沖縄県で診療所の開業や事業承継をお考えの医師の皆様へ朗報です。医師が不足している地域での医療提供体制を確保するため、診療所の開設にかかる施設・設備整備、さらに運営経費までを幅広く支援する補助金制度が公募されています。この記事では、制度の概要から対象経費、申請方法までを分かりやすく解説します。
事業の概要
本事業は、今後も一定の人口が見込まれるものの、医師不足により医療機関の減少が深刻な地域を「重点医師偏在対策支援区域」と定め、その地域で新たに診療所を開業、または既存の診療所を承継する医師を支援するものです。施設整備、設備導入、そして地域への定着を経済的にサポートし、地域医療の維持・確保を目指します。
制度のポイント
- ✅幅広い支援内容: 新築・改修などの「施設整備」、医療機器購入の「設備整備」、運営費を助成する「地域への定着支援」の3本柱。
- ✅高額な設備投資を支援: 設備整備事業では、最大1,650万円の補助が受けられます。
- ✅運営費もサポート: 地域への定着支援事業では、人件費や光熱水費などの運営経費(赤字分)に対して最大3分の2を補助します。
- ✅特定診療科は全域対象: 小児科、産科については、県内全域での開業・承継が対象となる予定です。
支援内容の詳細
本事業は、以下の3つの支援メニューで構成されています。
1. 施設整備事業
診療所の新築、増改築、改修、さらには買収にかかる費用を補助します。医師や看護師の住宅が診療所と一体となっている場合も対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象経費 | 診療所(診察室、処置室、待合室等)、診療部門と一体となった医師・看護師住宅の新築、増築、改築、改修、買収に要する工事費又は工事請負費 |
| 補助率 | 2分の1 |
| 基準額(面積・単価) | 建物の構造(RC、木造等)や有床・無床、住宅の有無に応じて基準額が設定されています。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
2. 設備整備事業
診療に必要な医療機器の購入費用を補助します。高額な初期投資の負担を大幅に軽減できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象経費 | 診療所として必要な医療機器購入費 |
| 基準額 | 1か所あたり 1,650万円 |
| 補助率 | 2分の1 |
3. 地域への定着支援事業
開業後の運営を支援するため、人件費や賃料などの運営経費(赤字分)の一部を補助します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象経費 | 人件費、報償費、旅費、備品費(50万円未満)、消耗品費、光熱水料、借料及び損料、社会保険料、委託費など |
| 補助率 | 3分の2 |
| 基準額 | 年間の診療日数に応じて算出されます。訪問看護を実施する場合は加算があります。 |
対象となる方・地域
事業対象者
以下の条件を満たす診療所の開設者が対象です。
- 下記の「重点医師偏在対策支援区域」において、令和7年度または令和8年度に診療所(医科)を承継または開業する方。
- 沖縄県地域医療対策協議会および保険者協議会で支援対象として合意を得た方。
- 単なる診療所の移転は対象外です。
重点医師偏在対策支援区域
対象となる地域は以下の通りです。
| 区域名 | 市町村名 | 支援区域 |
|---|---|---|
| 北部 | 名護市、国頭村、大宜味村、東村、今帰仁村、本部町、恩納村、宜野座村、金武町、伊江村、伊平屋村、伊是名村 | 全域 |
| 中部 | うるま市 | 津堅 |
| 南部 | 南城市、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、久米島町 | 久高、渡嘉敷、座間味、阿嘉、粟国、渡名喜、南大東、北大東、久米島 |
| 宮古 | 宮古島市、多良間村 | 全域 |
| 八重山 | 石垣市、竹富町、与那国町 | 全域 |
申請手続きとスケジュール
申請期間・提出先
- 提出期限: 令和7年10月20日(月曜日)
- 提出方法: メールにて提出
- 提出先: aa090603@pref.okinawa.lg.jp
提出書類
申請する事業に応じて、以下の書類が必要です。様式は沖縄県の公式サイトからダウンロードしてください。
- 全事業共通: 様式1 事業計画書
- 施設整備事業: 様式2 総括表, 様式3 内訳書, 図面, 面積一覧表, 積算根拠資料
- 設備整備事業: 様式4 事業計画, 見積書, パンフレット
- 地域定着支援事業: 様式5-1 所要額調書, 様式5-2 基準額算出調書, 事業計画書
- (任意)令和8年度の事業計画に係る事前調査: 別紙 令和8年度 承継・開業支援事業計画書
⚠️ ご注意ください
- 本事業は国および県の予算の範囲内で実施されるため、申請しても必ず補助が受けられるとは限りません。
- 「施設整備事業」「設備整備事業」は、県からの内示前に工事や購入の契約を締結すると補助対象外となります。
- 「地域への定着支援事業」は、診療収入等が総事業費を上回る見込みの場合(黒字経営が見込まれる場合)は対象外です。赤字部分への補助となります。
- 補助基準額等は国の案であり、今後変更となる可能性があります。
まとめ
「重点医師偏在対策支援区域における診療所の承継・開業支援事業」は、沖縄県の医師不足地域で地域医療に貢献したいと考える医師にとって、非常に魅力的な制度です。開業・承継時の初期投資や運営コストの負担を大幅に軽減できるこの機会を、ぜひご活用ください。まずは公式サイトで詳細を確認し、計画書を作成のうえ、期限内に申請しましょう。
お問い合わせ先
沖縄県 保健医療介護部 医療政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟4階(南側)
電話: 098-866-2111
ファクス: 098-866-2714
※お問い合わせは専用フォームもご利用いただけます。
対象者・対象事業
重点医師偏在対策支援区域において、令和7年度または令和8年度に診療所(医科)を承継または開業する開設者。※小児科、産科は県全域が対象となる予定。
必要書類(詳細)
【全事業共通】様式1 事業計画書【施設整備】様式2 総括表, 様式3 内訳書, 図面, 面積一覧表, 積算根拠資料【設備整備】様式4 事業計画, 見積書, パンフレット【地域定着支援】様式5-1 所要額調書, 様式5-2 基準額算出調書, 事業計画書【令和8年度事前調査】別紙 令和8年度 承継・開業支援事業計画書
対象経費(詳細)
【施設整備】診療所(診察室、処置室等)、医師・看護師住宅の新築、増築、改築、改修、買収に要する工事費等【設備整備】診療に必要な医療機器購入費【地域定着支援】人件費(基本給、諸手当等)、旅費、備品費(50万円未満)、消耗品費、光熱水料、借料、社会保険料、委託費等の運営経費
対象者・対象事業
重点医師偏在対策支援区域において、令和7年度または令和8年度に診療所(医科)を承継または開業する開設者。※小児科、産科は県全域が対象となる予定。