令和7年8月大雨で被災された熊本県の農業者の皆様へ
この度の令和7年8月大雨により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。熊本県内では、農作物や農業用ハウスの浸水など甚大な被害が発生しており、多くの農業者の方々が困難な状況に直面されていることと存じます。
この記事では、被災された農業者の皆様の早期営農再開を支援するため、熊本県および各市町村が実施する「令和7年8月大雨営農再開支援事業」について、専門家が分かりやすく解説します。事業の概要から申請方法、必要書類までを網羅していますので、ぜひご活用ください。
支援事業の2つの柱
本支援事業は、主に以下の2つの支援策で構成されています。
- 農業用機械・施設等復旧支援:被災したトラクターやハウスなどの修繕・再取得を支援
- 早期営農再開支援:当面の営農に必要な種子・肥料・レンタル費などを支援
ご自身の被害状況に合わせて、適切な支援をご検討ください。両方の事業を申請することも可能です。
【高額支援】農業用機械・施設等復旧支援
令和7年8月の大雨で被害を受けた農業用機械やハウスなどの修繕・再取得を支援する制度です。事業費が50万円以上の比較的大規模な復旧が対象となります。
支援内容と補助率
補助率 | 7/10以内(国3/10、県2/10、市2/10) |
---|---|
上限額 | 700万円 ※事業費1,000万円超で市が必要と認める場合は最大1,400万円 |
対象経費 | 被災した農業用機械・施設等の修繕、再取得にかかる費用 |
主な要件と注意点
- 対象者:地域計画の目標地図に位置付けられた者(または、位置付けられることが確実な者)
- 事業費:50万円以上(税込)の事業が対象です。
- 対象外:トラックなど汎用性が高いものは対象外です。
- 共済加入:復旧・再取得した機械等は、農機具共済や民間の保険等への加入が原則必要です。
- 重要:大雨被害日以降に着手したものであれば、事業承認前の取り組みも対象となる場合があります。関連書類(写真、見積書、領収書等)は必ず保管してください。
【緊急支援】早期営農再開支援
当面の営農再開に向けて、生産資材の購入や栽培環境の整備にかかる経費を支援する制度です。比較的少額から申請が可能です。
支援内容の詳細
支援メニュー | 支援内容 | 補助率 |
---|---|---|
資材の調達等支援 | 種子・種苗、マルチ等の消費財購入費、作業委託費、農業機械レンタル費 | 1/2以内 |
追加施肥・防除 | 生育回復に必要な追加の薬剤・肥料購入費、土壌診断費 | 1/2以内 |
作物残さの撤去 | 被災した作物残さの撤去にかかる掛かり増し経費 | 定額 |
※定額支援の詳細:作物残さ 1,500円/10a以内、保管中の農作物残さ 5,500円/人日以内など。
申請手続きとスケジュール
申請は、お住まいの市町村が開催する説明会や受付会を通じて行います。スケジュールは自治体によって異なるため、必ず公式情報をご確認ください。以下は熊本市の例です。
STEP1: 事業説明会に参加する
まずは事業内容を正しく理解するため、説明会への参加が推奨されます(事前申込不要)。
STEP2: 受付会で申請する
必要書類を準備し、最寄りの受付会場で申請手続きを行います。
【注意】申請期限は事業・市町村により異なります!
例:上天草市では機械等復旧支援の第2回締切が令和7年10月30日(木)、早期営農再開支援が令和7年10月10日(金)となっています。期限が迫っているため、早めの準備が必要です。
STEP3: 必要書類を準備する
申請には多くの書類が必要です。事前にチェックリストで確認し、漏れなく準備しましょう。
【共通の主な書類】
- り災証明書の写し
- 被災状況がわかる写真(日時がわかるもの)
- 事業費の積算がわかる資料(見積書など)
- 令和6年分の確定申告書および収支内訳書の写し
【事業別の主な書類】
- 営農計画書、農地基本台帳など
- 作業日誌、生産履歴など
- 共済加入証明(機械・施設の場合)
- 各種チェックリスト(市町村指定様式)
まとめ:まずは最寄りの相談窓口へ
「令和7年8月大雨営農再開支援事業」は、被災された農業者の皆様にとって力強い支援策です。しかし、制度が複雑で必要書類も多岐にわたります。
申請成功への3つのポイント
- 早めに相談する:まずはJAやお住まいの市町村の農林担当課に相談しましょう。
- 証拠を保管する:被災状況の写真、復旧にかかった領収書や見積書はすべて保管してください。
- 期限を確認する:申請期限は非常にタイトです。自治体のホームページ等で最新情報を必ず確認しましょう。
一日も早い復旧と営農再開を心よりお祈り申し上げます。