詳細情報
愛知県安城市で事業を営む中小企業の経営者の皆様へ。近年、取引先や金融機関から「脱炭素」や「カーボンニュートラル」への取り組みを求められる場面が増えていませんか?特に、国際的な目標である「SBT(Science Based Targets)認定」は、企業の環境経営における重要な指標となりつつあります。しかし、その取得には専門的な知識や費用がかかるのが実情です。そこで活用したいのが、安城市が提供する「カーボンニュートラル推進事業補助金(SBT認定取得支援事業)」です。この制度は、SBT認定取得にかかるコンサルティング費用や申請費用の一部を最大50万円まで補助するもので、脱炭素経営への第一歩を力強く後押しします。本記事では、この補助金の概要から申請方法、採択のポイントまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この補助金のポイント
- 安城市内の中小企業が対象
- SBT認定取得にかかるコンサル費用や申請費用を補助
- 補助率は対象経費の2分の1、上限額は50万円
- 事業着手前の「交付確認申請」が必須
- 企業の競争力強化と価値向上に直結
補助金の概要
本補助金は、安城市内の中小企業が脱炭素経営へシフトすることを促進し、持続可能な社会の実現と企業の成長を両立させることを目的としています。具体的には、科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標である「SBT認定」の取得を支援するものです。
そもそもSBT認定とは?
SBT(Science Based Targets)認定とは、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、1.5℃に抑える努力をすること)が求める水準と整合していることを、国際的なイニシアチブ(SBTi)が科学的知見に基づいて認定するものです。大手企業を中心にサプライチェーン全体での脱炭素化が求められる中、SBT認定は取引継続や新規顧客獲得において重要な要素となっています。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 安城市カーボンニュートラル推進事業補助金(SBT認定取得支援事業) |
| 実施組織 | 安城市 |
| 目的 | 市内中小企業の脱炭素経営を促進し、温室効果ガスの排出削減、競争力強化、経営効率化、企業価値向上を図るため |
| 問い合わせ先 | 安城市役所 商工課 工業労政係 (電話: 0566-76-1111) |
補助金額・補助率
本補助金の補助額と補助率は以下の通りです。SBT認定取得には専門コンサルタントの支援が効果的であり、その費用も対象となる点が大きな魅力です。
補助額と補助率の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 対象経費の2分の1 |
| 上限額 | 50万円 |
| 備考 | 1,000円未満の端数は切り捨て。補助金はSBT認定取得後に交付されます。 |
【具体例】補助額の計算方法
実際にどれくらいの補助が受けられるのか、具体的なケースで見てみましょう。
- ケース1:コンサル費用が80万円、申請費用が10万円の場合
対象経費合計:90万円
計算:90万円 × 1/2 = 45万円
→ 補助額:45万円 - ケース2:コンサル費用が120万円、申請費用が10万円の場合
対象経費合計:130万円
計算:130万円 × 1/2 = 65万円
→ 上限額が適用され、補助額:50万円
対象者・条件
本補助金を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。自社が対象となるか、事前に必ず確認しましょう。
- 安城市内の中小企業者であること
法人の場合は本店の所在地、個人事業主の場合は住所地または主たる事業所が安城市内にあることが必要です。 - 同一事業で他の補助金を受けていないこと
同じSBT認定取得の事業に対して、国や県などから他の補助金を受けていないことが条件です。 - 市税を滞納していないこと
- 暴力団等と関わりがないこと
経営や運営に暴力団員等が関与していないことが求められます。
補助対象経費
補助の対象となる経費は、SBT認定取得に直接要する費用に限定されています。具体的には以下の2つです。
- SBT認定取得に係るコンサルティング費用
目標設定、データ収集、申請書類作成支援など、専門家から受けるコンサルティングサービスの費用です。 - SBT認定取得に係る申請費用
SBTi事務局へ支払う審査料などの公式な申請費用です。
【注意】対象外となる経費
自社の人件費、交通費、汎用的なパソコンやソフトウェアの購入費などは対象外となるのが一般的です。対象経費の範囲については、事前に安城市の担当窓口にご確認ください。
申請方法・手順
申請は「事業着手前」と「事業完了後」の2段階で行います。特に、必ずコンサルタントとの契約や申請費用の支払い前に、最初の「交付確認申請」を済ませる必要がある点に注意してください。
