詳細情報
富山県内で訪問看護ステーションを運営されている事業者様へ朗報です。日々、利用者やその家族と真摯に向き合う訪問看護師等のスタッフが、暴力やハラスメントのリスクに晒されることなく、安心して業務に専念できる環境づくりを支援するための新たな補助金が創設されました。それが「富山県 訪問看護ステーション暴力・ハラスメント対策事業費補助金」です。この制度を活用すれば、GPS機能付き防犯ブザーや緊急通報機能のある携帯電話など、スタッフの安全確保に不可欠な防犯機器の導入費用の一部が補助されます。スタッフの安全は、質の高いケアを提供する上での基盤です。本記事では、この重要な補助金の概要から申請方法、採択のポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。大切なスタッフを守り、働きやすい職場環境を整備するために、ぜひ最後までご覧ください。
この補助金のポイント
- 対象者: 富山県内の指定訪問看護事業者
- 補助額: 訪問看護師等1人あたり最大6,000円
- 対象経費: GPS・緊急呼び出し機能付き防犯ブザー等の初年度整備費用
- 申請期間: 令和7年9月25日(木)~令和7年11月7日(金)
- 目的: 訪問看護師等の安全確保と離職防止
① 補助金の概要
正式名称と実施組織
この補助金の正式名称は「富山県 訪問看護ステーション暴力・ハラスメント対策事業費補助金」です。富山県が、地域医療介護総合確保基金を活用して実施しています。
目的と背景
在宅医療の重要性が増す中、訪問看護師は利用者の自宅というプライベートな空間でケアを提供するため、時に利用者やその家族からの予期せぬ暴力やハラスメントに直面するリスクがあります。このような過酷な労働環境は、貴重な人材の離職につながりかねません。
そこで富山県では、訪問看護師等が安心して業務に臨める環境を整備し、暴力・ハラスメントを原因とした離職を防止することを目的に、本補助金を新設しました。具体的には、セキュリティ確保に必要な防犯機器の導入を支援することで、万が一の事態に備え、スタッフの身体的・精神的な安全を守ることを目指しています。
② 補助金額・補助率
補助金の金額は、対象となる経費と基準額に基づいて計算されます。計算方法を正しく理解し、事業計画を立てることが重要です。
補助額の計算方法
補助額は、以下の計算式で算出されます。
補助額 = (AとBのうち、いずれか低い方の額) × 1/2
※算出された額に1,000円未満の端数が生じた場合は切り捨て
- A:対象経費の実支出額(税抜)
- B:補助基準額(1人あたり12,000円 × 対象人数)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助基準額 | 訪問看護師等1人につき 12,000円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 上限額(1人あたり) | 実質 6,000円(12,000円 × 1/2) |
【具体例】計算シミュレーション
具体的なケースで補助額がいくらになるか見てみましょう。
- ケース1:1台10,000円(税抜)の防犯ブザーを5人分購入
- 対象経費の実支出額(A):10,000円 × 5人 = 50,000円
- 補助基準額(B):12,000円 × 5人 = 60,000円
- AとBの比較:A (50,000円) の方が低い
- 補助額:50,000円 × 1/2 = 25,000円
- ケース2:1台15,000円(税抜)の防犯ブザーを3人分購入
- 対象経費の実支出額(A):15,000円 × 3人 = 45,000円
- 補助基準額(B):12,000円 × 3人 = 36,000円
- AとBの比較:B (36,000円) の方が低い
- 補助額:36,000円 × 1/2 = 18,000円
③ 対象者・条件
この補助金を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 富山県内において介護保険サービスを提供する指定訪問看護事業者であること。
対象となる職員は、実際に訪問業務にあたっている以下の職種の方々です。
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職員
④ 補助対象経費
補助金の対象となる経費と、ならない経費を正確に把握することが申請の第一歩です。間違えて申請しないよう、しっかり確認しましょう。
対象となる経費
防犯機器の初年度整備にかかる以下の経費が対象です。
- 機器本体の購入費用:位置検索機能(GPS)および緊急呼び出し機能が付いた防犯ブザー、防犯ボタン付き携帯電話など。
- 付属品の購入費用:ACアダプターや充電器など、使用に必須の付属品。
- レンタルの初期費用:レンタル契約時の初期登録料や加入料金。
対象外となる経費(要注意!)
