詳細情報
福岡市で農業を営む皆様へ朗報です。高齢化や後継者不足といった課題に直面する中、農業経営の継続や生産性向上は喫緊の課題ではないでしょうか。福岡市では、そうした意欲ある農業者を支援するため「未来へつなげる農村の担い手支援事業」を実施しています。この制度を活用すれば、トラクターやコンバインといった基幹農業機械や、農業用ドローン、除草ロボットなどのスマート農業機械の導入費用として、最大100万円の補助を受けることが可能です。この記事では、福岡市の農業者が今すぐ活用すべき「未来へつなげる農村の担い手支援事業」について、対象者や条件、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。新たな機械導入で、あなたの農業経営を次のステージへ進めましょう。
未来へつなげる農村の担い手支援事業とは?
制度の目的と背景
本事業は、福岡市の農業が直面する「担い手の高齢化」や「後継者不足」という深刻な課題に対応するために設けられました。農業の基盤である農村地域において、将来にわたって地域農業を維持し、発展させていくことが目的です。そのために、作業受託や集落営農など、地域の農業を支える中心的な役割を担う農業者(担い手)に対して、営農の継続や生産性向上に直接つながる農業機械の購入経費の一部を補助し、未来へつながる持続可能な農村づくりを促進します。
事業の概要
この補助金は、大きく分けて2つの支援メニューから構成されています。ご自身の経営状況や目指す方向性に合わせて、最適な支援を選択することが重要です。
- 営農継続支援: 農業経営に不可欠なトラクター、コンバイン、田植機などの基本的な農業機械の更新や新規導入を支援します。
- 生産性向上支援: 農業用ドローンや除草ロボットといった、省力化や効率化に大きく貢献するスマート農業機械の導入を支援します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 福岡市未来へつなげる農村の担い手支援事業補助金(2次募集) |
| 実施組織 | 福岡市 農林水産局 |
| 公募期間 | 要望書の提出期限:令和7年11月7日(金曜日)17時まで |
補助金額と補助率について
本事業の補助金額と補助率は、選択する支援メニューによって異なります。どちらも上限は100万円ですが、補助率に違いがあるため注意が必要です。
| 支援メニュー | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 1.営農継続支援 | 対象経費の3分の1以内 | 100万円 |
| 2.生産性向上支援 | 対象経費の2分の1以内 |
具体的な計算例
実際にどのくらいの補助が受けられるのか、例を見てみましょう。
- 例1:営農継続支援で450万円(税抜)のトラクターを購入する場合
450万円 × 1/3 = 150万円
補助上限額が100万円のため、補助金額は100万円となります。 - 例2:生産性向上支援で180万円(税抜)の農業用ドローンを購入する場合
180万円 × 1/2 = 90万円
補助上限額の範囲内なので、補助金額は90万円となります。
対象者と詳細な条件
この補助金は、福岡市内で意欲的に農業に取り組む担い手が対象ですが、支援メニューごとに詳細な面積要件が定められています。ご自身がどの要件に当てはまるか、しっかりと確認しましょう。
1.営農継続支援の対象者
以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 市内で農業を営む農家・法人で、経営耕地面積と作業受託面積の合計が1.5ha以上あり、導入機械でさらに面積を拡大する者。
- 市内の農家で構成する農作業受託組織で、作業受託面積が1.5ha以上あり、導入機械でさらに受託面積を拡大する組織。
- 中山間地域等直接支払制度に取り組む営農集団。
2.生産性向上支援の対象者
以下のいずれかに該当する方が対象です。営農継続支援よりも面積要件が緩和されています。
- 市内で農業を営む農家・法人で、経営耕地面積と作業受託面積の合計が1.0ha以上あり、導入機械でさらに面積を拡大する者。
- 市内の農家で構成する農作業受託組織で、作業受託面積が1.0ha以上あり、導入機械でさらに受託面積を拡大する組織。
- 中山間地域等直接支払制度に取り組む営農集団。
【ポイント】面積の考え方
・経営耕地面積:ご自身が所有する農地だけでなく、利用権設定などを通じて借りている市内の農地も含まれます。
・作業受託面積:農作業受託契約に基づいて作業を行っている市内の農地のことです。
・機械の共同利用も可能:個人では面積要件を満たさなくても、複数の農家で組合を作り、組合員の経営耕地面積を合算して要件を満たせば対象となります。
補助の対象となる経費
補助対象となるのは、農業経営に直接的に資する機械の導入経費です。ただし、いくつかの注意点があります。
対象経費リスト
