この記事のポイント
- 徳島県内の宿泊事業者が利用できる最大10億円の「宿泊施設投資促進補助制度」について解説。
- 新築や大規模改修だけでなく、利子補給や融資制度、税制優遇など、4つの支援策を網羅的に紹介。
- 国の「省力化投資促進プラン」にも触れ、人手不足解消に向けたDX・省力化投資の重要性も解説。
- 申請を検討する事業者が知っておくべき要件や手続きの流れ、注意点を分かりやすくまとめています。
徳島県でホテルや旅館などの宿泊事業を営んでいる、またはこれから始めようとしている皆様へ朗報です。徳島県では、観光振興と地域経済の活性化を目指し、宿泊事業者の施設整備を強力に支援する複数の制度を用意しています。特に「徳島県宿泊施設投資促進補助制度」では、最大10億円という大規模な補助が受けられる可能性があります。
この記事では、徳島県が提供する宿泊事業者向けの4つの主要な支援制度(補助金、利子補給、融資、税制優遇)を、国の動向も交えながら詳しく解説します。施設の高付加価値化や人手不足対策をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
【最大10億円】徳島県宿泊施設投資促進補助制度
本支援策の目玉である「徳島県宿泊施設投資促進補助制度」は、宿泊施設の新築や、新築と同等の効果が期待できる大規模改修を支援するものです。事業規模や目指す施設の方向性に応じて、3つの区分が設けられています。
3つの事業区分と補助内容
自社の事業計画に合った区分を確認しましょう。
| 区分 | 補助額(率) | 限度額 | 主な要件例 |
|---|---|---|---|
| 【高単価区分】 | 投下固定資産額の5%~10% | 10億円 | 客室面積20㎡以上、1日売上平均200万円以上など。客室単価やインバウンド対応などで加算あり。 |
| 【宿泊主体型区分】 | 投下固定資産額の5% | 2億円 | 投下固定資産額5億円以上、新規客室数30室以上または新規収容人数100人以上など。 |
| 【小規模高単価区分】 | 投下固定資産額の5% | 5千万円 | 投下固定資産額3千万円以上、新規客室数5室以上、客単価18,000円以上など。 |
補助対象経費
補助の対象となるのは、事業に要する投下固定資産額です。具体的には、建物の新築・改修費用などが該当します。また、用地取得費についても、取得日から3年以内であれば投下固定資産の総額の3分の1を限度として算定できます。
注意点:申請のタイミング
最も重要な注意点は、申請のタイミングです。この補助金は、宿泊施設設置工事の着手30日前(当初契約の30日前)までに「奨励指定申請」を行う必要があります。計画段階での早めの相談・申請が不可欠です。
併用したい!関連支援制度で資金繰りを万全に
徳島県では、上記の補助金に加え、資金調達をサポートする利子補給や融資制度も用意しています。これらを組み合わせることで、自己資金の負担を大幅に軽減できます。
1. 徳島県宿泊施設民間融資活用資金利子補給補助制度
「宿泊施設投資促進補助制度」の奨励指定を受けた事業者が対象です。取扱金融機関からの融資(最大20億円)にかかる利子の一部を、返済開始から3年間、県が補給してくれます。金利負担を抑え、初期の経営を安定させる上で非常に有効な制度です。
2. 徳島県観光施設等整備資金融通制度
宿泊施設の新設・増改築だけでなく、ドライブインや特産品販売所、駐車場といった関連施設の整備にも利用できる融資制度です。事業内容に応じて3つの資金メニューがあります。
- 観光施設整備資金:最大2億円、利率 年1.95%以内
- 大規模宿泊施設整備資金:最大5億円、利率 年1.75%以内(客室数100室以上など)
- スポーツ合宿関連施設整備資金:最大2億円、利率 年1.75%以内
いずれも償還期限は10年以内(据置期間1年以内を含む)で、低利での資金調達が可能です。
さらに税制優遇も!地域未来投資促進法に基づく支援
徳島県の基本計画に基づき「地域経済牽引事業計画」の承認を受けることで、国税や県税の優遇措置が受けられます。大規模な設備投資を行う際には、必ず検討したい制度です。
- 国税の特例:設備投資額(2,000万円以上)に対し、初年度に最大50%の特別償却または最大6%の税額控除が適用されます。
- 県税の課税免除:土地・家屋等の取得価額が1億円を超える場合、不動産取得税が免除されます。
これらの税制優遇は、キャッシュフローの改善に直結するため、投資回収期間の短縮に大きく貢献します。
国の動向:宿泊業の省力化・DX投資の加速
現在、宿泊業界は深刻な人手不足に直面しており、国も「省力化投資促進プラン」を策定し、業界全体の生産性向上を後押ししています。具体的には、以下のような省力化投資が推奨されています。
- フロント業務:自動チェックイン機、AIチャットボット
- 管理業務:PMS(予約等管理システム)による情報一元化
- 飲食業務:配膳ロボット、オーダーシステム、スチームコンベクションオーブン
- 清掃業務:清掃ロボット
徳島県の補助制度を活用して施設を刷新する際には、こうした省力化・DX設備を積極的に導入することで、人手不足に対応し、従業員の負担を軽減しながら、顧客満足度の高いサービスを提供することが可能になります。また、徳島県では別途「生産性革命投資促進事業費補助金」など、DXに特化した補助金も用意されているため、合わせて検討するのも良いでしょう。
まとめ:徳島県の強力な支援策で次世代の宿泊施設へ
徳島県は、最大10億円の補助金をはじめ、利子補給、低利融資、税制優遇といった多角的な支援策で、意欲ある宿泊事業者を全力でサポートしています。これらの制度を戦略的に活用することで、施設の高付加価値化、インバウンド対応強化、そして人手不足という大きな課題の解決へと繋げることができます。
施設の老朽化にお悩みの方、新たなコンセプトで事業拡大を目指す方、DX化で生産性を抜本的に改善したい方は、絶好の機会です。まずは計画の初期段階で、下記の窓口に相談してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
徳島県 観光スポーツ文化部 観光誘客課
- 住所:〒770-8570 徳島県徳島市万代町1丁目1番地
- TEL:088-621-2685
- FAX:088-621-2851
- メール:kankouyuukyakuka@pref.tokushima.lg.jp
対象者・対象事業
徳島県内で旅館・ホテル営業を行う、または行おうとする個人及び法人。※第3セクター、市町村所有施設は除く。
必要書類(詳細)
奨励指定申請書、補助金交付申請書、事業計画書、見積書など。詳細は徳島県観光誘客課へお問い合わせください。
対象経費(詳細)
旅館・ホテルの新築又は新築と同等の効果が期待できる大規模改修に要する経費(投下固定資産額)。用地取得費も、用地取得の日から3年以内は投下固定資産の総額の3分の1を限度として算定可能。