詳細情報
東京都の島しょ地域(伊豆諸島・小笠原諸島)にお住まいの方、または事業を営んでいる皆様へ朗報です。電力の安定供給や頻発する自然災害への備えは、島しょ地域にとって喫緊の課題です。その解決策として、東京都は太陽光発電設備と蓄電池の導入を強力に支援する「島しょ地域における太陽光発電設備等助成事業」を実施しています。この制度を活用すれば、導入経費の4分の3、最大1億円という非常に手厚い助成を受けることが可能です。この記事では、制度の概要から申請方法、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。エネルギーの自給自足とレジリエンス向上を実現する絶好の機会を、ぜひご活用ください。
【令和6年度からの重要変更点】
これまで太陽光発電設備の発電出力の2時間分とされていた蓄電池の補助上限容量が撤廃されました。これにより、より大容量の蓄電池を導入しやすくなり、災害時の備えを一層強化できます。
「島しょ地域における太陽光発電設備等助成事業」とは?
本事業は、東京都が「2050年CO2排出実質ゼロ」を目指す「ゼロエミッション東京」戦略の一環として行うものです。島しょ地域における再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギーの安定供給と災害対応能力(レジリエンス)の向上を図ることを目的としています。
助成金の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 島しょ地域における太陽光発電設備等助成事業 |
| 実施組織 | 公益財団法人東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター(愛称:クール・ネット東京) |
| 目的 | 島しょ地域のエネルギー自立とレジリエンス向上、再生可能エネルギーの普及拡大 |
| 事業期間 | 令和6年度~令和8年度(助成金の交付は令和9年度まで) |
どのくらい補助される?助成金額と補助率を徹底解説
本助成金の最大の魅力は、その手厚い補助内容です。設備ごとに計算方法が定められており、上限額も高く設定されています。
助成率と助成額の計算方法
助成額は、以下の①と②を比較し、いずれか小さい方の額が適用されます。ただし、島しょ地域の町村が申請する場合は①の額となります。
| 対象設備 | ① 経費基準 | ② 性能基準 |
|---|---|---|
| 太陽光発電設備 | 助成対象経費の4分の3以内 | 発電出力 1kWあたり30万円 |
| 蓄電池 | 助成対象経費の4分の3以内 | 蓄電容量 1kWhあたり30万円 |
助成上限額
1つの助成対象事業につき、上限1億円です。
具体的な計算例
例:個人住宅に太陽光発電5kW、蓄電池10kWhを総額400万円で設置する場合
- 太陽光発電 (5kW / 250万円)
- ① 経費基準: 250万円 × 3/4 = 187.5万円
- ② 性能基準: 5kW × 30万円/kW = 150万円
- → 比較して小さい方の150万円が助成額
- 蓄電池 (10kWh / 150万円)
- ① 経費基準: 150万円 × 3/4 = 112.5万円
- ② 性能基準: 10kWh × 30万円/kWh = 300万円
- → 比較して小さい方の112.5万円が助成額
- 合計助成額: 150万円 + 112.5万円 = 262.5万円
- 実質負担額: 400万円 – 262.5万円 = 137.5万円
誰が対象?申請できる人と設備の条件
助成対象者
以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 事業者:民間企業、独立行政法人、公益財団法人、医療法人、社会福祉法人など
- 個人・個人事業主:島しょ地域に住宅を所有する個人や個人事業主
- 島しょ地域の町村:大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村
助成対象設備
- 太陽光発電設備
- 蓄電池(定置用のみ。リユース品により構成され販売されている製品も対象)
主な助成要件(重要ポイント)
申請にあたっては、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 設備を設置し、電気を消費する施設や住宅が都内島しょ地域にあること。
- 固定価格買取制度(FIT/FIP)の設備認定を受けない設備であること。
- 原則として、太陽光発電設備と蓄電池を同時に設置すること。(※既に太陽光発電設備がある場所に蓄電池のみを設置する場合も対象)
- 太陽光発電設備で得られる環境価値(J-クレジットなど)を全て東京都に帰属させること。
- 島しょ地域の自然条件(風況、塩害等)への対策を考慮して設置すること。
- 設置する設備は未使用品であること。(蓄電池のリユース構成品は除く)
何に使える?補助対象となる経費
対象となる経費
- 設計費:設備の設置に係る設計費用
- 設備費:太陽電池モジュール、架台、パワーコンディショナ、接続箱、蓄電池ユニット、その他付属機器の購入費用
- 工事費:設備の設置に必要な据付、電気配線、足場設置などの工事費用
対象とならない経費
- 土地の取得や造成にかかる費用
- 既存設備の撤去・処分費用
- 申請手続きの代行費用、印紙代など