以下の経費は補助対象外となりますので、十分にご注意ください。
【対象外経費の例】
- 機能が不十分な機器:位置検索機能や緊急呼び出し機能のない単なる防犯ブザー、防犯ボタンのない一般的な携帯電話やスマートフォン。
- ランニングコスト:月額の基本料金、通信料、オペレーター対応費用、警備員の駆けつけサービス料金など。
- アクセサリー類:画面保護フィルム、ストラップ、ケースなど。
- 消費税及び地方消費税。
- レンタル時の紛失・破損等による負担金。
- 他の補助金を受けている、または受ける予定の経費。
⑤ 申請方法・手順
申請から補助金受領までの流れは以下の通りです。特に「交付決定後に事業を開始する」という点が非常に重要です。
- 【STEP 1】申請書類の準備:公式サイトから様式をダウンロードし、必要書類を準備します。導入したい機器の見積書も取得します。
- 【STEP 2】申請書の提出:受付期間内に、必要書類一式を郵送で提出します。
- 【STEP 3】交付決定通知の受領:県による審査後、交付決定通知書が届きます。
- 【STEP 4】事業の実施(契約・購入):必ず交付決定通知書を受け取った後に、防犯機器の契約や購入を行います。
- 【STEP 5】実績報告書の提出:事業が完了したら、期限内に実績報告書と支払いを証明する書類(領収書の写し等)を提出します。
- 【STEP 6】補助金額の確定・交付:県が実績報告書を検査し、補助金額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
申請期間と提出先
| 申請情報 | |
|---|---|
| 受付期間 | 令和7年9月25日(木)から 令和7年11月7日(金)まで(当日消印有効) |
| 提出方法 | 郵送 |
| 提出先 | 〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号 富山県厚生部高齢福祉課地域包括ケア推進係 |
必要書類一覧
申請には以下の書類が必要です。様式は富山県の公式サイトからダウンロードしてください。
- 交付申請書(規則様式第1号)
- 実施計画書(交付要綱様式第1号)及び別表1、別紙1
- 事業計画書(交付要綱様式第2号)及び別紙2
- 収支予算書(交付要綱様式第3号)
- 見積書の写し
- 導入する防犯機器の機能が分かるパンフレット等の写し
- 機関情報
⑥ 採択のポイント
本補助金は、要件を満たしていれば比較的採択されやすいと考えられます。しかし、申請書類に不備があると審査が遅れたり、不採択になったりする可能性があります。以下のポイントを押さえて、万全の準備で臨みましょう。
申請書作成のコツ
- 目的との整合性を明確に:事業計画書には、なぜこの機器が必要なのか、導入することでスタッフの安全確保や離職防止にどう繋がるのかを具体的に記述しましょう。
- 対象経費を正確に計上:対象外経費を含めないように、見積書の内容をよく確認し、税抜金額で正確に申請書へ転記してください。
- 機器の機能証明を忘れずに:導入予定の機器が「位置検索機能」「緊急呼び出し機能」を有していることを証明するため、パンフレットや仕様書の該当箇所にマーカーを引くなど、分かりやすくして添付すると親切です。
よくある不採択・修正指示の理由
- 交付決定前の購入(フライング):最も多い失敗例です。必ず交付決定通知を受け取ってから発注・購入してください。
- 書類の不備:押印漏れ、記入ミス、必要書類の添付忘れなど、基本的なミスがないか提出前に複数人でダブルチェックしましょう。
- 対象外経費の申請:月額料金やスマートフォン本体など、対象外の経費が含まれていると、修正指示や不採択の原因となります。
- 申請期限の徒過:郵送の場合は消印有効ですが、余裕を持ったスケジュールで発送しましょう。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. スマートフォンは補助対象になりますか?
A1. 「防犯ボタンのついていない携帯電話及びスマートフォン」は対象外と明記されています。したがって、一般的なスマートフォンは対象外です。ただし、緊急通報専用の物理的なボタンが搭載されている機種であれば対象となる可能性がありますので、事前に県の担当課へ確認することをおすすめします。
Q2. レンタルと購入、どちらでも対象になりますか?
A2. はい、どちらも対象です。購入の場合は「本体及び付属品の購入費用」、レンタルの場合は「初期登録及び加入料金」が対象経費となります。ただし、どちらの場合も月々の利用料金などのランニングコストは対象外です。
Q3. 職員が年度の途中で増員になった場合、追加で申請できますか?
A3. 募集要項には「増員があった場合を除き申請した翌年度以降は補助対象事業者から外れる」と記載があります。これは、翌年度以降に増員があった場合は再度申請できる可能性があることを示唆しています。年度途中の追加申請については規定がないため、県の担当課へ直接お問い合わせください。
Q4. 申請した台数分の機器を必ず導入しなければなりませんか?
A4. はい、申請した計画に基づいて事業を実施する必要があります。事業完了後の実績報告で、申請内容と実績が異なると補助金額が減額されたり、交付されなかったりする場合があります。計画に変更が生じる場合は、速やかに県の担当課に相談してください。
Q5. 消費税はなぜ対象外なのですか?
A5. 多くの補助金では、消費税は事業者が最終的に国に納付するものであり、事業者の負担とはならないという考え方から、補助対象外とされています。また、事業者によっては消費税の仕入税額控除により還付を受けられるため、二重の利益供与を防ぐ目的もあります。申請額は必ず税抜価格で計算してください。
⑧ まとめ・行動喚起
今回は、富山県が実施する「訪問看護ステーション暴力・ハラスメント対策事業費補助金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 目的:訪問看護師等の安全確保と離職防止のための防犯機器導入支援。
- 対象:富山県内の指定訪問看護事業者。
- 補助額:対象経費の1/2、1人あたり最大6,000円。
- 重要ルール:交付決定後の購入が絶対条件!ランニングコストや消費税は対象外。
- 期限:申請は令和7年11月7日(金)の消印有効。
この補助金は、訪問看護の現場で働く大切なスタッフを守るための強力なサポートです。申請期間は限られていますので、この記事を参考に、今すぐ準備を始めましょう。まずは公式サイトで最新の募集要項と申請様式をダウンロードし、導入する機器の選定と見積もりの取得を進めることをお勧めします。
お問い合わせ先
富山県厚生部高齢福祉課地域包括ケア推進係
〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号
TEL:076-444-3205
FAX:076-444-3492