詳細情報
はじめに:お子様の「聞こえ」をサポートする福岡県の助成金
福岡県にお住まいで、軽度・中等度の難聴のお子様がいらっしゃる保護者の皆様へ。お子様の言語の発達やコミュニケーションのために補聴器の購入を検討されているものの、費用の負担が大きく悩んでいませんか?実は、福岡県では身体障害者手帳の交付対象とならない軽度・中等度の難聴児を対象に、補聴器の購入費用の一部を助成する「福岡県軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業」を実施しています。この制度を活用することで、経済的な負担を軽減し、お子様の健やかな成長を力強くサポートできます。この記事では、制度の詳しい内容から対象者の条件、申請方法、必要書類まで、保護者の皆様が知りたい情報を網羅的に、そして分かりやすく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、制度の活用をご検討ください。
福岡県軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業の概要
まずは、この助成金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。
| 正式名称 | 福岡県軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業 |
|---|---|
| 実施組織 | 福岡県内の各市町村(政令指定都市である福岡市、北九州市を除く) |
| 目的・背景 | 身体障害者手帳の交付対象とならない軽度・中等度の難聴児に対し、補聴器購入費用等の一部を助成することで、言語の習得、教育等における健全な発達を支援し、福祉の増進を図ることを目的としています。 |
| 対象者 | 福岡県内(政令市除く)に住所を有する18歳未満の児童で、聴力レベルが一定の基準に該当し、身体障害者手帳の対象とならない方。 |
助成金額と補助率について
助成される金額は、購入する補聴器の種類やお住まいの市町村、世帯の所得状況によって異なります。ここでは、その計算の仕組みと基準額について詳しく見ていきましょう。
助成額の計算方法
助成額は、基本的に以下の考え方で算出されます。
- 国が定める「補聴器の基準価格」と「実際に購入する補聴器の見積額」を比較し、いずれか低い方の金額が助成の基準となります。
- その基準額に対して、お住まいの市町村が定める助成率(例:費用の3分の2、10分の9など)を掛けた金額が助成されます。
- 自己負担額は、原則として助成基準額の1割など、市町村が定める割合となりますが、市町村民税非課税世帯や生活保護世帯の場合は自己負担が免除されることがあります。
【重要】助成率や自己負担の割合は、お住まいの市町村によって異なります。例えば、春日市では費用の「3分の2」が助成され、久留米市では「10分の9」が助成されます(2024年時点)。必ず事前に市町村の担当窓口にご確認ください。
補聴器の種類別 基準価格一覧
助成額の算定基礎となる補聴器の基準価格は、種類や性能によって細かく定められています。以下がその一覧表です。
| 名称 | 一台当たりの基準価格(円) | 備考 |
|---|---|---|
| 軽度・中等度難聴用ポケット型 | 44,000 | 電池、イヤモールド含む |
| 軽度・中等度難聴用耳かけ型 | 46,400 | 電池、イヤモールド含む |
| 高度難聴用ポケット型 | 44,000 | 電池、イヤモールド含む |
| 高度難聴用耳かけ型 | 46,400 | 電池、イヤモールド含む |
| 重度難聴用ポケット型 | 59,000 | 電池、イヤモールド含む |
| 重度難聴用耳かけ型 | 71,200 | 電池、イヤモールド含む |
| 耳あな型(レディメイド) | 92,000 | 電池含む |
| 耳あな型(オーダーメイド) | 144,900 | 電池含む |
| 骨導式ポケット型 | 74,100 | 電池、骨導レシーバー、ヘッドバンド含む |
| 骨導式眼鏡型 | 126,900 | 電池、平面レンズ含む |
※耐用年数は原則5年です。デジタル式補聴器で専門家による調整が必要な場合は2,000円が加算されるなど、追加の加算項目もあります。
対象者・条件の詳細
この助成制度を利用するためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。申請前にお子様が対象となるか、しっかり確認しましょう。
- 居住地:福岡県内(福岡市、北九州市を除く)の市町村に住所があること。
- 年齢:18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にあること(18歳未満)。
- 聴力レベル:原則として、両耳の聴力レベルが30デシベル以上70デシベル未満で、身体障害者手帳の交付対象とならないこと。
- 医師の判断:身体障害者福祉法第15条に規定される指定医が、補聴器の装用により言語の習得等に一定の効果が期待できると判断していること。
- 所得制限:世帯の所得に制限があります。障害者総合支援法の補装具費支給制度における所得制限が準用され、一般的に、同一世帯員に市町村民税所得割額が46万円以上の方がいる場合は対象外となります。
補助対象となる経費
助成の対象となるのは、補聴器本体の費用です。具体的には以下の経費が対象となります。
対象となる経費
- 新規の補聴器購入費用