- 営農継続支援:トラクター、コンバイン、田植機、およびそれらに直接取り付けて使用する付属機器(ロータリー、ハローなど)の導入経費。
- 生産性向上支援:農業用ドローン(農薬散布・施肥・播種用)、自動操舵システム、除草ロボット、ラジコン草刈機などのスマート農業機械の導入経費。
対象外となる経費・注意点
- 価格要件:導入する機械は、単体で機能し、価格(消費税を除く)が100万円以上のものが対象です。
- 汎用性の高い機械:運搬用トラックなど、農業以外の用途にも容易に使えるものは対象外です。
- 中古品:原則として新品が対象です。(法定耐用年数がおおむね5年以上などの要件あり)
- 交付決定前の購入:補助金の交付決定通知を受け取る前に発注や購入をした機械は、絶対に対象外となります。
- 他の補助金との重複:国や県の他の補助事業と重複して補助を受けることはできません。
申請方法と全体の流れ
申請は、定められた期間内に必要書類を提出することから始まります。全体の流れを把握し、計画的に準備を進めましょう。
申請ステップ
- 事前準備・相談:導入したい機械を選定し、販売店から見積書やカタログを取得します。不明点があれば、この段階で市の担当窓口に相談しましょう。
- 要望書の提出:必要書類を揃え、期限(令和7年11月7日)までに提出します。これが補助金交付の要望調査となります。
- 審査・選定:提出された事業計画書が審査基準に基づきポイント化され、ポイントの高い順に補助対象者が選定されます。
- 交付決定通知:審査の結果、採択されると市から「交付決定通知書」が届きます。
- 機械の発注・購入:必ず交付決定通知書を受け取った後に、機械の発注・購入・支払いを完了させます。
- 事業完了・実績報告:機械の納品(令和8年3月中)後、市へ実績報告書を提出します。
- 補助金の交付:実績報告書の内容が確認された後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
- アフターフォロー:補助金を受けた翌年度から4年間、利用実績の報告が必要です。
必要書類一覧
申請には以下の書類が必要です。様式は福岡市の公式ホームページからダウンロードできます。
- (1) 未来へつなげる農村の担い手支援事業要望書
- (2) 未来へつなげる農村の担い手支援事業計画書(様式第1号)
- (3) 導入予定機械による耕作等市内農地一覧(参考様式その1)
- (4) 導入予定機械使用者一覧(参考様式その2) ※共同利用の場合など
- (5) 使用機械等調書(参考様式その3)
- (6) 導入予定機械等の見積書、およびパンフレット、カタログ
提出先・方法
- 提出期限:令和7年11月7日(金曜日) 17時まで
- 提出方法:郵送、電子メール、直接持参のいずれか
- 提出先:福岡市 農林水産局 総務農林部 課長(農業振興・イノシシ等対策担当)農産担当
採択されるための重要なポイント
本事業は要望者が多数の場合、審査によって採択者が決まります。単に要件を満たすだけでなく、事業の趣旨に合致した計画であることが重要です。採択率を高めるためのポイントを解説します。
審査はポイント制!加点項目を狙おう
要望者が多数の場合、提出された事業計画が審査基準に基づきポイント化され、ポイントの高い順に採択者が決定されます。以下の項目はポイントが加算されるため、積極的に計画に盛り込みましょう。
- 機械の共同利用:複数の農業者で機械を共同利用する計画は、地域農業への貢献度が高いと評価されます。
- 中山間地域での農業:条件不利地である中山間地域での営農は、地域維持の観点から重要視されます。
- スマート農業機械の導入:生産性向上支援の対象となるスマート農業機械の導入は、市の推進するスマート農業の観点から評価されます。
事業計画書作成のコツ
- 「面積拡大」の具体性:対象者要件にある「経営耕地面積及び作業受託面積を拡大する」という点について、具体的に「どの地域の農地を、何ヘクタール拡大する計画か」を明確に記載しましょう。
- 導入機械の必要性をアピール:なぜその機械が必要なのか、「現在の機械が老朽化して修理費がかさんでいる」「新しい機械を導入することで作業時間が〇〇時間短縮でき、その時間で受託面積を拡大できる」など、定量的・具体的に説明することが重要です。
- 地域への貢献を記述:特に作業受託や共同利用を計画する場合、周辺の高齢農家の農地を引き受けるなど、地域農業の維持にどう貢献できるかを盛り込むと評価が高まります。
よくある不採択理由
- 交付決定前のフライング発注:最も多い失敗例です。絶対に交付決定通知書が届く前に発注・購入しないでください。
- 書類の不備:記入漏れや添付書類の不足。提出前に何度も確認しましょう。
- 事業計画の具体性不足:機械導入による効果や面積拡大の計画が曖昧で、説得力に欠けるケース。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 中古の農業機械は対象になりますか?
