栃木県で農業と福祉の連携(農福連携)に取り組む事業者様へ朗報です。障害者が生産に携わった農林水産物や加工品の価値を高める「ノウフクJAS」の認証取得にかかる費用を、県が最大9.2万円補助します。この記事では、栃木県の「ノウフクJAS認証取得推進事業」について、対象者、補助額、申請方法、そして県内の成功事例まで、分かりやすく解説します。
栃木県ノウフクJAS認証取得推進事業とは?
この事業は、栃木県が推進する「ユニバーサル農業」の一環です。農業分野での働き手を確保すると同時に、障害を持つ方々の自信や生きがいを創出する「農福連携」の取り組みを後押しすることを目的としています。
具体的には、「ノウフクJAS」という国の認証制度を活用し、農福連携によって生産された商品の付加価値を高め、消費者への理解を深めるために、認証取得にかかる経費の一部を補助する制度です。
事業の概要
- ▶目的: ノウフクJASの活用による農福連携商品の付加価値向上と消費者理解の促進
- ▶補助対象: 生鮮食品、観賞用の植物、加工食品におけるノウフクJASの新規認証取得に係る経費
- ▶補助額: 事業費の2分の1以内(上限92,000円)
- ▶実施主体: 栃木県
補助対象者|農業者から福祉事業所まで幅広く
本事業の対象者は、栃木県内で農福連携に取り組む多様な事業者です。具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 農業者・農業団体: 県内に住所を有する農業者、農業協同組合、農地所有適格化法人、または農業者で組織された団体。
- 障害福祉サービス事業所: 県内に住所を有し、農業または農産物加工で収益を得ている就労系障害福祉サービス事業所または生活介護事業所。
- 加工事業者: 県内に製造施設を有し、加工食品の製造・加工を行う事業者。ただし、他者が生産した農福連携農産物を使用する場合、その農産物がノウフクJAS認証を受けている必要があります。
- 上記で組織された団体: 上記の事業者で組織された団体も対象です。
補助対象となる経費
補助の対象となるのは、ノウフクJASの新規認証取得に直接必要な経費です。財務諸表交付手数料などは対象外となるため注意が必要です。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|---|
| 講習会・認定手数料 | ノウフクJAS生産工程管理者講習会受講料、申請書受理手数料、書類審査料、実地検査料、判定料、事務手数料など |
| 検査員経費 | 実地検査に係る検査員の交通費、宿泊費 |
そもそも「ノウフクJAS」とは?
ノウフクJAS(Japanese Agricultural Standard)は、障害者が生産行程に携わった食品に関する日本農林規格です。この認証を取得することで、以下のメリットが期待できます。
- 信頼性の向上: 国の基準を満たしていることの証明となり、消費者や取引先からの信頼が高まります。
- 付加価値の創出: 「障害者の活躍を応援する商品」という社会的価値を分かりやすく伝え、商品のブランド力を高めます。
- 販路拡大の機会: SDGsやエシカル消費に関心の高い企業や消費者へのアピール力が増し、新たな販路開拓につながります。
栃木県内の認証取得事例
栃木県内では、すでに本事業などを活用してノウフクJAS認証を取得し、活躍している事業者がいます。
社会福祉法人パステル(小山市)
関東地方で初めてノウフクJAS認証を取得した先進事例です。桑の葉を活用した桑茶、ジャム、お菓子などの6次産業化に成功。「とちぎ農業大賞」で知事賞を受賞するなど、その活動は高く評価されています。農福連携を通じて利用者の工賃向上にも繋げています。
社会福祉法人めぶき会(小山市)
農業生産法人「いちごの里ファーム」と連携し、障害者が主体となって「いちご」の生産を行っています。生産されたいちごは「いちごの里」の直売所で販売され、高い人気を誇ります。地域の農業法人と福祉法人が連携した好事例です。
申請方法と問い合わせ先
申請を検討される方は、以下の手順で手続きを進めてください。
- 書類の入手: 申請書等の様式は、栃木県の公式ホームページからダウンロードするか、各農業振興事務所、農政課で入手します。
- 書類の提出: 必要書類を準備し、事業所の所在地を管轄する農業振興事務所に提出してください。
- 募集時期の確認: 募集時期については、年度や時期によって異なる場合があります。申請前に必ず下記の問い合わせ先にご確認ください。
お問い合わせ
栃木県 農政課
〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館12階
電話番号:028-623-2277
ファックス番号:028-623-2340
または、最寄りの農業振興事務所までお問い合わせください。
まとめ
栃木県の「ノウフクJAS認証取得推進事業」は、農福連携に取り組む事業者にとって、商品のブランド価値を高め、新たなビジネスチャンスを掴むための強力なサポート制度です。認証取得には費用がかかりますが、この補助金を活用することで負担を軽減できます。障害者の社会参加と農業の活性化を両立させるこの取り組みに、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
対象者・対象事業
県内に住所を有する農業者、農業協同組合、農地所有適格化法人、農業者団体、就労系障害福祉サービス事業所、生活介護事業所、県内に製造施設を有する加工食品事業者、またはそれらで組織された団体。
必要書類(詳細)
事業実施要領に定められた実施計画承認申請書(様式第1号)、交付申請書(規則の別記様式第1)など。詳細は県のホームページまたは各農業振興事務所で確認してください。
対象経費(詳細)
ノウフクJASの新規認証取得に係る経費(生産工程管理者講習会受講料、認定手数料(申請書受理手数料、書類審査料、実地検査料、判定料、事務手数料等)、実地検査に係る検査員の交通費・宿泊費)。※財務諸表交付手数料、交付手数料は除く。