詳細情報
若年がん患者妊孕性温存治療費助成金：未来への希望を繋ぐ支援
がんと診断された時、治療への不安とともに、将来子供を持つことを諦めざるを得ないと感じる方もいるかもしれません。しかし、医療技術の進歩により、がん治療前に卵子や精子を凍結保存することで、将来的に子供を持つ可能性を残す「妊孕性温存治療」が可能になっています。富士市と静岡市では、若年がん患者の皆様が安心して治療に専念し、未来への希望を繋ぐための経済的支援として、妊孕性温存治療費助成金を提供しています。この助成金は、治療費の一部を補助することで、患者さんの経済的負担を軽減し、より前向きに治療に取り組めるようサポートすることを目的としています。
助成金の概要
正式名称
富士市若年がん患者等妊よう性温存治療費支援事業、静岡市若年がん患者等生殖機能温存治療費補助金
実施組織
富士市、静岡市
目的・背景
若年がん患者が、がん治療によって生殖機能を失う、または低下する可能性がある場合に、将来子供を持つ希望を繋ぐための妊孕性温存治療を支援することを目的としています。晩婚化が進み、妊娠・出産年齢が高まる現代において、若年がん患者の妊孕性温存は重要な課題となっています。
対象者の詳細
以下のすべての条件を満たす方が対象となります。
- 申請時に富士市または静岡市に住所を有する方
- がん等の治療により生殖機能を低下させる、又は失うおそれがあると医師に診断された方
- 指定医療機関で妊よう性温存治療を受けた方
- 妊よう性温存治療の凍結保存時に43歳未満の方
- 婚姻関係にある人（事実婚を含む） ※胚（受精卵）の凍結保存を行った人のみ
- その他の同種の補助を受けていない人
助成金額・補助率
助成金額は、治療方法によって異なります。いずれも医療保険適用外の費用が対象です。
| 治療方法 | 補助限度額（富士市） | 補助限度額（静岡市） |
|---|---|---|
| 卵子凍結 | 40万円 | 40万円 |
| 胚（受精卵）の凍結 | 40万円 | 40万円 |
| 卵巣組織凍結（組織再移植を含む） | 40万円 | 40万円 |
| 精巣内精子採取・凍結 | 35万円 | 35万円 |
| 上記以外の方法による精子凍結 | 2万5千円 | 2万5千円 |
静岡市では、温存後生殖補助医療も補助対象です。保存胚：補助上限額10万円、保存卵子：補助上限額25万円、保存精子：補助上限額30万円、保存卵巣組織：補助上限額30万円。いずれも補助上限回数は、一人につき6回までです。
計算例
例えば、卵子凍結に50万円かかった場合、富士市または静岡市在住の方であれば、最大40万円の助成を受けることができます。残りの10万円は自己負担となります。
対象者・条件
対象となるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
- 申請時において富士市または静岡市に住所を有する方
- がん等の治療により生殖機能を低下させる、又は失うおそれがあると医師に診断された方
- 指定医療機関で妊よう性温存治療を受けた方
- 妊よう性温存治療の凍結保存時に43歳未満の方
- 婚姻関係にある人（事実婚を含む） ※胚（受精卵）の凍結保存を行った人のみ
- その他の同種の補助を受けていない人
静岡市の場合、生殖機能温存治療の凍結保存時に（温存後生殖補助医療の場合は治療期間の初日）年齢が43歳未満の方（誕生日の前々日まで）が対象です。
業種・規模・地域制限
業種や規模による制限はありません。ただし、富士市または静岡市に住所を有することが条件となります。
具体例
例えば、20代の女性が乳がんと診断され、化学療法を受ける前に卵子凍結を希望する場合、この助成金を利用することができます。また、30代の男性が精巣腫瘍と診断され、手術前に精子凍結を希望する場合も同様です。
補助対象経費
補助対象となるのは、妊孕性温存治療に要する経費のうち、医療保険適用外の費用です。
- 診察料
- 検査料
- 薬剤料
- 採卵・採精料
- 凍結保存料
対象外経費
以下の費用は補助対象外となります。
- 入院費
- 入院時の食事代
- その他治療に直接関係のない費用