- A1. 原則として、法定耐用年数がおおむね5年以上又は残耐用年数がおおむね3年以上の機械が対象とされており、実質的には新品の導入が想定されています。中古品を検討している場合は、必ず事前に市の担当窓口へ対象となるか確認してください。
- Q2. 昨年「営農継続支援」で補助を受けましたが、今年「生産性向上支援」でドローンを導入したいです。申請できますか?
- A2. はい、申請可能です。令和4~7年度に本事業の補助を受けた場合でも、支援対象事業が異なる場合は補助を受けることができます。ただし、同じ支援メニュー(例:営農継続支援)で再度補助を受けることはできません。
- Q3. 要望書を提出すれば、必ず補助金はもらえますか?
- A3. いいえ、確約ではありません。今回の要望調査は導入希望の有無や金額を把握するためのものであり、補助金の交付を約束するものではありません。要望者が多数の場合は、事業計画の審査によって採択者が決定されます。
- Q4. 補助金を受けた後、何か義務はありますか?
- A4. はい、あります。補助金を受けた翌年度から4年間、導入した機械の利用実績を市に報告する必要があります。また、補助金の交付を受けた年度の4月1日から5年以上、補助対象者の要件(面積要件など)を満たし続ける必要があります。
- Q5. 見積書は1社からだけで良いですか?
- A5. 要領には複数社の見積もり取得義務は明記されていませんが、一般的に補助金申請では価格の妥当性を示すために、可能であれば2社以上から見積もりを取得することが望ましいとされています。詳しくは市の担当窓口にご確認ください。
まとめと次のアクション
今回は、福岡市の農業者を力強く支援する「未来へつなげる農村の担い手支援事業」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- トラクター等の基本機械には最大100万円(補助率1/3)、ドローン等のスマート農機には最大100万円(補助率1/2)を補助。
- 対象者は面積要件(営農継続1.5ha以上、生産性向上1.0ha以上)を満たす必要あり。
- 要望書の提出期限は令和7年11月7日(金)17時。
- 交付決定前の発注は絶対にNG!
- 審査はポイント制。共同利用、中山間地域、スマート農機導入が加点対象。
この補助金は、設備投資の負担を軽減し、経営規模の拡大や生産性向上を実現する絶好の機会です。まずはこの記事を参考に、ご自身が対象になるかを確認し、導入したい機械の選定と見積もり取得から始めてみましょう。少しでも不明な点があれば、遠慮なく下記の問い合わせ先に連絡することをお勧めします。専門の担当者が丁寧に相談に乗ってくれるはずです。
お問い合わせ先
- 部署:福岡市 農林水産局 総務農林部 課長(農業振興・イノシシ等対策) 農産担当
- 住所:〒810-8620 福岡市中央区天神1丁目8番1号
- 電話番号:092-711-4852
- E-mail:n-shinko-inoshishi.AFFB@city.fukuoka.lg.jp
- 公式サイト:未来へつなげる農村の担い手支援事業