【2025年版】東京都の「年収の壁突破」総合対策促進奨励金で人材確保を加速!
「パート従業員が年末の繁忙期にシフトを減らしてしまう」「優秀な人材が年収の壁を気にして思うように働いてくれない」そんなお悩みをお持ちの東京都内の中小企業経営者様・人事担当者様へ。東京都が実施する「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、その課題を解決する強力な一手となります。本記事では、最大50万円が支給されるこの奨励金の概要から、2つのコースの詳細、申請方法、活用するメリットまでを分かりやすく解説します。
この奨励金のポイント
- 最大50万円の奨励金で企業の負担を軽減
- 「社会保険加入促進」と「配偶者手当見直し」の2つのコース
- 従業員の働き控えを解消し、人材不足の緩和に貢献
- 専門家による無料の個別相談で制度設計をサポート
- 東京都中小企業制度融資の優遇措置も受けられる
「年収の壁」問題と東京都の支援策
「年収の壁」とは、パート・アルバイトで働く方が社会保険料の負担増などを避けるために、年収を一定額以下に抑えようとする現象です。特に「106万円の壁」や「130万円の壁」が意識され、企業の繁忙期における人手不足や、働く意欲のある方のキャリア形成の阻害要因となっています。この問題を解決するため、東京都は独自の奨励金制度を設け、都内中小企業の取り組みを支援しています。
奨励金の概要:2つのコースと奨励金額
本奨励金には、企業の状況に合わせて選べる2つのコースが用意されています。両方のコースに同時に取り組むことで、奨励金額が最大になります。
| コース名 | 主な取組内容 | 奨励金額 |
|---|---|---|
| 社会保険加入促進コース | 新たに社会保険に加入する非正規雇用者向けに、社会保険料負担を軽減する手当等を新設する。 | 30万円 |
| 配偶者手当見直しコース | 配偶者の収入要件がある配偶者手当を撤廃、廃止、または他の手当へ振り替える。 | 30万円 |
| 上記2コースを同時に実施する場合 | 50万円 | |
※注意:途中からコースを追加することはできません。2コースへの取組を希望する場合は、必ず同時に申し込む必要があります。
各コースの詳細な要件と取組内容
1. 社会保険加入促進コース
従業員の社会保険加入に伴う手取り減少の不安を和らげ、安心して長く働ける環境を整備するためのコースです。
対象事業者
- 都内で事業を営んでいること。
- 都内に勤務する常時雇用労働者を1名以上(うち1名は6か月以上継続)雇用していること。
- 就業規則を労働基準監督署に届出ていること。
- 就業規則に、非正規雇用者の社会保険料に関する手当等の規定がないこと。
- 新たに社会保険の加入対象となる可能性のある非正規雇用者がいること。
奨励対象となる取組
交付決定日から3か月以内に、以下のすべてを実施する必要があります。
- 非正規雇用者が負担する社会保険料に関する手当を新設する。
- 社会保険未加入の非正規雇用者1名以上が新たに社会保険に加入し、上記手当の受給対象となる計画を作成する。
- 労使協定を締結後に就業規則を改正し、労働基準監督署に届け出る。(※順番厳守)
- 全従業員を対象に、制度に関する社内周知及び社内研修を行う。
- 専門家による個別相談窓口を合計2回利用する。(1回目は交付決定から1か月以内、2回目は3か月以内)
2. 配偶者手当見直しコース
配偶者手当の収入要件が実質的な「年収の壁」となっている状況を改善し、女性の就業調整を解消することを目的としたコースです。
対象事業者
- 都内で事業を営んでいること。
- 都内に勤務する常時雇用労働者を1名以上(うち1名は6か月以上継続)雇用していること。
- 就業規則を労働基準監督署に届出ていること。
- 就業規則に、「配偶者の収入要件がある配偶者手当」の規定があること。
- 事前エントリー日から過去5年以内に、当該手当の支給実績があること。
奨励対象となる取組
交付決定日から3か月以内に、以下のすべてを実施する必要があります。
- 配偶者手当について、以下のいずれかの見直しを行う。
- 収入要件を撤廃する
- 手当を廃止し、他の手当に振り替える
- 手当を廃止し、基本給に繰り入れる
- 見直し内容について労使協定を締結する。
- 労使協定を締結後に就業規則を改正し、労働基準監督署に届け出る。(※順番厳守)
- 全従業員を対象に、制度に関する社内周知及び社内研修を行う。
- 専門家による個別相談窓口を合計2回利用する。(1回目は交付決定から1か月以内、2回目は3か月以内)
奨励金を活用する5つのメリット
