令和7年8月の大雨により甚大な被害を受けられた熊本県内の農業者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。この災害からの早期営農再開を支援するため、熊本県内の各市町村で「令和7年8月大雨営農再開支援事業」が実施されています。本事業は、被災した農業用機械や施設の修繕・再取得費用の一部を補助するものです。市町村によっては、最大1,400万円(補助率7/10)という手厚い支援も用意されています。この記事では、事業の概要から申請方法、必要書類までをプロが徹底解説します。
事業概要:被災からの力強い一歩を支援
本事業は、令和7年8月6日からの大雨及び台風により被災した農業者が、速やかに営農を再開できるよう、農業用機械や施設の復旧を支援することを目的としています。まずは制度の全体像を把握しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 令和7年8月大雨営農再開支援事業(農業用機械・施設等復旧支援事業) |
| 目的 | 大雨災害で被災した農業者の早期営農再開支援 |
| 対象者 | 地域計画の目標地図に位置付けられた農業者(認定農業者など) |
| 支援内容 | 被災した農業用機械・施設の修繕または再取得にかかる費用の一部補助 |
| 補助額・補助率 | 市町村により異なる。 例)玉名市:最大1,400万円(補助率7/10以内) 例)菊池市・合志市:最大600万円(国費分、補助率3/10以内) |
| 申請期間 | 2025年10月中旬~下旬頃(市町村により締切日が異なります) |
知っておきたい重要ポイント
- 被災前より高性能な機械も対象:被災した機械よりも機能が向上したものの取得も可能です(ただし、成果目標の設定が必要)。
- 被災日以降の着工もOK:市の計画承認前に事業に着手(契約・発注)していても、被災日以降の取り組みであれば対象となる場合があります。
- 融資の活用が前提:多くの市町村で、融資を受けて機械等を導入することが要件の一つとなっています。
対象となる事業の要件
補助の対象となるには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
事業費・対象機械の要件
- 事業費が整備内容ごとに50万円以上であること。
- 対象となる機械等の耐用年数が、おおむね5年以上20年以下のものであること。
- 運搬用トラック、パソコン、単なる倉庫など、農業経営以外の用途に容易に供される汎用性の高いものは対象外です。
成果目標の設定
本事業を活用するにあたり、被災前の経営水準を上回るための「成果目標」を設定する必要があります。
- 【必須目標】付加価値額の拡大
(付加価値額 = 収入総額 − 費用総額 + 人件費) - 【選択目標】(以下から1つ以上選択)
- 農産物の価値向上
- 単位面積当たり収量の増加
- 経営コストの縮減
申請ステップと必要書類
申請は、各市町村の担当課への書類提出が基本となります。玉名市のように、相談会形式で受付を行う自治体もあります。スムーズな申請のために、手順と必要書類を事前に確認しましょう。
申請までの流れ
- 事業所所在地の市町村担当課(農政課など)へ事前相談
- 必要書類の準備(見積書、被災写真、決算書など)
- 申請書類一式を期限内に提出(相談会への持参含む)
- 審査・交付決定通知
- 事業の実施(機械の購入・修繕、支払い)
- 実績報告書の提出、補助金額の確定・交付
主な必要書類リスト
提出書類は多岐にわたります。不備がないよう、チェックリストを活用して準備を進めましょう。
- 被災した機械・施設の写真:
全景、被災箇所(寄り)、型式番号プレートなど、状況が鮮明にわかるカラー写真が必要です。 - 見積書:
原則として複数者(3者以上が望ましい)から取得します。宛名、内訳、税抜・税込の記載があるもの。 - カタログ・図面:
導入する機械の仕様がわかるもの。施設の場合は平面図・立面図も必要です。 - 確定申告書・決算書一式:
直近のもの。個人の場合は青色申告決算書、法人の場合は決算報告書など。 - (再取得の場合)修繕不能証明書:
メーカー等が発行したもの。 - その他:
各市町村指定の申請様式、農地基本台帳、法人の場合は履歴事項全部証明書など。
申請の注意点
特に「被災状況の写真」は審査の重要な証拠となります。スマートフォン等で撮影後、すぐにデータをバックアップし、鮮明なカラー印刷で提出できるよう準備してください。機械の型式プレートの撮影も忘れずに行いましょう。
申請期限と問い合わせ先
本事業は市町村ごとに申請期限が異なります。ご自身の地域の締切日を必ず確認し、早めに準備を開始してください。
| 市町村 | 申請期限 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|
| 玉名市 | 相談会にて受付(10/22~10/27) | 農業政策課: 0968-75-1126 |
| 菊池市 | 令和7年10月17日 | 農政課 農政係: 0968-25-7221 |
| 合志市 | 令和7年10月31日(※10/3〆もあり) | 農政課へ要確認 |
| 美里町 | 令和7年10月15日 | 農業政策課へ要確認 |
※上記は本記事作成時点の情報です。最新の情報、および上記以外の市町村については、必ず各自治体の公式サイトをご確認ください。
まとめ
「令和7年8月大雨営農再開支援事業」は、被災された農業者の皆様が再び力強く経営を立て直すための重要な支援策です。申請には多くの書類準備が必要となり、期限も迫っています。まずはご自身の市町村の担当課へ連絡し、相談することから始めてください。この機会を最大限に活用し、一日も早い営農再開を目指しましょう。
対象者・対象事業
令和7年8月の大雨により農業用機械や施設に被害を受けた、地域計画の目標地図に位置付けられた農業者(認定農業者、認定新規就農者など)。※詳細は各市町村にご確認ください。
必要書類(詳細)
1. 事業計画書(各市町村指定様式) 2. 導入機械等の見積書(複数者推奨)及びカタログ 3. 被災状況がわかる写真(全景、被災箇所、型式番号プレート等) 4. 直近の確定申告書・決算書一式 5. 成果目標の根拠資料(出荷伝票等) 6. (再取得の場合)修繕不能証明書 7. (共済加入の場合)共済加入証明・支払通知書 8. その他市町村が指定する書類(農地基本台帳、履歴事項全部証明書等)
対象経費(詳細)
令和7年8月の大雨で被災した農業用機械・施設の修繕費用、または再取得費用。事業費が50万円以上で、耐用年数が5年以上20年以下のものが対象。運搬用トラックやパソコンなど汎用性の高いものは対象外。
対象者・対象事業
令和7年8月の大雨により農業用機械や施設に被害を受けた、地域計画の目標地図に位置付けられた農業者(認定農業者、認定新規就農者など)。※詳細は各市町村にご確認ください。