- 耐用年数(原則5年)経過後の補聴器更新費用
- 上記基準価格表に記載されている補聴器本体および付属品(電池、イヤモールド等)
対象とならない経費
- 補聴器の修理費用
- 日常的な電池交換費用
- 付属品(イヤモールド等)のみの交換費用
- 助成決定前に購入した補聴器の費用
申請方法と手順(ステップ・バイ・ステップ)
申請手続きは、いくつかのステップに分かれています。特に「補聴器を購入する前に申請が必要」という点が最も重要です。以下の手順を参考にして、間違いのないように進めましょう。
【最重要注意点】
必ず、補聴器を購入する前に申請手続きを行ってください。購入後の申請は助成の対象外となります。
- ステップ1:市町村の窓口へ相談
まず、お住まいの市町村の障害福祉担当課(名称は市町村により異なります)へ行き、助成制度を利用したい旨を相談します。ここで申請に必要な書類一式を受け取ります。 - ステップ2:指定医の受診と意見書作成
身体障害者福祉法第15条に規定する指定医(耳鼻咽喉科)を受診し、診察と聴力検査を受けます。医師に助成制度を利用することを伝え、「医師意見書」の作成を依頼します。 - ステップ3:補聴器販売店で見積書を取得
市町村に登録されている補聴器販売店へ行き、医師の意見書に基づいてお子様に合った補聴器を選び、「見積書」を作成してもらいます。 - ステップ4:市町村へ申請書類を提出
以下の必要書類を揃えて、市町村の窓口に提出します。- 交付申請書
- 医師意見書
- 補聴器の見積書
- 世帯の所得状況がわかる書類(市町村民税課税証明書など)
- その他、市町村が必要と認める書類
- ステップ5:交付決定通知の受領
市町村で審査が行われ、助成が決定すると「交付決定通知書」が自宅に届きます。 - ステップ6:補聴器の購入と受け取り
交付決定通知書と自己負担金を持って、見積書を作成した販売店へ行き、補聴器を購入・受け取ります。 - ステップ7:助成金の支払い
多くの市町村では、利用者が自己負担額のみを販売店に支払い、助成金額は市町村から直接販売店へ支払われる「代理受領方式」が採用されています。これにより、一時的に高額な費用を立て替える必要がなくなります。(※市町村により異なる場合があります)
スムーズに助成を受けるためのポイント
この制度は要件を満たせば助成を受けられますが、手続きを円滑に進めるためにいくつかのポイントを押さえておきましょう。
- 早めに相談を開始する:申請には医師の診察や書類の準備に時間がかかることがあります。補聴器の購入を考え始めたら、できるだけ早く市町村の窓口に相談しましょう。
- 指定医を確認する:意見書を作成できるのは「身体障害者福祉法第15条指定医」に限られます。かかりつけの耳鼻咽喉科が指定医かどうか、事前に市町村の窓口や医療機関に確認しておくとスムーズです。
- 市町村の制度内容を把握する:県の要綱を基にしていますが、助成率や申請様式、登録業者などは市町村ごとに異なります。必ずお住まいの市町村の最新情報を確認してください。
- 書類の不備に注意する:申請書や意見書、見積書に記入漏れや間違いがないか、提出前によく確認しましょう。不備があると手続きが遅れる原因になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 身体障害者手帳を持っていなくても申請できますか?
はい、できます。この制度は、まさに身体障害者手帳の交付対象とならない、軽度・中等度の難聴のお子様を対象としたものです。
Q2. 福岡市や北九州市に住んでいる場合は対象外ですか?
はい、この「福岡県」の事業としては対象外となります。ただし、福岡市や北九州市では独自の同様の助成制度を実施している可能性があります。お住まいの区役所の障害福祉担当課へ直接お問い合わせください。
Q3. 補聴器を買ってしまった後でも申請できますか?
いいえ、できません。この制度は購入前の申請が絶対条件です。購入後の申請は助成対象外となりますので、くれぐれもご注意ください。
Q4. 助成額はいくらになりますか?
一概には言えません。購入する補聴器の基準価格と、お住まいの市町村が定める助成率、そして世帯の所得状況によって決まります。まずは市町村の窓口で、ご自身のケースではどのくらいの助成が見込めるか相談してみることをお勧めします。
Q5. 申請してから補聴器を受け取るまで、どのくらい時間がかかりますか?
市町村の審査期間や補聴器の在庫・製作期間にもよりますが、一般的には申請から1ヶ月〜2ヶ月程度かかることが多いようです。余裕を持ったスケジュールで手続きを進めましょう。
まとめ:まずはお住まいの市町村へ相談を
今回は、福岡県の「軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業」について詳しく解説しました。最後に、この制度の重要なポイントを再確認しましょう。
- 対象者:福岡県内(政令市除く)在住の18歳未満で、身体障害者手帳の対象とならない軽度・中等度難聴児。
- 助成内容:補聴器の新規購入または更新にかかる費用の一部を助成。
- 最重要ポイント:必ず補聴器を購入する前に申請が必要。
- 手続きの第一歩:お住まいの市町村の障害福祉担当課への相談からスタート。
お子様の「聞こえ」は、言葉の発達や学習、お友達とのコミュニケーションにおいて非常に重要です。この助成制度を有効に活用し、お子様の可能性を広げる一助としてください。少しでも気になることがあれば、まずは気軽にお住まいの市町村の窓口へ問い合わせてみましょう。