詳細情報
令和6年能登半島地震および奥能登豪雨により甚大な被害を受けられた伝統工芸事業者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。事業の再開に向けて多くの課題に直面されていることと存じます。そんな中、石川県では、被災した伝統工芸の灯を未来へ繋ぐため、力強い支援策「石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金」の第6次公募を開始しました。この制度は、事業再開に不可欠な設備や原材料の復旧費用を最大1,000万円、補助率3/4という手厚い条件で支援するものです。この記事では、補助金の対象者、具体的な経費、申請方法から採択されるためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。事業再建への大きな一歩を踏み出すために、ぜひ最後までご覧ください。
石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金とは?
制度の目的と背景
この補助金は、令和6年能登半島地震および令和6年奥能登豪雨によって生産設備などに被害を受けた、石川県が誇る伝統工芸の製造事業者を支援することを目的としています。石川の文化と経済を支える重要な産業である伝統工芸の事業継続を後押しし、一日も早い復興を遂げるための重要な施策です。珠洲焼をはじめとする「石川県指定伝統的工芸品」および「稀少伝統的工芸品」の事業者が対象となります。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和6年能登半島地震における「石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金」 |
| 実施機関 | 石川県(商工労働部 経営支援課 伝統産業振興室) |
| 第6次公募期間 | 令和7年10月10日(金)~令和7年11月28日(金) |
| 補助上限額 | 1,000万円 |
| 補助率 | 3/4以内 |
【重要】国指定の伝統的工芸品(輪島塗など)は対象外です
この補助金は、あくまで石川県指定または稀少伝統的工芸品が対象です。輪島塗や山中漆器などの国指定の伝統的工芸品の事業者様は、国の「伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)」が支援の対象となります。ご自身の工芸品がどちらに該当するか、必ず事前にご確認ください。
補助金額と補助率について
最大1,000万円、補助率3/4の強力支援
本補助金の最大の魅力は、その手厚い支援内容です。事業再建に必要な経費の4分の3が補助され、その上限額は1,000万円に設定されています。下限額はないため、小規模な修繕から大規模な設備投資まで、幅広いニーズに対応可能です。
具体的な計算例
補助額がどのように決まるのか、具体的な例を見てみましょう。
| 補助対象経費(税抜) | 計算式 | 補助交付額 | 自己負担額 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 100万円 × 3/4 | 75万円 | 25万円 |
| 1,200万円 | 1,200万円 × 3/4 | 900万円 | 300万円 |
| 1,500万円 | 1,500万円 × 3/4 = 1,125万円 | 1,000万円(上限適用) | 500万円 |
補助金の対象者と条件
対象となる事業者
以下のいずれかに該当する事業者が対象となります。
- 石川県指定伝統的工芸品・稀少伝統的工芸品を製造する製造事業者(個人事業主を含む)
- 上記の製造事業者等で構成されるグループ及び製造協同組合等
必須となる条件
申請には、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 令和6年能登半島地震または令和6年奥能登豪雨により、石川県内で被災したこと。
- 事業所、工場、生産設備等が当該災害により直接的な被害を受けたこと。
補助対象となる経費
この補助金は、伝統的工芸品の製造を再開するために直接必要となる経費が対象です。
対象経費の詳細リスト
- 設備・機器の購入費及び修繕費:窯、ろくろ、漆風呂、専門道具、作業台など、製造に不可欠な設備の購入や修理にかかる費用。
- 原材料の購入費:粘土、釉薬、顔料、生地、漆など、製品を作るための原材料の購入費用。※被災前1年間における使用量に相当する量が限度となります。
- 型などの試作・製作費:製品製造に必要な型や治具などを新たに製作、または試作するための費用。
対象外となる経費の例
消費税、土地・建物の取得費、パソコンやプリンターなどの汎用品、車両、広告宣伝費、人件費、光熱水費などは対象外ですのでご注意ください。
申請方法とスケジュール
申請から交付までの流れ
申請は以下のステップで進みます。特に補助金が後払い(精算払い)である点に注意が必要です。
- 申請書類の準備:公募要領を確認し、申請書や事業計画書、見積書などを準備します。
