詳細情報
横浜市内で事業を営み、脱炭素化やカーボンニュートラルへの貢献を目指す事業者の皆様に朗報です。横浜市では、水素社会の実現に向けた新たな取り組みとして「令和7年度 横浜市水素利用設備導入費補助金」の公募を開始しました。この制度は、水素ボイラーやコージェネレーションシステムといった先進的な水素利用設備の導入を支援するもので、設備本体の機器費に対して最大1,000万円(補助率1/2)という手厚い補助が受けられます。化石燃料からの転換や、新たな水素需要の創出を目指す企業にとって、設備投資の負担を大幅に軽減できる絶好の機会です。この記事では、補助金の概要から対象者、申請手順、採択のポイントまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この補助金のポイント
- 横浜市内の事業者が対象
- 水素ボイラー等の導入に最大1,000万円を補助
- 補助率は対象経費の1/2
- 申請期間は令和7年11月28日まで(予算上限あり)
- 化石燃料からの転換や新規の水素需要創出が目的
横浜市水素利用設備導入費補助金の概要
まずは、本補助金の全体像を把握しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが、申請準備の第一歩です。
| 制度概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 横浜市水素利用設備導入費補助金 |
| 実施組織 | 横浜市 脱炭素・GREEN×EXPO推進局 循環型社会推進課 |
| 目的・背景 | 水素ボイラー等の導入を促進し、水素社会実現に向けた新たな水素需要を創出することを目的としています。 |
| 公募期間 | 令和7年6月24日(火)~ 令和7年11月28日(金) ※事業完了日の30日前とのいずれか早い日まで。予算の上限に達し次第、受付を終了する可能性があります。 |
補助金額・補助率について
本補助金の最大の魅力である補助金額と補助率について、詳しく見ていきましょう。設備投資計画を立てる上で非常に重要なポイントです。
補助率と上限額
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の 1/2 |
| 補助上限額 | 1基あたり 1,000万円 |
【計算例】
設備本体の機器費(税抜)が2,500万円の水素ボイラーを1基導入する場合:
- 補助対象経費:2,500万円
- 補助率を乗じた額:2,500万円 × 1/2 = 1,250万円
- 補助上限額:1,000万円
- 最終的な補助金額:1,000万円(上限額が適用されるため)
※千円未満の端数は切り捨てられます。また、国や県など他の補助金と併用する場合、合計額が補助対象経費を超えないよう調整されます。
対象者・条件
自社が補助金の対象となるか、以下の要件を一つずつ確認してください。すべての条件を満たす必要があります。
- 横浜市内で補助対象設備を導入する法人または個人事業主であること。
- 導入する設備の設置場所となる土地の使用権を有していること。
- または、土地の使用権者から許諾を受け設備を設置するエネルギーサービス事業者であること。(この場合、エネルギーサービスを受ける者との共同申請が必要です)
- 市税の滞納がないこと。
- 定められた期日までに、交付申請や実績報告などの必要な手続きをすべて行えること。
- 事業完了後、令和8年3月13日(金)または事業完了日の翌月末日のいずれか早い日までに実績報告書を提出できること。
補助対象となる設備と経費
どのような設備が対象で、費用のどこまでが補助されるのかを正確に理解することが重要です。対象外の経費を含めて申請しないよう注意しましょう。
補助対象設備
以下の設備が補助の対象となります。ただし、それぞれに詳細な条件があります。
- 水素ボイラー
- 水素コージェネレーションシステム
- 水素又は水素キャリアの貯蔵タンク
- 脱水素装置
【主な共通条件】
- 横浜市内の事業所等に設置して使用する設備であること。
- 化石燃料からの切替え、または新規の水素需要の創出に貢献するものであること。
- 既存設備の同一仕様の更新ではないこと。
- 未使用品の新規設備であること。
- 低炭素水素を燃料として専焼または混焼で運転可能な仕様であること。
特例措置について
現時点で低炭素水素の供給網が整っていない地域も想定されるため、「将来的に低炭素水素が利用可能になった際には切り替える」という意思表示を条件に、当面の間は都市ガス等を燃料とした運用も認められます。
補助対象経費と対象外経費
| 分類 | 詳細 |
|---|---|
| ⭕ 補助対象経費 | 補助対象設備本体の機器費(税抜)のみです。 |
| ❌ 補助対象外経費 | 調査費、設計費、工事費、補機、配管類、制御装置、計測装置、付属品等の導入費、消費税及び地方消費税 |
申請方法・手順
申請は計画的に進めることが重要です。以下のステップを参考に、期限に余裕を持って準備を進めましょう。
- 事前準備・見積取得: 導入する設備を選定し、複数の事業者から見積書を取得します。市内事業者の利用が推奨されています。
- 交付申請: 必要書類をすべて揃え、横浜市指定のメールアドレスに提出します。期限は令和7年11月28日(金)または事業完了日の30日前のいずれか早い日です。
