詳細情報
神奈川県秦野市で農業を営む皆様へ。イノシシやシカ、ハクビシン、鳥類などによる農作物被害は、手塩にかけて育てた作物が一夜にして台無しにされる深刻な問題です。その対策として有効な防護柵の設置には、決して安くない費用がかかります。そんな農業者の皆様を力強く支援するため、秦野市では「鳥獣保護管理対策事業(防護柵)補助金」を実施しています。この制度を活用すれば、ワイヤーメッシュ柵や金網柵などの購入費用について、最大5万円の補助を受けることが可能です。この記事では、補助金の対象者、申請方法、必要書類、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。大切な農作物を守り、安心して営農を続けるために、この機会にぜひ本制度をご活用ください。
この補助金のポイント
- 秦野市内の農地に設置する防護柵が対象
- ワイヤーメッシュ柵などの購入費用を最大5万円補助(補助率1/2)
- 秦野市在住で年間販売額50万円以上などの要件あり
- 【最重要】必ず購入・設置する前に申請が必要!
- 申請受付は令和7年(2025年)12月26日まで
1. 補助金の概要
正式名称と実施組織
この補助金の正式名称と、事業を実施している組織は以下の通りです。
- 正式名称: 鳥獣保護管理対策事業(防護柵)補助金
- 実施組織: 神奈川県秦野市 環境産業部 農業振興課
目的と背景
近年、全国的に野生鳥獣の生息域が拡大し、農作物への被害が深刻化しています。特に秦野市のような里山が広がる地域では、イノシシやシカ、ハクビシンなどが人里近くまで出没し、農地を荒らす被害が後を絶ちません。こうした被害は、経済的な損失だけでなく、農業者の生産意欲を大きく削ぐ原因ともなっています。また、農業者の高齢化や担い手不足により管理が行き届かない農地(耕作放棄地)が増え、それが鳥獣の隠れ家や侵入経路となり、さらに被害を拡大させるという悪循環も生まれています。
この補助金は、農業者自身が主体的に行う被害防止対策(防護柵の設置)を経済的に支援することで、鳥獣による農作物被害を軽減し、秦野市の基幹産業である農業の振興と、農業者が安心して営農を継続できる環境を維持することを目的としています。
2. 補助金額と補助率
補助金額は、設置する防護柵の種類によって上限額が異なります。補助率はどちらも購入費用の2分の1以内です。また、購入費用が1万円未満の場合は対象外となるためご注意ください。
| 対象経費 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| ワイヤーメッシュ柵、金網柵、防鳥ネット(支柱等で農作物を覆うもの) | 購入費用の2分の1以内 | 5万円 |
| 防鳥ネット(ネットのみの購入) | 3万円 |
計算例で見てみよう
- ケース1:ワイヤーメッシュ柵を12万円で購入した場合
12万円 × 1/2 = 6万円。しかし上限額が5万円のため、補助金額は5万円となります。 - ケース2:防鳥ネット(ネットのみ)を5万円で購入した場合
5万円 × 1/2 = 2.5万円。上限額3万円の範囲内なので、補助金額は2万5千円となります。 - ケース3:金網柵を9,000円で購入した場合
購入費用が1万円未満のため、残念ながら補助対象外となります。
3. 対象者・条件
この補助金を利用するには、以下のすべての要件を満たす必要があります。ご自身が該当するか、申請前に必ず確認してください。
- 秦野市内に住所を有していること
申請日時点で秦野市に住民登録がある個人の農業者が対象です。法人の場合は、事前に農業振興課へお問い合わせください。 - 市内に10a(アール)以上の農地を耕作していること
10aは1,000㎡(約300坪)です。ご自身が所有する農地だけでなく、利用権設定契約(賃借契約など)を結んで耕作している農地も含まれます。複数の農地を耕作している場合は、その合計面積で判断されます。 - 農産物の販売金額が年間50万円以上であること
趣味の家庭菜園ではなく、事業として農業を営んでいる方が対象となります。JAへの出荷、直売所での販売、飲食店への契約販売など、販売形態は問いません。前年分の販売実績を証明する書類が必要になります。
4. 補助対象となる経費
補助の対象となるのは、防護柵の資材購入費です。設置にかかる工事費や運搬費などは対象外ですのでご注意ください。また、対象となる資材と、対象外となる資材が明確に定められています。
補助対象となるもの
- ワイヤーメッシュ柵
- 金網柵
- 防鳥ネット(支柱等で農作物を覆う、物理的に侵入を防ぐタイプのもの)
補助対象外となるもの
- 電気柵
- ネット柵(ワイヤーメッシュや金網ではない、簡易的なネット)
- トタン板
- 忌避用品(音や光、匂いで追い払うもの)
- 設置工事費、運搬費、消耗品費など
5. 申請方法と手順
申請から補助金交付までの流れは以下の通りです。特に重要なのは、必ず「購入・設置の前」に申請手続きを行うことです。先に購入してしまったものは補助対象になりませんので、絶対に間違えないようにしましょう。
Step 1: 事前準備(見積書・写真の用意)
購入予定の防護柵の見積書を販売店から取得します。また、設置予定場所の現状がわかるように、設置前の写真を撮影しておきます。
Step 2: 申請書類の提出【期限:2025年12月26日】
後述の必要書類一式を揃え、秦野市役所 農業振興課の窓口に提出します。
Step 3: 交付決定通知の受領
市で書類審査が行われ、内容に問題がなければ「交付決定通知書」が郵送されてきます。この通知書が届いてから、初めて資材の購入・設置が可能になります。
Step 4: 防護柵の購入・設置
