小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する人気の補助金「小規模事業者持続化補助金<一般型>」について、制度の概要から対象者、申請枠、経費、申請フローまでをプロが分かりやすく解説します。自社の取り組みに活用できるか、ぜひご確認ください。
この記事のポイント
- 小規模事業者の地道な販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する制度
- 補助上限額は最大200万円、補助率は原則2/3
- 通常枠に加えて、賃金引上げ枠やインボイス枠など6つの申請類型があり、目的に応じて選択可能
- 申請には商工会・商工会議所の支援を受け、経営計画の作成が必要
小規模事業者持続化補助金<一般型>とは?
小規模事業者持続化補助金(通称:持続化補助金)は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を策定した上で行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。チラシ作成やネット広告、店舗改装、新しい機械の導入など、幅広い経費が対象となるため、多くの事業者にとって活用しやすい補助金として知られています。
制度概要
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 50万円~200万円(申請枠により異なる) |
補助率 | 原則 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は 3/4) |
対象者 | 常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者・特定非営利活動法人 |
目的 | 販路開拓、業務効率化(生産性向上) |
公募状況 | 現在公募終了(次回公募は未定) |
6つの申請類型と補助上限額
持続化補助金<一般型>には、事業者の状況や目的に合わせて選べる6つの申請類型(枠)があります。それぞれ補助上限額や要件が異なります。
申請類型 | 補助上限額 | 概要 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 基本的な販路開拓等の取り組みを支援 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者 |
卒業枠 | 200万円 | 雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する事業者 |
後継者支援枠 | 200万円 | アトツギ甲子園のファイナリストに選ばれた事業者 |
創業枠 | 200万円 | 特定創業支援等事業の支援を受け創業した事業者 |
インボイス枠 | 100万円 | 免税事業者からインボイス発行事業者に転換した事業者 |
補助対象となる事業者
補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす法人、個人事業主、特定非営利活動法人です。
従業員数の要件
- 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):常時使用する従業員の数 5人以下
- 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下
その他の主な要件
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
- 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 受付締切日の前10か月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
ご注意ください
「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません。詳細は公募要領でご確認ください。
補助対象となる経費
販路開拓や業務効率化に関する幅広い経費が補助対象となります。ただし、汎用性の高いもの(パソコンなど)は対象外となる場合があるため注意が必要です。
経費科目 | 活用事例 |
---|---|
①機械装置等費 | 製造装置の購入、顧客管理ソフトの導入 |
②広報費 | チラシ・カタログ作成、新聞・雑誌広告、看板設置 |
③ウェブサイト関連費 | ウェブサイト・ECサイト構築、ネット広告、SEO対策 |
④展示会等出展費 | 展示会や商談会の出展料 |
⑤旅費 | 販路開拓のための交通費・宿泊費 |
⑥開発費 | 新商品の試作品開発、パッケージデザイン |
⑦資料購入費 | 補助事業に関連する資料・図書 |
⑧雑役務費 | 補助事業のための臨時アルバイト代 |
⑨借料 | 機器・設備のリース・レンタル料 |
⑩設備処分費 | 作業スペース確保のための設備処分費用 |
⑪委託・外注費 | 店舗改装、専門家への相談費用など |
経費の注意点
- ウェブサイト関連費は、補助金申請額の1/4が上限です。また、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。
- 経費の支払いは原則銀行振込です。10万円を超える現金払いは対象外となる場合があります。
- 補助金の交付決定日より前に発注・契約・支払いを行った経費は対象外です。
申請から入金までの流れ
持続化補助金は、申請してすぐに受け取れるものではありません。事業を実施し、報告書を提出した後に支払われる「後払い」が基本です。全体の流れを把握しておきましょう。
- ステップ1:申請の準備
公募要領を確認し、「経営計画書」「補助事業計画書」など必要書類を作成します。 - ステップ2:商工会・商工会議所への相談
作成した書類を地域の商工会・商工会議所に提出し、内容の確認と支援を受け、「事業支援計画書」の交付を受けます。 - ステップ3:申請手続き
電子申請(Jグランツ)または郵送で、事務局に申請書類一式を提出します。 - ステップ4:審査・採択・交付決定
事務局による審査が行われ、採択者が決定・公表されます。その後、「交付決定通知書」が届きます。 - ステップ5:補助事業の実施
交付決定通知書の日付以降に、計画に沿って発注・契約・支払いを行い、事業を実施します。 - ステップ6:実績報告書の提出
事業完了後、期限内に実績報告書と経費の証拠書類(見積書、請求書、領収書など)を事務局に提出します。 - ステップ7:確定検査・補助金額の確定
事務局が報告書と証拠書類を検査し、補助金額が最終的に確定します。 - ステップ8:補助金の請求と入金
確定した金額を請求し、後日、指定の口座に補助金が振り込まれます。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、事業の成長を目指す小規模事業者にとって非常に強力な支援策です。現在は公募が終了していますが、人気の補助金であるため、再開される可能性があります。
次回の公募に備え、今のうちから自社の課題を洗い出し、どのような販路開拓や生産性向上の取り組みが可能か、経営計画を練っておくことをお勧めします。最新情報は公式サイトで随時発表されますので、定期的にチェックしましょう。