ステップ1:交付確認申請(事業着手前)
SBT認定取得に向けた活動を開始する前に、以下の書類を安城市役所 商工課の窓口に提出します。
- 安城市カーボンニュートラル推進事業補助金交付確認申請書(様式8)
- 事業計画書(様式9)
- 見積書等、経費の明細が確認できる書類の写し
- コンサルティングに係る計画書の写し(コンサルティングを受ける場合)
- 法人の登記事項証明書(発行3ヶ月以内)
- 直近の決算書の写し(貸借対照表及び損益計算書)
- 市税の滞納がないことを証する納税証明書(発行3ヶ月以内)
- その他市長が必要と認める書類
ステップ2:事業の実施(SBT認定取得)
市から「補助金交付確認書」を受け取ったら、事業を開始できます。コンサルタントとの契約や費用の支払い、SBT認定の申請手続きを進めてください。事業は、確認書を受け取った年度の翌年度末までに完了させる必要があります。
ステップ3:申請兼実績報告(事業完了後)
無事にSBT認定を取得し、費用の支払いが完了したら、実績報告として以下の書類を提出します。
- 安城市カーボンニュートラル推進事業補助金申請書兼実績報告書(様式11)
- 請求書の写し
- 領収証又は振込書等、支払内容を証明する書類の写し
- コンサルティングの契約書の写し等(コンサルティングを受けた場合)
- SBT認定を取得したことを証明する書類の写し
- 補助金等請求書
ステップ4:補助金の交付
提出された実績報告書が審査され、内容に問題がなければ補助金の交付が決定し、指定した口座に補助金が振り込まれます。
採択のポイント
この補助金は要件を満たせば交付される可能性が高いですが、「予算の範囲内で」という条件があるため、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
- 事業計画書を具体的に記述する
様式9の事業計画書では、SBT認定取得が自社の競争力強化や企業価値向上にどう繋がるのかを具体的に示しましょう。取引先からの要請や将来的な事業展開と関連付けて説明できると説得力が増します。 - 書類の不備をなくす
申請書類に不備があると、審査が遅れたり、最悪の場合、不受理となったりする可能性があります。提出前には、市の公式サイトで最新の様式を確認し、チェックリストを作成して何度も見直しましょう。 - 早めの申請を心がける
補助金は市の予算に基づいて執行されるため、年度末に近づくと予算上限に達してしまう可能性があります。SBT認定取得を決めたら、速やかに準備を進め、早めに交付確認申請を行うことをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申請はいつでもできますか?
A1. はい、事業に着手する前であれば随時申請が可能です。ただし、市の予算がなくなり次第、受付が終了となる可能性がありますので、計画が決まり次第、早めに申請することをお勧めします。
Q2. コンサルタントを使わずに自社だけで申請しても対象になりますか?
A2. はい、対象になります。その場合、補助対象経費は「SBT認定取得に係る申請費用」のみとなります。コンサルティング費用は対象外です。
Q3. 補助金はいつもらえますか?
A3. 補助金は精算払い(後払い)です。SBT認定を取得し、関連費用の支払いをすべて終えた後に実績報告を行い、市の審査を経てから交付されます。事業実施中の資金繰りにはご注意ください。
Q4. 安城市外に支店がありますが、本社が安城市にあれば対象ですか?
A4. はい、法人の場合は本店の所在地が安城市内にあれば対象となります。
Q5. 申請書類の書き方がわかりません。相談できますか?
A5. はい、安城市役所の商工課 工業労政係が担当窓口です。申請前に不明な点や疑問点があれば、事前に電話などで問い合わせることを強くお勧めします。
まとめ
安城市の「カーボンニュートラル推進事業補助金(SBT認定取得支援事業)」は、脱炭素経営という時代の要請に応えようとする意欲的な中小企業にとって、非常に価値のある制度です。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 対象者:安城市に本社等を置く中小企業
- 対象経費:SBT認定取得にかかるコンサル費用・申請費用
- 補助額:対象経費の1/2、上限50万円
- 最重要注意点:必ず事業開始前に「交付確認申請」を行うこと
SBT認定は、企業の環境への貢献度を示すだけでなく、新たなビジネスチャンスを掴むための強力な武器となります。この機会に安城市の補助金を最大限に活用し、持続可能な未来に向けた経営改革の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
詳細や最新情報、申請様式のダウンロードは、必ず安城市の公式ウェブサイトをご確認ください。
安城市カーボンニュートラル推進事業補助金(SBT認定取得支援事業)公式サイト