- 交付決定: 横浜市による審査後、「交付決定通知書」が送付されます。この通知を受け取ってから事業を開始(契約・発注)するのが原則です。
- 事業の実施: 補助対象設備の導入工事などを行います。
- 実績報告: 事業が完了したら、速やかに「実績報告書」と関連書類を提出します。期限は令和8年3月13日(金)または事業完了日の翌月末日のいずれか早い日です。
- 額の確定: 実績報告書の審査後、「額確定通知書」が送付され、補助金の最終的な金額が確定します。
- 補助金の請求・受領: 「請求書」を提出します。その後、指定の金融機関口座に補助金が振り込まれます。
主な必要書類(交付申請時)
申請には多くの書類が必要です。詳細は必ず公式サイトの交付要綱「別表1」をご確認ください。
- 交付申請書(第1号様式)
- 法人の場合:登記簿謄本など / 個人事業主の場合:本人確認書類、確定申告書Bの写し
- 設備設置場所の案内図
- 事業計画書
- 補助対象設備の仕様書
- 補助対象事業の計画図面
- 設備の導入にかかる見積書(複数社から取得した場合は全て)
- その他、市が必要と認める書類
採択されるためのポイント
補助金は申請すれば必ず受け取れるわけではありません。採択の可能性を高めるために、以下の点を意識しましょう。
早めの申請を心がける
交付要綱には「交付申請を先着順に受理」し、「予算の範囲を超えた日をもって、申請の受理を停止する」と明記されています。人気の補助金は早期に予算上限に達する可能性があるため、準備が整い次第、速やかに申請することが最も重要です。
書類の正確性と整合性
申請書類に不備(記入漏れ、押印漏れ、添付書類不足など)があると、審査が遅れたり、最悪の場合不受理となる可能性があります。提出前には、要綱と照らし合わせながら複数人でダブルチェックを行い、完璧な状態で提出しましょう。特に、見積書と申請書の金額が一致しているかなど、数字の整合性は念入りに確認してください。
事業計画の具体性
事業計画書では、なぜこの設備が必要なのか、導入によってどのような効果(CO2削減量、燃料費削減効果など)が見込まれるのかを具体的に記述することが求められます。補助金の目的である「化石燃料からの切替え」や「新規の水素需要の創出」にどう貢献するのかを、定量的・定性的な根拠を示して説得力のある内容に仕上げましょう。
市内企業への発注協力
横浜市は、横浜経済の活性化のため、市内企業への優先発注を推奨しています。必須要件ではありませんが、可能な限り市内企業から見積もりを取得し、発注を検討する姿勢は、市の施策への理解と協力の意思を示す上で好印象を与える可能性があります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 設備の設置工事費や設計費も補助対象になりますか?
- A1. いいえ、なりません。この補助金の対象は、あくまで「補助対象設備本体の機器費」のみです。工事費、設計費、調査費、消費税などはすべて対象外となりますのでご注意ください。
- Q2. 中古の設備を導入したいのですが、対象になりますか?
- A2. いいえ、対象外です。補助対象となるのは未使用品の新規設備の導入に限られます。
- Q3. すぐに低炭素水素を燃料として使えない場合でも申請できますか?
- A3. はい、可能です。将来的に低炭素水素の供給環境が整った際に切り替えることを意思表示すれば、当面の間は都市ガス等を燃料とした運用も認められています。
- Q4. エネルギーサービス事業者が申請する場合の注意点はありますか?
- A4. はい。エネルギーサービス事業者が申請する場合、実際にエネルギーサービスを受ける事業者と共同で申請する必要があります。また、交付された補助金相当分は、エネルギーサービスを受ける者に還元される必要があります。
- Q5. 申請前に設備を発注・契約してしまいました。補助対象になりますか?
- A5. 原則として、交付決定通知を受けた後に事業を開始(契約・発注)する必要があります。既に契約済みの場合は補助対象外となる可能性が高いです。必ず事前に横浜市の担当課にご確認ください。
まとめと次のアクション
「横浜市水素利用設備導入費補助金」は、脱炭素化を目指す市内事業者にとって、非常に価値のある支援制度です。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 補助額: 最大1,000万円/基(補助率1/2)
- 対象経費: 設備本体の機器費のみ
- 対象者: 横浜市内の法人・個人事業主
- 申請期限: 令和7年11月28日(金)まで(先着順、予算上限あり)
この機会を最大限に活用するため、まずは横浜市の公式サイトで「交付要綱」を熟読し、制度の詳細を正確に理解することから始めましょう。その上で、自社の事業計画と照らし合わせ、申請準備を進めてください。不明な点があれば、早めに下記の問い合わせ先に相談することをお勧めします。
お問い合わせ先
横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局循環型社会推進課 水素担当
住所:〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 30階
電話:045-671-4109
メールアドレス:da-suiso@city.yokohama.lg.jp
公式サイト:横浜市水素利用設備導入費補助金のご案内