この記事では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた企業の資金調達を支援する「令和5年度 温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)」について、目的から申請方法まで詳しく解説します。
脱炭素への移行(トランジション)に取り組む企業が、第三者評価を受ける際の費用負担を軽減できる重要な制度です。
※注:本記事で解説する令和5年度の公募は、令和6年1月31日をもって終了しています。来年度以降の参考情報としてご活用ください。
クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業とは?
本事業は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、企業の脱炭素化への移行(クライメート・トランジション)を金融面から支援することを目的としています。具体的には、企業が「トランジション・ボンド/ローン」といった手法で資金調達を行う際に必要となる、第三者機関による評価費用の一部を国が補助する制度です。
この補助金の重要ポイント
この制度の最大の特徴は、企業の脱炭素への取り組みが、国際的な基準や指針に適合しているかどうかの「お墨付き」を得るためのコストを支援してくれる点です。これにより、投資家や金融機関からの信頼性が高まり、大規模な資金調達が円滑に進む効果が期待できます。
補助金の概要(令和5年度)
令和5年度の公募内容を一覧表にまとめました。申請を検討する際の基本情報としてご確認ください。
項目 | 内容 |
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正式名称 | 令和5年度 温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業) |
実施団体 | 一般社団法人 低炭素投資促進機構(GIO) |
補助対象経費 | トランジション・ボンド/ローンで資金調達する際に必要となる第三者評価の費用 |
補助率 | 7/10(資金調達者が3割以上を負担) |
補助上限額 | 1,000万円 / 1件あたり |
公募期間 | 令和5年5月10日(水)~令和6年1月31日(水)【公募終了】 |
補助対象者と事業スキーム
対象となる事業者
この補助金の対象は、トランジション・ボンドやローンを活用して脱炭素化に向けた資金調達を行うすべての事業者です。業種や規模の制限は特に設けられていません。
特徴的な事業スキーム
本事業のスキームは少し特徴的です。補助金は、資金調達を行う事業者に直接交付されるのではなく、評価を行う「指定外部評価機関」に対して交付されます。資金調達者は、評価費用のうち自己負担分(3割以上)を評価機関に支払うことで、間接的に補助のメリットを受ける形となります。
令和4年度からの変更点に注意
令和4年度事業では補助率が「8/10」でしたが、令和5年度では「7/10」に変更されました。これにより、資金調達者の自己負担割合が2割から3割に増えていますのでご注意ください。
申請手続きの流れ
申請は以下のステップで進められます。指定外部評価機関との連携が鍵となります。
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1
指定外部評価機関の選定・契約資金調達者は、経済産業省が指定する外部評価機関の中から1社を選定し、第三者評価に関する契約を締結します。 -
2
補助金申請契約した指定外部評価機関が、執行団体(GIO)に対して補助金の交付申請を行います。 -
3
審査・採択指定審査委員会が申請内容の適合性を評価し、採択案件を決定します。 -
4
補助金交付採択後、指定外部評価機関に対して補助金が交付されます。
まとめと公式サイト
「クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業」は、企業の脱炭素化に向けた大規模な資金調達を後押しする、非常に戦略的な補助金です。第三者評価の費用負担を軽減することで、企業のトランジション戦略の信頼性を高め、円滑なファイナンス実現をサポートします。
令和5年度の公募は終了しましたが、今後も同様の支援が継続される可能性があります。脱炭素経営を目指す企業は、本事業の動向を注視し、次回の公募に備えることをお勧めします。