GIGAスクール構想とは?緊急時に学びを止めないための国家プロジェクト
GIGAスクール構想は、Society 5.0時代を生きる子どもたちのために、全国の小中学校で1人1台の学習者用端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びを実現することを目的とした国家プロジェクトです。特に、新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業が相次ぐ中、緊急時でも家庭で学習を継続できる環境を早急に実現するため、令和2年度の補正予算で大幅な支援が組まれました。
この記事のポイント
- GIGAスクール構想を加速させた令和2年度補正予算の全体像を解説
- 「1人1台端末」や「校内ネットワーク整備」など主要な支援策を詳解
- 補助対象となる経費や補助率、申請の注意点を網羅
令和2年度補正予算「GIGAスクール構想の実現」補助金の全体像
この構想を加速させるため、令和2年度補正予算として総額2,292億円が計上されました。この予算は、ハード・ソフト・人材を一体的に整備し、すべての子供たちの学びを保障する環境を早急に実現することを目指したものです。主な支援内容は以下の通りです。
- 児童生徒の端末整備支援(1人1台端末の早期実現)
- 学校ネットワーク環境の全校整備
- 緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備
- GIGAスクールサポーターの配置支援
- 学校からの遠隔学習機能の強化
- 障害のある児童生徒のための入出力支援装置整備
【支援策①】児童生徒1人1台端末の早期実現
GIGAスクール構想の中核となるのが、児童生徒一人ひとりに学習者用コンピュータを整備する取り組みです。当初の計画を前倒し、義務教育段階の全学年を対象に整備が進められました。
補助金の基本情報
項目 | 内容 |
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補助対象 | 国公私立の小学校、中学校、特別支援学校等の児童生徒が使用するPC端末 |
補助率・上限額 | 国公立: 定額(上限4.5万円/台) 私立: 1/2(上限4.5万円/台) |
対象経費 | 学習者用コンピュータ本体、機器の運搬搬入費、設置・据え付け費用 |
留意事項 | 原則としてハードウェアキーボードを有すること。有償のソフトウェアや保守契約、消耗品等は対象外。 |
【支援策②】学校ネットワーク環境の全校整備
1人1台端末を効果的に活用するためには、校内の高速大容量な通信ネットワーク(校内LAN)が不可欠です。この事業では、全ての学校でWi-Fi環境が整備されることを目指しました。
補助金の基本情報
項目 | 内容 |
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補助対象 | 公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等における校内LAN整備 |
補助率 | 1/2 |
対象経費 | 校内LANの新設・更新工事費(ケーブル、サーバー、ルーター、無線アクセスポイント等)、電源キャビネット整備工事費、ネットワーク設計・調査費など |
⚠️ 整備における注意点
文部科学省は、過剰なスペックや高額な見積もりを避けるための助言事例を公開しています。無線APの適正な台数やケーブルの仕様を見直すことで、コストを大幅に削減できる可能性があります。複数社からの見積もり取得や、ICT活用教育アドバイザーへの相談が推奨されています。
【支援策③】家庭学習のための通信環境整備
家庭にWi-Fi環境がない児童生徒でもオンライン学習に参加できるよう、モバイルWi-Fiルーター等の貸与を目的とした通信機器の整備も支援されました。
補助金の基本情報
項目 | 内容 |
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補助対象 | 国公私立の小・中・特支等に在籍する児童生徒への貸与を目的とした可搬型通信機器(モバイルWi-Fiルーター、USBドングル、SIMカード)の購入費 |
補助率・上限額 | 国公立: 定額(上限1万円/式) 私立: 1/2(上限1万円/式) |
ポイント | 主に低所得世帯への貸与用としての整備を想定。通信費自体は補助対象外。 |
【支援策④】GIGAスクールサポーターの配置支援
急速なICT化を進める学校現場の負担を軽減するため、専門的な知見を持つ外部人材「GIGAスクールサポーター」の配置経費が支援されました。
GIGAスクールサポーターの主な業務
- ICT環境整備の設計支援
- 工事や納品時の事業者対応
- 端末等の使用マニュアルやルールの作成
- 教員への使用方法の周知・研修
補助金の基本情報
項目 | 内容 |
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対象校 | 国公私立の小・中・高校・特支等 |
補助率 | 国立: 定額 公私立: 1/2 |
人材 | ICT関係企業OBなど、ICT環境整備等の知見を有する者 |
まとめと関連情報
GIGAスクール構想の実現に向けた補助金は、日本の教育ICT環境を飛躍的に前進させる大きなきっかけとなりました。本記事で紹介した内容は令和2年度補正予算に基づくものですが、この構想の理念や整備のポイントは、今後の学校運営においても非常に重要です。
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