- 凍結保存の維持に係る費用
- 文書料
- 交通費
申請方法・手順
申請は、以下の手順で行います。
- まず、富士市または静岡市の健康政策課健診担当へ電話で連絡し、申請に必要な書類を確認します。
- 必要な書類を準備します。（必要書類の詳細は後述）
- 準備した書類を持って、健康政策課窓口へ申請します。
- 申請後、審査が行われ、助成金の交付が決定されます。
- 助成金が指定の口座に振り込まれます。
必要書類
富士市と静岡市で若干異なりますが、主に以下の書類が必要です。
- 申請書
- 妊よう性温存治療を行った証明書
- がん等の治療を行った（行う予定である）証明書
- 申請者の身分証明書（運転免許証、マイナンバーカード等）
- 申請者名義の通帳またはキャッシュカード
- 印鑑（スタンプ式以外のもの）
- 両人の戸籍謄本（胚（受精卵）凍結の場合のみ）
- 両人の住民票（胚（受精卵）凍結かつ事実婚の場合のみ）
- 事実婚関係に関する申立書（胚（受精卵）凍結かつ事実婚の場合のみ）
- 委任状（対象者が20歳以上で補助対象者以外の人が申請をする場合のみ）
静岡市の場合、がん治療等証明書（様式第2号）、生殖機能温存治療等証明書（様式第3号）なども必要です。
申請期限・スケジュール
原則、治療の費用を支払った年度の末日までに申請が必要です。難しい場合はご相談ください。静岡市の場合、生殖機能温存治療が終了した日が属する年度内が申請期限です。1月～3月に治療が終了した方は、終了日から起算して90日以内であれば年度をまたいでも申請できます。
オンライン/郵送の詳細
申請は原則窓口での受付となります。静岡市では郵送も可能です。郵送の場合は、簡易書留や特定記録郵便等をお勧めします。
採択のポイント
審査基準
審査基準は、申請者が対象者の要件を満たしているかどうか、提出された書類に不備がないかどうかなどが中心となります。
採択率の情報
採択率は非公開ですが、要件を満たしていれば比較的高い確率で採択されると考えられます。
申請書作成のコツ
申請書は丁寧に、正確に記入することが重要です。特に、医師の診断書や治療計画書など、専門的な書類は内容をよく理解した上で、分かりやすく記述するように心がけましょう。
よくある不採択理由
よくある不採択理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 申請者が対象者の要件を満たしていない
- 提出された書類に不備がある
- 申請期限を過ぎている
- 補助対象外の経費が含まれている
よくある質問（FAQ）
- Q: 助成金はいつ振り込まれますか？
A: 申請後、審査を経て交付決定通知が送付されます。その後、請求書を提出していただき、通常1ヶ月程度で指定の口座に振り込まれます。 - Q: 治療を始める前に申請が必要ですか？
A: いいえ、治療後に申請できます。ただし、申請期限がありますのでご注意ください。 - Q: 事実婚でも申請できますか？
A: はい、胚（受精卵）の凍結保存を行った場合に限り、事実婚でも申請可能です。ただし、事実婚関係を証明する書類が必要となります。 - Q: 他の助成金と併用できますか？
A: 同種の助成金との併用はできません。ただし、静岡県の「小児・AYA世代のがん患者妊孕性温存療法支援事業」との併用が可能な場合があります。 - Q: 申請に必要な書類はどこで入手できますか？
A: 富士市または静岡市の健康政策課健診担当の窓口で入手できるほか、市のホームページからダウンロードすることもできます。
まとめ・行動喚起
若年がん患者妊孕性温存治療費助成金は、がん治療を受ける若年層が将来子供を持つ希望を繋ぐための大切な支援制度です。対象となる方は、ぜひこの制度を活用し、安心して治療に専念してください。ご不明な点やご質問がありましたら、富士市または静岡市の健康政策課健診担当までお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先：
富士市健康政策課健診担当：0545-64-8992
静岡市保健衛生医療課保健医療係：要確認（静岡市HP参照）