この奨励金は、金銭的な支援だけでなく、企業経営に多角的なメリットをもたらします。
- 人材不足の解消と定着率向上:従業員が年収を気にせず働けるため、労働力の確保につながり、安心して働ける環境は定着率の向上にも寄与します。
- 優秀な人材の採用力強化:働きやすい環境を整備している企業として、求職者へのアピール力が高まります。
- 企業イメージの向上:女性活躍や働き方改革に積極的な企業として、社会的評価や信頼性が向上します。
- 専門家による無料相談:社会保険労務士による個別相談を無料で2回受けられ、労務管理や制度設計に関する的確なアドバイスを得られます。
- 融資優遇制度の利用:本奨励金の交付決定を受けると、東京都中小企業制度融資「女性活躍推進融資」の対象となり、信用保証料の補助や利率優遇を受けられます。
申請から受給までの流れ
申請には事前エントリー(抽選制)が必要です。全体の流れを把握しておきましょう。
- STEP1: 事前エントリー
特設ウェブサイトから期間内にエントリーします。1事業主につき年度内1回限りです。 - STEP2: 抽選・結果通知
各回の受付期間終了後に抽選が行われ、結果がメールで通知されます。 - STEP3: 交付申請
当選した場合、通知日から1か月以内に必要書類を揃えて交付申請を行います。(郵送または電子申請jGrants) - STEP4: 交付決定・取組実施
審査後、交付決定通知が届きます。通知日から3か月以内に、計画した取組(就業規則改定、研修など)をすべて完了させます。 - STEP5: 実績報告
取組完了後、交付決定日から4か月以内に実績報告書を提出します。 - STEP6: 奨励金受給
実績報告書の審査後、奨励金が指定口座に振り込まれます。
令和7年度 事前エントリー受付期間
令和7年度は全10回に分けて事前エントリーを受け付けます。各回の予定社数は130社です。
| 募集回 | 事前エントリー受付期間 |
|---|---|
| 第1回 | 令和7年5月15日(木)~令和7年5月30日(金) |
| 第2回 | 令和7年6月2日(月)~令和7年6月30日(月) |
| 第3回 | 令和7年7月1日(火)~令和7年7月31日(木) |
| 第4回 | 令和7年8月1日(金)~令和7年8月29日(金) |
| 第5回 | 令和7年9月1日(月)~令和7年9月30日(火) |
| 第6回 | 令和7年10月1日(水)~令和7年10月31日(金) |
| 第7回 | 令和7年11月4日(火)~令和7年11月28日(金) |
| 第8回 | 令和7年12月1日(月)~令和7年12月26日(金) |
| 第9回 | 令和8年1月5日(月)~令和8年1月30日(金) |
| 第10回 | 令和8年2月2日(月)~令和8年2月27日(金) |
まとめ
東京都の「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、単なる資金援助にとどまらず、企業の持続的な成長を支えるための重要な制度です。従業員が能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、人材確保が困難な時代において大きな競争力となります。この機会にぜひ制度活用を検討し、働きがいのある職場環境の実現と事業の発展を目指しましょう。詳細は必ず公式サイトの募集要項をご確認ください。
対象者・対象事業
以下の要件をすべて満たす都内の中小企業等
1. 都内で事業を営んでいる事業者であること。
2. 都内に勤務する常時雇用労働者を1名以上雇用していること(うち1名は6か月以上継続して雇用)。
3. 就業規則を所轄の労働基準監督署に届出ていること。
※その他、各コースで個別の要件があります。
必要書類(詳細)
【交付申請時の主な提出書類】
・交付申請書
・事業所一覧
・就業規則見直し計画書
・誓約書
・雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書の写し
・雇用保険適用事業所設置届の写し
・印鑑(登録)証明書原本
・納税証明書原本(法人都民税・事業税、または個人都民税・事業税)
・会社概要がわかるもの
・直近の就業規則一式
・賃金台帳の写し(配偶者手当見直しコースのみ)
【実績報告時の主な提出書類】
・実績報告書
・就業規則見直し報告書
・労使協定の写し
・改定後の就業規則(全文)
対象経費(詳細)
本奨励金は、特定の経費を補助するものではなく、指定された取組(社会保険料に関する手当の新設、配偶者手当の見直し、就業規則の改定、専門家相談、社内研修の実施等)を完了した場合に定額が支給されるものです。