岐阜県大垣市で事業を営む中小企業や個人事業主の皆様へ朗報です。昨今の物価高騰により、経営に大きな影響が出ている事業者様を支援するため、大垣市が「中小企業者等物価高騰対策支援事業補助金」の公募を開始します。この補助金は、広告宣伝費や省エネ設備の導入、販路開拓など、経営基盤の強化や事業継続に必要な幅広い経費に対して、最大10万円(補助率2/3)を補助する制度です。厳しい経営環境を乗り越え、次の一手を打つための強力な後押しとなります。本記事では、この魅力的な補助金の対象者、申請方法、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。自社が対象になるか、ぜひ最後までご確認ください。

この補助金のポイント

  • 最大10万円を補助!経営負担を軽減
  • 補助率は対象経費の3分の2と高水準
  • 広告宣伝、設備投資、人材育成など幅広い経費が対象
  • 物価高騰で営業利益が減少した事業者が対象
  • 申請期間は令和7年3月3日から12月26日まで

① 補助金の概要

まずは、本補助金の基本的な情報について確認しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが第一歩です。

正式名称 大垣市中小企業者等物価高騰対策支援事業補助金
実施組織 大垣市
目的・背景 物価高騰の影響により業績が悪化している市内中小企業者等の経営を支援するため、広告宣伝、省エネルギー機器の導入、商品開発、販路開拓、人材育成・確保、経営再建・事業継続、生産性向上、売上原価の抑制に必要な費用の一部を補助することを目的としています。本事業は、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した事業です。
注意点 予算上限に達し次第、申請受付は終了となります。また、必ず事業実施前(発注・契約前)に申請し、交付決定を受ける必要があります。

② 補助金額・補助率

本補助金の補助額と補助率は以下の通りです。自己負担額がどれくらいになるのか、具体例を交えて見ていきましょう。

補助率と上限額

  • 補助率:補助対象経費の3分の2以内
  • 上限額:10万円

計算例

実際にいくら補助されるのか、具体的なケースでシミュレーションしてみましょう。

ケース 補助対象経費(税抜) 計算式 補助金額 自己負担額
例1:広告チラシ作成に9万円支出 90,000円 90,000円 × 2/3 = 60,000円 60,000円 30,000円
例2:省エネ空調の導入に15万円支出 150,000円 150,000円 × 2/3 = 100,000円 100,000円 50,000円
例3:ウェブサイト改修に21万円支出 210,000円 210,000円 × 2/3 = 140,000円 → 上限超過 100,000円(上限額) 110,000円

このように、補助対象経費が15万円以上の場合、補助額は上限の10万円となります。効率よく補助金を受給するためには、15万円以上の事業を計画するのが一つの目安となります。

③ 対象者・条件

本補助金を利用するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。特に「(2) 物価高騰の影響」に関する条件は重要ですので、自社が該当するかを慎重に確認してください。

  • (1) 事業所の所在地など
    市内に事業所を有する法人または個人事業主(市内に住所を有する者に限る)で、中小企業基本法上の中小企業又は農事組合法人であること。
  • (2) 物価高騰の影響(ア・イ・ウのいずれかに該当)
    ア【業歴1年1か月以上の場合】
    令和6年11月以降のいずれかの単月の営業利益率が、令和3年1月から令和6年11月までのいずれかの年との同月比で20%以上減少していること。
    (例)令和5年12月の営業利益率が10%だったが、令和7年12月の営業利益率が7%になった場合 → (10-7)÷10 = 30%減少となり、要件を満たします。

    イ【業歴3か月以上1年1か月未満の場合】
    令和6年11月以降のいずれかの単月の営業利益率が、創業以降のいずれか3か月の平均と比較し、20%以上減少していること。

    ウ【業歴に関わらず対象】
    令和6年11月以降のいずれかの単月の営業利益額が、マイナス(赤字)であること。

  • (3) 税金の滞納がないこと
    市税等の滞納がないこと。
  • (4) 暴力団排除
    大垣市暴力団排除条例に規定する法人または個人でないこと。

④ 補助対象経費

この補助金の大きな魅力は、対象となる経費の幅広さです。経営基盤の強化や事業継続につながる、以下の8つの事業に関する経費が対象となります。

対象となる事業と経費の例

  • (1) 広告宣伝に関する事業
    例:チラシ・パンフレット作成、ウェブサイト制作・改修、ネット広告出稿、看板設置など
  • (2) 省エネルギー機器の導入に関する事業
    例:LED照明への交換、高効率空調設備や業務用冷蔵庫の導入など
  • (3) 商品開発に関する事業
    例:新商品・新サービスの開発にかかる原材料費、デザイン委託費、試作品製作費など
  • (4) 販路開拓に関する事業
    例:展示会への出展費用、ECサイトの構築・改修費用など
  • (5) 人材育成・確保に関する事業
    例:従業員向けの研修・セミナー受講料、求人広告掲載費用など
  • (6) 経営再建・事業継続に関する事業
    例:専門家(コンサルタント等)への相談費用、事業継続計画(BCP)策定費用など
  • (7) 生産性向上に関する事業
    例:業務効率化のためのソフトウェア導入、POSレジシステムの導入、機械装置の購入など
  • (8) 売上原価の抑制に関する事業
    例:仕入方法の見直しや新たな調達先開拓のための調査費用など

対象とならない経費の注意点

以下の経費は補助対象外となるため、ご注意ください。

  • 交付決定前に発注、購入、契約等を行った経費
  • 国や県など、他の補助金の交付を受けている事業に関する経費
  • 汎用性が高く、事業用途が明確でないもの(例:一般的なパソコン、スマートフォン)
  • 不動産の購入費、車両の購入費、公租公課、振込手数料など

