東京都では、水素社会の早期実現を目指し、35MPaの水素ステーション整備とカーシェアリング事業等をセットで開始する事業者に対し、費用の一部を助成するパッケージ支援事業を開始しました。中小企業の場合、ステーション整備費が全額補助(最大5億円)となる、非常に手厚い支援策です。この記事では、事業の概要から申請方法までを詳しく解説します。
事業の目的と背景
東京都は、エネルギーの安定供給確保と脱炭素化に向けた取り組みの一環として、都内における水素エネルギーの需要拡大と早期社会実装を目指しています。この事業は、比較的低コストで整備可能な35MPaの水素ステーションと、燃料電池自動車(FCV)の利用機会を創出するカーシェア事業等を組み合わせることで、水素インフラの整備拡大と新たなビジネスモデルの構築を同時に促進することを目的としています。
この補助金のポイント
- パッケージ型支援: 水素ステーションの整備・運営からFCV購入、カーシェア事業開始費用までを一体的に支援。
- 手厚い補助額: 中小企業はステーション整備費が全額補助。上限額は最大5億円。
- 複数年度事業: 令和6年度から令和8年度までの複数年度にわたる事業が対象。
補助金の概要
本事業の基本情報を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 水素ステーションとカーシェア等のパッケージ支援事業 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局、公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京) |
| 対象者 | 都内に35MPaの水素ステーション事業とカーシェア事業等を併せて実施する民間事業者等(大規模事業者、中小事業者) |
| 対象事業 | 以下の事業を併せて実施するもの 1. 充填圧力35MPaの水素ステーションの整備・運営 2. カーシェア・レンタカー事業、タクシー・ハイヤー事業、カーリース事業のいずれか |
| 申請期間(令和6年度) | 令和6年7月23日(火)~令和7年3月31日(月) |
補助対象経費と補助額詳細
支援内容は4つのカテゴリーに分かれており、それぞれ補助率や上限額が異なります。
1. 水素供給設備の設置費用
| 事業者規模 | 補助率 | 補助上限額(水素供給能力別) |
|---|---|---|
| 中小事業者 | 全額(10/10) | ・300Nm³/h以上: 5億円 ・50Nm³/h以上300Nm³/h未満: 3億6千万円 ・50Nm³/h未満: 1億5千万円 |
| 大規模事業者 | 4/5 |
2. 水素供給設備の運営費用
| 事業者規模 | 補助額 |
|---|---|
| 中小事業者 | 対象経費の合計 または 1,000万円 のいずれか低い額 |
| 大規模事業者 | 対象経費の1/2 または 500万円 のいずれか低い額 |
3. 燃料電池自動車(FCV)の車両購入費用
カーシェア事業等で新たに導入する燃料電池自動車(中古車を除く)の購入費用を補助します。
- 補助額: 車両1台あたり 300万円
⚠️ 注意事項
東京都が別に実施している燃料電池自動車購入に係る補助金との併用はできませんのでご注意ください。
4. カーシェア事業等の開始費用
駐車場の整備費用や管理事務所の建築に要する経費が対象です。
- 補助率: 1/2
- 補助上限額: 500万円
申請手続きの流れ
申請は以下のステップで進めます。まずは問い合わせ先に連絡し、詳細を確認することから始めましょう。
- 1事前相談
申請を検討している事業者は、まず下記の問い合わせ先に連絡し、事業内容について相談してください。 - 2書類の準備
公式サイトから実施要綱、交付要綱、手続きの手引き、申請様式をダウンロードし、必要書類を準備します。事業計画書や経費の見積もりなどが含まれます。 - 3申請
準備した書類一式を、受付期間内に指定の受付場所に提出します。 - 4審査・交付決定
提出された書類に基づき審査が行われ、採択されると交付決定通知が送付されます。 - 5事業実施・実績報告
交付決定後、事業を開始します。事業完了後、実績報告書を提出し、検査を経て補助金額が確定・交付されます。
問い合わせ先・公式サイト
申請に関するご相談や、制度の詳細については、以下の窓口にお問い合わせください。最新の要綱や様式は公式サイトで必ずご確認ください。
【申請に関わること】
公益財団法人東京都環境公社
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京) 都市エネ促進チーム
電話: 03-5990-5159
受付時間: 平日 9:00~17:00(12:00~13:00除く)
【事業全般に関わること】
産業労働局 産業・エネルギー政策部 新エネルギー推進課
電話: 03-5320-7782
対象者・対象事業
都内に35MPaの水素ステーション事業とカーシェア事業等(カーシェア、レンタカー、タクシー、ハイヤー、カーリース)を併せて実施する民間事業者等(大規模事業者、中小事業者)
必要書類(詳細)
助成金交付申請書、事業計画書、経費内訳書、法人の登記事項証明書、直近の事業年度の決算報告書など。詳細は公式ウェブサイト掲載の『手続きの手引き』をご確認ください。
対象経費(詳細)
水素供給設備の設置に要する経費、水素供給設備の運営に要する経費、燃料電池自動車の車両本体の購入に要する費用、カーシェア事業等の開始に要する駐車場の整備費用及び管理事務所の建築に要する経費