水）～ 2025年12月26日（金） ※期間内でも予算額に達し次第、募集を終了します。 |
| 公式サイト | 北九州市 公式ページ |
【重要】この助成金は先着順の要素が強いです。募集期間内であっても予算がなくなり次第終了となるため、早めの準備と申請が採択の鍵となります。また、第1次募集で交付決定を受けた事業者は対象外となる点にご注意ください。
助成金額・補助率
本助成金の魅力は、その支援規模にあります。具体的な金額と補助率を詳しく見ていきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 対象経費の 2分の1 |
| 助成額 | 下限 10万円 ～ 上限 100万円 |
計算例でイメージを掴もう
具体的な投資額に対して、いくら助成金が受け取れるのか、例を見てみましょう。
- 例1：最新の省エネ型エアコンを導入（費用250万円）
対象経費 250万円 × 1/2 = 125万円
→ 上限額が適用され、助成額は 100万円 となります。 - 例2：顧客管理システムを導入（費用80万円）
対象経費 80万円 × 1/2 = 40万円
→ 助成額は 40万円 となります。 - 例3：新サービスのPR用広告を制作（費用30万円）
対象経費 30万円 × 1/2 = 15万円
→ 助成額は 15万円 となります。 - 例4：従業員向けのスキルアップ研修を実施（費用15万円）
対象経費 15万円 × 1/2 = 7.5万円
→ 下限額（10万円）に満たないため、対象外となります。複数の経費を合算して対象経費を20万円以上にする必要があります。
対象者・条件
この助成金を申請するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に「売上総利益の減少」が重要なポイントです。自社が該当するか、しっかり確認してください。
基本要件
- 中小企業基本法に定められる中小企業者（個人事業主を含む）であること。
- 北九州市内に事業所（本社、支店、工場など）を有し、今後も事業を継続する意思があること。
- 北九州市税を滞納していないこと。
- 暴力団等と密接な関係を有していないこと。
- （株式会社の場合）発行済株式の1/2超を大企業に保有されていないこと。
【最重要】売上要件
以下の2つの要件を両方満たす必要があります。
(1) 売上総利益の減少
2024年4月以降の連続する任意の3ヵ月（対象期間）の売上総利益（粗利）が、2022年4月以降の同じ3ヵ月（基準期間）と比較して10％以上減少していること。
(2) 事業実施計画の策定
申請時に提出する「事業実施計画書」の中に、「生産性を向上させる取組」を具体的に記載すること。
【売上総利益の比較例】
例えば、2024年10月～12月を「対象期間」として選んだ場合、比較する「基準期間」は2022年10月～12月または2023年10月～12月となります。
- 基準期間（例：2023年10月～12月）の売上総利益合計： 300万円
- 対象期間（例：2024年10月～12月）の売上総利益合計： 250万円
- 減少額： 50万円
- 減少率： 50万円 ÷ 300万円 = 16.7% ＞ 10% → 要件クリア！
自社にとって最も有利な（減少率が大きくなる）3ヵ月間を選んで申請することが可能です。月次の損益計算書や売上台帳などを確認し、条件を満たす期間がないか探してみましょう。
補助対象経費
この助成金は、生産性向上に繋がる幅広い取り組みが対象となります。自社の課題解決に合致するものをぜひ見つけてください。なお、原則として北九州市内の事業者への発注・調達に限られる点に注意が必要です。
(1) 省エネ投資の取組
高騰する光熱費を削減し、利益率を改善するための投資です。
- 対象経費例：機械器具費、施設改修費、システム導入費、調査費、指導費など
- 具体例：省エネ性能の高い業務用エアコンや冷蔵庫への更新、LED照明への切り替え、断熱性能向上のための窓や壁の改修、エネルギー管理システム（BEMS）の導入など。
(2) 効率化・高収益化の取組
デジタル技術（DX）の活用や業務プロセスの見直しにより、作業効率を高め、収益力を強化する投資です。
- 対象経費例：機械器具費、施設改修費、システム導入費、調査費、指導費など