- 系統連系に要する費用(電力会社に支払うもの)
- 消費税及び地方消費税
申請から交付までの流れ【5ステップで解説】
申請は計画的に進めることが重要です。特に、交付決定前に契約・工事を行うと助成対象外となるため注意が必要です。
申請期間
令和7年度申請:令和7年4月1日(火)から令和8年3月31日(火)17時まで
※予算額に達し次第、受付は終了となります。早めの準備・申請をおすすめします。
- ステップ1:事前準備と計画策定
設置業者を選定し、設備の仕様や設置場所を決定します。業者から詳細な見積書を取得し、事業計画を立てます。 - ステップ2:申請書類の作成と提出
クール・ネット東京の公式サイトから最新の申請様式をダウンロードし、必要事項を記入します。必要書類を揃え、原則として指定のメールアドレスに送付します。 - ステップ3:交付決定
クール・ネット東京による審査が行われます(通常2〜3ヶ月程度)。審査に通ると「交付決定通知書」が送付されます。この通知書を受け取るまで、業者との契約や工事着手は絶対に行わないでください。 - ステップ4:事業の実施と実績報告
交付決定後、設備の設置工事を行います。工事完了後、支払いを済ませ、指定された期間内に「実績報告書」と関連書類を提出します。 - ステップ5:助成金の交付
実績報告書が審査され(通常2ヶ月程度)、助成金額が確定すると「額の確定通知書」が届きます。その後、指定した口座に助成金が振り込まれます。
採択されるための3つの重要ポイント
本助成金は予算に限りがあるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。以下のポイントを押さえて、採択の可能性を高めましょう。
ポイント1:事業計画の具体性と妥当性
なぜこの規模の設備が必要なのか、発電した電力をどのように自家消費するのか、災害時にどう活用するのかなど、事業の目的と計画を具体的に示しましょう。費用対効果や事業の継続性も重要な審査項目です。
ポイント2:島しょ地域の特性への配慮
要件にもある通り、塩害や台風による強風への対策は必須です。使用する機器が塩害仕様であることや、架台の強度が十分であることなどを、設計図や仕様書で明確に示すことが重要です。
ポイント3:書類の不備をなくす
申請書類の不備は、審査の遅れや不採択の大きな原因となります。公式サイトで公開されている「申請書類チェックリスト」を活用し、提出前に何度も確認しましょう。特に、見積書の内容と申請額の整合性、押印漏れなどには注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 既に太陽光発電を設置していますが、蓄電池のみの追加でも対象になりますか?
A1. はい、対象になります。その場合、既設の太陽光発電設備から得られた電気の全部または一部を蓄電する事業であることが条件となります。
Q2. 申請から助成金を受け取るまで、どのくらいの期間がかかりますか?
A2. 公式サイトによると、申請受付から交付決定まで通常2〜3ヶ月、実績報告受付から助成金確定まで通常2ヶ月程度とされています。ただし、申請が集中する時期や書類に不備がある場合はさらに時間がかかる可能性があります。
Q3. リース契約の設備は対象になりますか?
A3. 助成対象設備は申請者が所有するものである必要があります。リース契約は原則として対象外ですが、詳細は必ず「手続きの手引き」を確認するか、クール・ネット東京にお問い合わせください。
Q4. 申請前に工事を始めても良いですか?
A4. いいえ、絶対にいけません。必ず「交付決定通知書」を受け取ってから、業者との契約や工事を開始してください。事前着手は助成対象外となります。
Q5. リユース品の蓄電池も対象ですか?
A5. はい、リユースバッテリーにより構成され、製品として販売されている蓄電池は助成対象となります。
まとめ:島しょ地域の未来を創るエネルギー投資を今こそ
「島しょ地域における太陽光発電設備等助成事業」は、島の暮らしと事業をより安全で持続可能なものにするための強力な支援策です。最後に重要なポイントをまとめます。
- 対象者:島しょ地域の事業者、個人・個人事業主、町村
- 対象設備:太陽光発電設備と蓄電池(FIT/FIP認定を受けないもの)
- 助成額:対象経費の4分の3以内、最大1億円
- 申請期間:令和8年3月31日まで(ただし予算上限に達し次第終了)
- 注意点:必ず交付決定後に事業を開始すること
この機会を最大限に活用し、クリーンエネルギーの導入と災害に強い地域づくりを進めましょう。まずは公式サイトで詳細な手引きを確認し、信頼できる施工業者に相談することから始めてみてください。
お問い合わせ先
公益財団法人東京都環境公社
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)
事業支援チーム 島しょ地域における太陽光発電設備等助成事業担当
〒163-0817 東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル17階
電話:03-5990-5067
(受付時間:平日9:00~17:00 ※12:00~13:00及び祝祭日・年末年始を除く)
公式サイト:https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/island-pv