- 申請:第6次公募期間【令和7年11月28日(金)まで】に、電子メール、郵送、または持参で提出します。
- 審査・交付決定:県による審査後、採択されると「交付決定通知書」が届きます。
- 事業実施:交付決定後に、設備の購入や修繕などを発注・実施・支払いを完了させます。
- 実績報告:事業完了後、県へ「実績報告書」を提出します。
- 金額確定・請求:県の検査後、補助金額が確定し、通知が届きます。その後、「請求書」を提出します。
- 補助金交付:指定の口座に補助金が振り込まれます。
必要書類一覧
申請には主に以下の書類が必要です。詳細は必ず石川県の公式サイトにある「公募要領」をご確認ください。
- 交付申請書(様式あり)
- 補助事業計画・経費計画書・宣誓書(様式あり)
- 被災状況が確認できる写真
- 補助対象経費の内容がわかる見積書の写し
- (法人の場合)履歴事項全部証明書
- (個人事業主の場合)本人確認書類の写し、開業届の写しなど
採択率を高めるためのポイント
申請書作成のコツ
審査を通過するためには、説得力のある申請書を作成することが重要です。
- 被害状況を具体的に示す:どの設備がどのように壊れたのか、写真や図を用いて誰が見てもわかるように説明しましょう。
- 経費の必要性を明確にする:「なぜこの設備が必要なのか」「これがなければ製造が再開できない」という点を具体的に記述します。
- 事業再開への熱意と計画性:補助金活用後の事業計画や、伝統技術をどう守り、継承していくかといった将来のビジョンを示すと評価が高まります。
- 見積書の妥当性:可能であれば複数の業者から見積もりを取り、価格の妥当性を示しましょう。
関連支援制度との連携も検討しよう
特に輪島市で事業を営む方は、市の独自支援である「輪島市伝統的工芸品産業支援補助金」に注目です。この制度は、本補助金(石川県)の交付を受けた事業者に対して、さらに上乗せ支援を行うものです。県の補助金と合わせて活用することで、自己負担を大幅に軽減できる可能性があります。詳細は輪島市の窓口にご確認ください。また、「なりわい再建支援補助金」など他の復興支援策との併用も視野に入れ、最適な支援の組み合わせを検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 輪島塗の職人ですが、この補助金は使えますか?
- A1. いいえ、輪島塗は国指定の伝統的工芸品のため、この補助金の対象外です。国の「伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)」をご検討ください。
- Q2. 補助金はいつもらえますか?
- A2. 補助金は、事業を完了し、実績報告と検査が終わった後に支払われる「精算払い(後払い)」です。事業実施期間中の資金繰りについては、別途ご準備いただく必要があります。
- Q3. 申請すれば必ず採択されますか?
- A3. いいえ、申請内容について審査が行われ、採択・不採択が決定します。予算の範囲内での採択となるため、計画の具体性や必要性をしっかりと示すことが重要です。
- Q4. 申請書の書き方がわかりません。どこに相談すればよいですか?
- A4. まずは石川県の担当窓口(経営支援課 伝統産業振興室 TEL:076-225-1526)にご相談ください。また、地域の商工会議所や「能登事業者支援センター」などでも相談を受け付けています。
- Q5. すでに自費で道具を修理してしまいましたが、対象になりますか?
- A5. 原則として、補助金の「交付決定」より前に発注・購入したものは対象外となる場合が多いです。ただし、災害復興支援では特例が設けられることもありますので、必ず県の担当窓口に確認してください。被災時の写真や支払いの証拠(領収書など)は必ず保管しておきましょう。
まとめと次のアクション
「石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金」は、被災した県指定・稀少伝統的工芸品事業者の皆様にとって、事業再開への大きな希望となる制度です。最後に重要なポイントをまとめます。
- 対象者:能登半島地震・奥能登豪雨で被災した「県指定・稀少」伝統的工芸品の製造事業者。
- 支援内容:上限1,000万円、補助率3/4で設備・原材料等の復旧を支援。
- 対象経費:製造再開に直接必要な設備・機器の購入修繕費、原材料費、試作製作費。
- 第6次申請期間:令和7年10月10日(金)~令和7年11月28日(金)まで。
申請期間は限られています。まずは石川県の公式サイトから公募要領をダウンロードし、必要書類の確認から始めましょう。不明な点があれば、ためらわずに下記の問い合わせ先に連絡してください。この機会を最大限に活用し、大切な伝統技術と事業を未来へ繋いでいきましょう。
お問い合わせ先
石川県 商工労働部 経営支援課 伝統産業振興室
〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地
電話番号:076-225-1526
メールアドレス:densan@pref.ishikawa.lg.jp
受付時間:午前9時~午後5時(土日・祝日を除く)