詳細は必ず公式の「募集要領」をご確認ください。

⑤ 申請方法・手順

申請は、計画的な準備が重要です。以下のステップに沿って進めましょう。

申請期間

令和7年3月3日(月)~令和7年12月26日(金) ※当日消印有効

申請から交付までの流れ

  1. 事前準備:補助対象事業を計画し、業者から見積書を取得します。
  2. 申請書類の作成:後述の必要書類を揃え、申請書や事業計画書を作成します。
  3. 申請:郵送または電子メールで大垣市役所 商工観光課へ提出します。
  4. 審査・交付決定:市による審査後、「交付決定通知書」が届きます。
  5. 事業の実施:交付決定通知書を受け取った後に、事業の発注・契約・支払いを行います。
  6. 実績報告:事業完了後30日以内、または令和8年1月30日のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。
  7. 補助金額の確定・交付:市が実績報告を審査し、補助金額が確定。その後、指定口座に補助金が振り込まれます。

必要書類一覧

申請には多くの書類が必要です。漏れがないよう、チェックシートを活用しながら準備しましょう。

  • (1) 交付申請書(第1号様式)
  • (2) 事業計画書(別紙1)及び収支予算書兼補助対象経費積算明細書(別紙2)
  • (3) 経費積算の根拠となる見積書等の写し
  • (4) 事業所の所在地が分かる書類(法人:履歴事項全部証明書、個人:直近の確定申告書写しなど)
  • (5) 物価高騰の影響による営業利益率減少等の申告書(第2号、第3号、第4号様式のいずれか)
  • (6) 上記申告書の根拠となる売上額、経費等を証する台帳等の写し
  • (7) 誓約・同意書(第5号様式)
  • (8) 身分証のコピー(個人事業主のみ)
  • (9) 申請チェックシート

※各種様式は大垣市公式ホームページからダウンロードできます。

⑥ 採択のポイント

本補助金は要件を満たせば採択される可能性が高い制度ですが、より確実に採択されるためにはいくつかのポイントがあります。

採択率を高める3つのコツ

  1. 書類の正確性と整合性
    申請の基本は、書類を完璧に揃えることです。特に、営業利益率の減少を証明する申告書と、その根拠となる台帳の数字が一致しているかは厳しくチェックされます。計算ミスや転記ミスがないよう、複数回確認しましょう。
  2. 事業計画の具体性
    「事業計画書」では、「なぜこの事業が必要なのか」「補助金を活用してどのように経営を改善するのか」を具体的に記述することが重要です。「新しい機械を導入して作業時間を20%削減し、生産性を向上させる」など、数値目標を盛り込むと説得力が増します。
  3. 早めの申請を心がける
    本補助金は予算の上限が定められています。申請期間の終盤になると、予算が尽きてしまい受付が終了となる可能性があります。準備が整い次第、できるだけ早く申請することをお勧めします。

よくある不採択理由

  • 交付決定前に事業を開始してしまった:最も多い不採択(または補助金返還)理由です。必ず交付決定通知書が届いてから発注してください。
  • 書類の不備・不足:必要書類が揃っていなかったり、記入漏れがあったりするケースです。チェックシートで最終確認をしましょう。
  • 対象要件を満たしていない:営業利益率の減少率が20%に満たないなど、そもそも対象者の条件に合致していない場合です。申請前に必ず自己チェックを行いましょう。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 創業したばかりでも申請できますか?
A1. はい、可能です。業歴が3か月以上1年1か月未満の事業者様向けに、創業以降のいずれか3か月の平均営業利益率と比較する要件が設けられています。
Q2. 申請は1事業者につき1回だけですか?
A2. はい、その通りです。1事業者につき1回限りの申請となります。複数の経費を申請したい場合は、まとめて1回の申請で行ってください。
Q3. パソコンやタブレットの購入は対象になりますか?
A3. 汎用性が高い備品は原則として対象外となる可能性が高いです。ただし、特定の業務用ソフトウェアを動かすために必須であるなど、生産性向上への直接的な繋がりを事業計画書で明確に説明できる場合は、対象となることもあります。判断に迷う場合は、事前に大垣市商工観光課へ相談することをお勧めします。
Q4. 営業利益が赤字の場合、利益率の減少を証明する必要はありますか?
A4. いいえ、その必要はありません。対象要件の「ウ」に「令和6年11月以降のいずれかの単月の営業利益額が、マイナスであること」と定められています。単月で赤字であれば、それだけで業績悪化の要件を満たすことができます。
Q5. 補助金の消費税の扱いはどうなりますか?
A5. 補助対象経費は、消費税及び地方消費税を除いた金額(税抜価格)となります。申請書や収支予算書を作成する際は、税抜金額で計算してください。

⑧ まとめ・お問い合わせ先

今回は、大垣市が実施する「中小企業者等物価高騰対策支援事業補助金」について詳しく解説しました。物価高騰という逆風の中、事業の維持・発展を目指す事業者様にとって、非常に価値のある制度です。

重要ポイントの再確認

  • 支援内容:最大10万円、補助率2/3
  • 対象者:物価高騰で業績が悪化した大垣市内の中小企業者等
  • 対象経費:広告宣伝、省エネ設備、生産性向上など幅広い用途に活用可能
  • 重要ルール:必ず「交付決定後」に事業を開始すること
  • 申請期間:令和7年3月3日~12月26日(予算上限あり)

まずは自社の経営状況を確認し、対象要件に合致するかどうかをチェックすることから始めましょう。そして、この補助金を活用してどのような経営改善ができるか、具体的な計画を立ててみてください。不明な点があれば、早めに担当窓口へ相談することが成功への近道です。

お問い合わせ先