- 具体例：会計ソフトや顧客管理システム（CRM）の導入、受発注を自動化するシステムの構築、製造ラインへのロボット導入、配送ルート最適化システムの導入、倉庫内作業を効率化するマテハン機器の導入など。
(3) 新商品・新サービス開発の取組
新たな収益の柱を作るための開発活動です。人件費や固定費も対象になるのが大きな特徴です。
- 対象経費例：マーケティング費、機械器具費、研究開発原材料費、技術指導費、委託費、広告宣伝費、人件費、固定費など
- 具体例：試作品開発のための材料費や機械装置費、市場調査の委託費用、新サービスのプロモーション費用、開発に直接関わる従業員の人件費など。
(4) 売上拡大・経営改善の取組
新たな顧客を獲得し、売上を伸ばすための販路開拓や経営基盤を強化する取り組みです。
- 対象経費例：マーケティング費、広告宣伝費、機械器具費、人件費、固定費、経営コンサルティング費用など
- 具体例：ECサイトの構築費用、展示会への出展料、新規顧客向けのチラシやWeb広告費、経営改善のための専門家へのコンサルティング依頼費用など。
(5) 人材確保・人材育成の取組
企業の成長に不可欠な人材を確保し、従業員のスキルアップを支援する取り組みです。
- 対象経費例：広告宣伝費、仲介手数料、委託費、施設改修費、システム導入費、外部研修参加費、講師謝礼など
- 具体例：求人サイトへの広告掲載料、人材紹介会社への成功報酬、従業員向けのリスキリング研修費用、働きやすい職場環境整備のための休憩室改修費用など。
申請方法・手順
申請から助成金を受け取るまでの流れは以下の通りです。計画的に進めましょう。
- 【事業者】交付申請・事業実施計画の提出
（2025年10月15日～12月26日）
必要書類を揃え、郵送またはメールで提出します。 - 【北九州市】計画認定・交付決定
（随時）
市が申請内容を審査し、採択されると「交付決定通知書」が届きます。 - 【事業者】助成事業への着手・実施
（交付決定後 ～ 2026年1月31日）
必ず交付決定通知書を受け取ってから、事業（発注・契約・支払い）を開始してください。決定前の経費は対象外です。 - 【事業者】事業完了・実績報告書の提出
（事業完了後20日以内）
事業が完了（支払いが完了）したら、実績報告書と証拠書類（契約書、請求書、領収書など）を提出します。 - 【北九州市】実施報告の確認・助成金額の確定
（提出後速やかに）
市が実績報告を審査し、助成金の最終金額を確定します。 - 【事業者】助成金の請求
（金額確定後）
確定した金額を市に請求します。 - 【北九州市】助成金の支払い
（請求後）
指定した口座に助成金が振り込まれます。
必要書類一覧
申請には多くの書類が必要です。漏れがないようにチェックリストとしてご活用ください。様式は北九州市の公式サイトからダウンロードできます。
- □ 助成金交付申請書（第1号様式）
- □ 本人確認書類
- 【法人】法人登記簿謄本（履歴事項全部証明書）、役員等名簿（別紙1）
- 【個人】運転免許証の写しなど
- □ 北九州市内に事業所があることを確認できる書類（登記簿謄本、開業届の写しなど）
- □ 暴力団排除に関する誓約書（別紙2）
- □ 事業実施計画書（第2号様式） ※最重要書類
- □ 市税の納税証明書（市税に滞納がないことの証明）
- □ 売上総利益（粗利）の状況が分かる書類
- 確定申告書、法人事業概況説明書、所得税青色申告決算書などの写し
- 対象期間・基準期間の月次損益計算書、売上台帳など
- □ 見積書の写しなど、所要金額が分かる根拠書類
採択のポイント
採択率は公表されていませんが、予算が限られているため、すべての申請が通るわけではありません。審査で高く評価されるためのポイントを解説します。
鍵は「事業実施計画書」の具体性
審査の核となるのが「事業実施計画書」です。以下の点を意識して、説得力のある計画書を作成しましょう。
- 現状の課題を明確にする：なぜ今、この取組が必要なのか。物価高騰が自社の経営に具体的にどのような影響を与えているのかを数字で示しましょう。（例：光熱費が前年比30%上昇し、利益を5%圧迫している）
