詳細情報
「自社製品の競争力をさらに高めたい」「海外市場に挑戦するために国際規格を取得したい」とお考えの東京都内の中小企業の皆様へ。その挑戦を強力に後押しする助成金が、東京都中小企業振興公社の「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」です。この制度を活用すれば、製品の改良やCEマーキング、ISO認証などの取得にかかる経費の一部、最大500万円の助成を受けることが可能です。本記事では、この魅力的な助成金の概要から対象経費、具体的な申請手順、そして採択されるための重要なポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。申請期間は限られていますので、この記事を読んで万全の準備を始めましょう。
この記事のポイント
- 最大500万円、助成率1/2の強力な資金支援
- 製品改良だけでなく、ISO認証などの規格取得も対象
- ソフトウェア改良にかかる人件費も最大350万円まで助成対象に
- 申請はJグランツを利用した電子申請のみ
- 採択の鍵は「市場ニーズ」と「事業計画の具体性」
製品改良/規格適合・認証取得支援事業とは?
助成金の概要
この助成金は、東京都内の中小企業が国内外の市場ニーズに対応するため、自社製品の改良や、国際規格(ISO、CEマーキング等)の適合・認証取得に取り組む際の経費を一部支援する制度です。製品の性能向上はもちろん、品質マネジメントシステムの構築など、企業の信頼性向上に繋がる取り組みも幅広く対象としています。さらに、価格交渉力向上を目指す「プライシング戦略サポーター」による支援も受けられるのが大きな特長です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 製品改良/規格適合・認証取得支援事業 |
| 実施組織 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 |
| 目的 | 都内中小企業の製品競争力強化と市場拡大支援 |
| 公式サイト | 公式サイトはこちら |
2つの申請区分
この助成金には、事業の目的に応じて2つの主要な申請区分(プロジェクト)が設けられています。自社の取り組みがどちらに該当するかを正確に把握することが申請の第一歩です。
- A【製品改良プロジェクト】
市場ニーズに合わせて、既存の製品や試作品の機能向上、デザイン変更、ダウンサイジングなど、製品そのものの改良を主目的とする場合に選択します。 - B【規格適合・認証取得プロジェクト】
ISO9001(品質)、ISO27001(情報セキュリティ)、CEマーキングなど、特定の規格への適合や認証取得を主目的とする場合に選択します。この区分はさらに「製品改良目標:有/無」に分かれます。
助成金額・助成率
本事業の助成金額と助成率は以下の通りです。上限額が500万円と高額であり、中小企業にとって大きな支援となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成限度額 | 500万円(下限額:50万円) |
| 助成率 | 助成対象経費の2分の1以内 |
【計算例】
助成対象となる経費の総額が800万円の場合:
800万円 × 1/2 = 400万円
この場合、400万円が助成されます。(助成限度額500万円の範囲内)
助成対象となる経費の総額が1,200万円の場合:
1,200万円 × 1/2 = 600万円
この場合、助成限度額が適用され、500万円が助成されます。
対象者・条件
申請するには、以下の要件を満たす必要があります。自社が対象となるか、事前に必ず確認してください。
主な対象要件
- 東京都内に本店または主たる事業所(支店等)を有する中小企業者等であること。
- 基準日(令和7年10月1日)時点で、改良や認証取得の対象となる製品等(試作品または市場投入済み製品)を有していること。※マネジメントシステム規格適合の場合は除く。
- 自社で開発した製品等であること。(製造・販売権を承継している場合も含む)
- 製品改良の主要な部分を自社で行うこと。
対象外となる事業の例
一方で、以下のようなケースは助成の対象外となるため注意が必要です。
- 申請時点ですでに目的が概ね達成されている事業
- 生産・量産用の機械装置や金型の導入など、単なる設備投資を目的とする事業
- 改良後の試作品そのものの販売を目的とする事業
- 親会社や子会社など、申請事業者以外の製品を対象とする事業
- 特定の顧客のためだけの製品改良や、一企業独自の社内規格への適合
補助対象経費
助成対象となる経費は、製品改良や規格認証取得に直接必要な費用です。特に、ソフトウェア開発などにおける直接人件費が最大350万円まで対象となる点は、多くの企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|---|
| 原材料・副資材費 | 試作品の材料、部品、消耗品など |
| 機械装置・工具器具費 | 開発・試験用の機械、測定器、ソフトウェアなど(汎用性の高いものは対象外) |
| 委託・外注費 | 外部への設計依頼、試験・分析の委託、翻訳費用など |
| 専門家指導費 | 技術指導やコンサルティングにかかる謝金、旅費など |
| 産業財産権出願・導入費 | 特許、意匠などの出願費用、弁理士費用など |
| 直接人件費 | 製品改良(ハード・ソフト)に直接従事する従業員の時間給換算費用(上限350万円) |
| 賃借料 | 助成事業遂行に不可欠な機器・設備のリース・レンタル料 |
申請方法・手順
