東京都では、後世に残すべき歴史的・文化的な価値を持つ施設や技術を重要な観光資源と捉え、その維持保全に取り組む都内観光関連事業者を支援する「歴史ある建物や技術等観光資源の維持保全支援事業」を実施しています。本事業では、最大1,500万円の補助金が交付され、東京の魅力向上と観光産業の振興を目指します。特に、指定された重点エリアでの取り組みは手厚く支援されます。
制度の概要
本事業は、都内の観光関連事業者が行う、歴史的価値のある建物や伝統技術の維持保全活動を支援するものです。大きな特徴として、地域一体での保全を促進する「重点エリア」制度があり、エリア内での事業は補助率・上限額が大幅に拡充されます。
項目 | 内容 |
---|---|
制度名 | 歴史ある建物や技術等観光資源の維持保全支援事業 |
補助額・補助率 | 【重点エリア内】 補助率:3/4以内 上限額:1,500万円 【通常(重点エリア外)】 |
対象事業者 | 都内観光関連事業者(宿泊事業者、飲食事業者 等) |
募集期間 | 令和7年8月7日(木)~ 令和7年10月31日(金)まで(必着) |
実施主体 | 東京都 産業労働局 観光部 |
補助対象となる事業
補助の対象となるのは、以下の2つのタイプの取組です。
① 概ね築50年以上の観光施設の維持保全
歴史的・文化的な価値を持つ建物を観光資源として維持・保全するための工事などが対象です。
- 建設当時の特色を残す老舗料理店や旅館の維持補修工事
- 歴史的建造物の改修・修繕工事
- 文化的価値を有する施設の保全工事(老舗銭湯、劇場など)
② 概ね50年以上の実績を有する技術等の維持保全
長年にわたり受け継がれてきた伝統技術や文化を次世代に継承するための取組が対象です。
- 郷土料理の調理技術を継承するための人材募集や研修
- 伝統工芸(江戸切子など)の後継者育成
- 技術の価値を伝えるための広報PR活動
【注目!】重点エリアなら補助率・上限額が大幅アップ!
以下の重点エリア内で事業を行う場合、補助率が3/4、上限額が1,500万円に拡充されます。申請を検討される際は、ご自身の事業所がエリア内に含まれるか必ずご確認ください。
- 【令和6年度指定】台東区上野四丁目地内及び六丁目地内
- 【令和5年度指定】葛飾区柴又七丁目地内
※エリアの詳細な範囲については、公式の募集要領でご確認ください。
採択率を高める!申請の重要ポイント
本補助金は申請難易度が高く、計画の質が厳しく審査されます。以下のポイントを押さえ、説得力のある申請書を作成しましょう。
- 歴史的・文化的価値の明確化
築年数や文化的背景を、登記簿謄本や古写真、専門家の所見などの客観的な資料で具体的に証明することが不可欠です。 - 観光への波及効果の提示
事業実施によって、来訪者数がどの程度増加するのか、周辺地域にどのような経済効果をもたらすのかを数値目標で示しましょう。 - 継承の持続性と事業計画の具体性
補助事業終了後も、どのように維持・運営していくのか、技術を誰にどう継承していくのか、持続可能な計画を具体的に記述する必要があります。 - 地域連携の姿勢
特に重点エリアでの申請では、商店街や地域の観光協会などと連携し、面的な観光振興に貢献する取組が高く評価される傾向にあります。
⚠ 申請前の注意点
本補助金の申請難易度は「上級」レベルです。歴史的価値の証明資料の収集や、詳細な事業計画の策定には2〜3ヶ月程度の準備期間を見込むことを推奨します。必要に応じて、建築士や文化財専門家、補助金申請の専門家への早期相談も有効です。
申請手続きの流れとスケジュール
申請から事業開始までの大まかな流れは以下の通りです。締切に余裕を持った準備を心がけましょう。
ステップ | 期間(目安) | ポイント |
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事前準備 | 〜2025年8月 | 事業計画の策定、証明資料の収集、見積取得 |
公募期間 | 2025年8月7日〜10月31日 | 電子申請または郵送(必着)で提出 |
審査期間 | 2025年11月〜12月頃 | 書類審査後、面接審査が実施されます |
採択結果通知 | 2025年12月頃 | 全申請者に結果が通知されます |
交付決定・事業開始 | 2026年1月〜 | 交付決定日から1年以内に事業を完了 |
申請方法・公式情報
申請は、電子申請システムまたは郵送にて受け付けています。申請様式や募集要領など、詳細は必ず東京都産業労働局の公式ホームページで最新情報をご確認ください。
お問い合わせ先
東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 情報広報担当
電話番号:03-5000-7328
※受付時間:9時~17時(土・日・祝日・年末年始を除く)