- 取組内容を具体的に書く：「効率化を図る」といった抽象的な表現ではなく、「〇〇システムを導入し、受注処理にかかる時間を1件あたり15分から5分に短縮する」のように、誰が読んでもイメージできるレベルで具体的に記述します。
- 投資効果を数値で示す：助成金を活用して何を目指すのか、具体的な目標を数値で設定します。（例：省エネ設備導入により、年間電気代を20万円削減する。生産性が15%向上する。）
- 事業の実現可能性をアピールする：導入する機器の選定理由、導入スケジュール、社内の実施体制などを具体的に示し、計画が「絵に描いた餅」ではないことを証明します。
- 市内経済への貢献を意識する：原則として市内事業者への発注が要件となっているため、その点を計画書でも触れることで、地域経済への貢献意欲を示すことができます。
よくある不採択理由
- 書類の不備（記入漏れ、添付忘れ）
- 対象要件（特に売上総利益減少）を満たしていない
- 事業計画の内容が曖昧で、効果が不明確
- 対象外の経費を申請している
- 交付決定前に事業に着手してしまっている（申請段階では問題ないが、実績報告で発覚）
申請前に、募集要項を隅々まで読み込み、これらの不採択理由に当てはまらないか、第三者の視点でチェックすることが重要です。
よくある質問（FAQ）
Q1. 個人事業主でも申請できますか？
A1. はい、申請できます。中小企業基本法に規定される中小企業者には個人事業主も含まれますので、要件を満たせば対象となります。
Q2. 申請前に購入した設備は対象になりますか？
A2. いいえ、対象外です。助成金の対象となる事業は、必ず北九州市からの「交付決定通知」を受けた後に契約・発注・支払いを行う必要があります。フライングには十分ご注意ください。
Q3. 市外の業者に発注したいのですが、対象になりますか？
A3. 原則として対象外です。この助成金は、市内経済の活性化も目的としているため、対象経費は原則として北九州市内の事業者への発注・調達に限られます。市内で調達できない特別な理由がある場合は、事前に市の担当課へ相談することをおすすめします。
Q4. 売上は減っていませんが、売上総利益（粗利）が減っていれば対象ですか？
A4. はい、対象になる可能性があります。この助成金の要件は「売上高」ではなく「売上総利益（粗利）」の減少です。売上は維持または増加していても、仕入価格や原材料費の高騰で粗利が10%以上減少していれば、要件を満たします。
Q5. 第1次募集で不採択でした。第2次募集で再申請できますか？
A5. はい、再申請可能です。第1次募集で「交付決定済み」の事業者は対象外ですが、申請したものの不採択となった場合は、第2次募集で再度申請することができます。前回の不採択理由を踏まえ、事業計画書をブラッシュアップして挑戦しましょう。
まとめ・行動喚起
今回は、北九州市の「物価高騰に立ち向かう中小企業等に対する生産性向上支援助成金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを振り返ります。
- 支援内容：生産性向上に関する幅広い経費の1/2を、最大100万円まで助成。
- 重要要件：売上総利益が前年同期等と比較して10%以上減少していること。
- 対象経費：省エネ、DX化、新商品開発、販路開拓、人材育成など5つのカテゴリーで非常に幅広い。
- 申請期間：2025年10月15日～12月26日まで。ただし予算上限に達し次第終了。
- 成功の鍵：具体的で説得力のある「事業実施計画書」の作成と、早めの申請。
物価高という厳しい状況は、見方を変えれば、事業のあり方を見直し、生産性を抜本的に改善する絶好の機会とも言えます。この助成金を活用して、未来に向けた力強い一歩を踏み出しましょう。まずは公式サイトで募集要項を再確認し、必要書類の準備を始めることを強くお勧めします。
申請先・問い合わせ先
北九州市産業経済局 中小企業振興課
住所：〒804-0003 北九州市戸畑区中原新町2番1号 北九州テクノセンタービル1階
電話：093-873-1433
メールアドレス：san-chuushou@city.kitakyushu.lg.jp
公式サイト：https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/10700001_00002.html