申請は、国の電子申請システム「Jグランツ」を利用して行います。郵送や持参での申請は受け付けていないため、事前の準備が非常に重要です。
申請期間
令和7年10月17日(金)~ 令和7年10月30日(木)17時まで
重要:申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須です。アカウントの発行には審査があり、通常1週間程度かかります。申請期間は非常に短いため、遅くとも9月中にはGビズIDの申請を済ませておくことを強く推奨します。
申請ステップ
- GビズIDプライムアカウントの取得
未取得の場合は、GビズID公式サイトから速やかに申請します。 - 募集要項・申請書類のダウンロード
公社の公式サイトから最新の募集要項、電子申請マニュアル、申請書様式をダウンロードし、内容を熟読します。 - 申請書類の作成
事業計画や経費の内訳などを詳細に記入します。事業の目的や市場性、実現可能性を明確に伝えることが重要です。 - Jグランツでの電子申請
申請期間内にJグランツにログインし、作成した書類をアップロードして申請を完了させます。時間ギリギリの申請はトラブルの元なので、余裕を持って行いましょう。
採択されるためのポイント
多くの企業が申請する人気の助成金であるため、採択されるには質の高い申請書を作成する必要があります。以下のポイントを意識して、審査員の心に響く事業計画を練り上げましょう。
- 市場ニーズとの合致を明確に
「なぜ今、この製品改良や規格取得が必要なのか」を、具体的な市場データや顧客の声をもとに論理的に説明します。独りよがりな開発ではなく、市場に求められている取り組みであることをアピールしましょう。 - 事業の新規性・優位性
改良後の製品や規格取得によって、競合他社と比べてどのような優位性が生まれるのかを具体的に示します。技術的な新規性や、新たな市場を切り開く可能性などを強調できると高評価に繋がります。 - 実現可能な計画と体制
助成事業期間内に計画を完遂できる、具体的なスケジュールと実施体制を示します。誰が何を担当するのか、どのような課題が想定され、どう乗り越えるのかまで言及できると説得力が増します。 - 経費の妥当性
計上する経費が、事業目的の達成になぜ必要なのかを一つひとつ丁寧に説明します。相見積もりを取るなど、経費の妥当性を示す客観的な根拠を用意しておくことが重要です。 - 波及効果と将来性
この助成事業が完了した後、自社の成長にどう繋がるのか、また、業界や社会にどのような良い影響(雇用創出、新技術の普及など)を与える可能性があるのか、長期的な視点を示すことも大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ソフトウェアの機能追加も対象になりますか?
A1. はい、対象になります。「ハードウェアのみならずソフトウェアの改良工程」も助成対象と明記されています。その開発に直接従事する従業員の人件費も、最大350万円まで対象経費として計上可能です。
Q2. ISO9001の取得だけを目的として申請できますか?
A2. はい、可能です。B【規格適合・認証取得プロジェクト】において、製品改良を伴わない「組織的なマネジメントシステム規格適合(ISO9001、ISO27001等)」も対象となります。
Q3. 助成金はいつ受け取れますか?
A3. 助成金は、原則として助成事業期間が終了し、実績報告書を提出して検査を受けた後の「精算払い(後払い)」となります。事業期間中の資金繰りは自己資金で賄う必要がありますのでご注意ください。
Q4. 東京都外に本社がありますが、都内に支店があれば申請できますか?
A4. はい、都内に主たる事業所(支店等)があれば申請対象となる可能性があります。ただし、助成事業を主としてその都内事業所で実施することが条件となる場合がありますので、詳細は募集要項でご確認ください。
Q5. 申請すれば必ず採択されますか?
A5. いいえ、必ず採択されるわけではありません。申請内容について専門家による審査が行われ、事業の優位性や実現可能性などが高いと評価されたものが採択されます。本記事の「採択されるためのポイント」を参考に、しっかりと計画を練ることが重要です。
まとめと次のアクション
東京都中小企業振興公社の「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」は、自社製品の価値向上や新たな市場開拓を目指す企業にとって、非常に価値のある制度です。
- 支援内容:製品改良や規格認証取得の経費を最大500万円、1/2の割合で助成。
- 対象者:都内の中小企業者等。
- 申請期間:令和7年10月17日~10月30日17時まで。
- 重要事項:GビズIDプライムの事前取得が必須。
このチャンスを最大限に活かすために、今すぐ以下のステップに進みましょう。
Step 1: GビズIDプライムアカウントを未取得の場合は、公式サイトからすぐに申請する。
Step 2: 東京都中小企業振興公社の公式サイトから募集要項をダウンロードし、自社の事業が対象になるか詳細を確認する。
Step 3: 不明点があれば、下記の問い合わせ先に連絡して疑問を解消する。
お問い合わせ先
公益財団法人東京都中小企業振興公社 助成課 「製品改良」担当
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3-3 大東ビル4階
TEL:03-3251-7894(平日9:00~12:00・13:00~17:00)
E-Mail: kairyo-josei@tokyo-kosha.or.jp