交付決定の内容に従って、防護柵を購入・設置します。必ず領収書を保管しておいてください。設置が完了したら、設置後の写真を撮影します。
Step 5: 実績報告書類の提出【期限:翌年2月27日頃】
設置完了後、実績報告書兼請求書に領収書の写しと設置後の写真を添えて、市へ提出します。
Step 6: 交付確定通知の受領
実績報告の内容が審査され、問題がなければ「交付確定通知書」が届きます。
Step 7: 補助金の交付【3月下旬頃】
指定した口座に補助金が振り込まれます。
必要書類一覧
申請時と設置後で提出する書類が異なります。申請書などの様式は秦野市の公式サイトからダウンロードできます。
【申請時に必要な書類】
- (1) 交付申請書
- (2) 見積書等の写し(購入する資材の品名、数量、金額がわかるもの)
- (3) 農地を耕作していることが分かる書類の写し(固定資産税納税通知書、利用権設定通知書、耕作証明書など)
- (4) 設置予定図(農地のどの場所に、どのように設置するかがわかる簡単な図)
- (5) 設置前の写真(設置場所の状況がわかるもの)
- (6) 農作物の販売金額が50万円以上であることが分かる書類の写し(販売代金清算書、収支内訳書など)
【設置後に必要な書類】
- (1) 実績報告書兼請求書
- (2) 領収書の写し(購入日、購入品、金額、支払先が明記されているもの)
- (3) 設置後の写真(申請通りに設置されたことがわかるもの)
6. 採択されるためのポイント
この補助金は、要件を満たし、手続きを正しく行えば採択される可能性が高い制度です。しかし、うっかりミスで対象外とならないよう、以下のポイントをしっかり押さえましょう。
- ポイント1:とにかく「事前申請」を徹底する
何度も繰り返しますが、これが最も重要です。フライングで購入・設置しないように、必ず市の交付決定通知書を受け取ってから行動に移してください。 - ポイント2:書類の不備をなくす
記入漏れ、押印忘れ、添付書類の不足は審査の遅れや不採択に直結します。提出前に、市の担当者に確認してもらうくらいの気持ちで、完璧な書類準備を心がけましょう。 - ポイント3:証明書類を確実に用意する
特に「耕作面積」と「年間販売額」の証明は必須です。どの書類が該当するかわからない場合は、早めに農業振興課に相談しましょう。 - ポイント4:分かりやすい図と写真を用意する
設置予定図は、手書きでも構いませんので、誰が見ても「どこに」「何を」「どれくらい」設置するのかが分かるように具体的に書きましょう。写真も、設置場所全体が写るように撮影すると親切です。
よくある不採択・失敗理由
- 申請前に資材を購入してしまった。
- 対象外の経費(電気柵、工事費など)で申請してしまった。
- 対象者要件(特に年間販売額50万円)を満たしていなかった。
- 提出した見積書や領収書の内容が不鮮明だった。
- 期限内に申請書や実績報告書を提出できなかった。
7. よくある質問(FAQ)
- Q1. 申請はいつからできますか?
- 例年、市の会計年度が始まる4月1日から受付を開始しています。予算がなくなり次第終了となる可能性もあるため、設置を計画している方は早めに申請することをおすすめします。
- Q2. 電気柵はなぜ対象外なのですか?
- 秦野市のこの補助金では、より恒久的でメンテナンスの手間が少ない物理的な防護柵(ワイヤーメッシュ柵など)の設置を重点的に支援しています。電気柵は効果的ですが、定期的な草刈りなどの維持管理が不可欠です。なお、電気柵については国や県の別の支援事業の対象となる場合があります。
- Q3. 複数の農地に設置したいのですが、まとめて申請できますか?
- はい、可能です。申請書には合計の購入費用を記入し、設置予定図にはすべての設置場所を分かりやすく図示してください。ただし、補助金の上限額は申請者1人あたり年間で5万円(防鳥ネットのみの場合は3万円)となります。
- Q4. 年間販売額50万円を証明する書類はどのようなものですか?
- 前年分の実績がわかる書類として、JAからの「販売代金清算書」、直売所の売上伝票の控え、確定申告を行っている場合は「収支内訳書(農業所得用)」の写しなどが該当します。ご自身の販売形態に合った書類をご用意ください。不明な場合は事前に担当課へご相談ください。
- Q5. 補助金はいつ頃振り込まれますか?
- 通常、2月下旬の期限までに実績報告書を提出し、市の審査が完了した後、3月下旬に指定の口座へ振り込まれます。手続きをスムーズに進めるためにも、設置が完了したら速やかに実績報告を行うことをお勧めします。
8. まとめと問い合わせ先
今回は、秦野市の「鳥獣保護管理対策事業(防護柵)補助金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントをもう一度確認しましょう。
- 対象者:秦野市在住で、市内10a以上の農地を耕作し、年間販売額50万円以上の農業者
- 補助額:ワイヤーメッシュ柵等は最大5万円、防鳥ネットのみは最大3万円(補助率1/2)
- 対象経費:ワイヤーメッシュ柵、金網柵、防鳥ネットの資材購入費(電気柵は対象外)
- 最重要ルール:購入・設置前の事前申請が必須!
- 申請期限:令和7年(2025年)12月26日(金)
野生鳥獣による被害は、個人の努力だけで防ぐには限界があります。この補助金制度を有効に活用し、地域全体で被害に強い農業環境を築いていくことが重要です。大切な農作物を守るための第一歩として、まずは販売店で見積もりを取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
申請に関するご不明な点や、書類の書き方など、詳しいことは下記までお気軽にお問い合わせください。
秦野市役所 環境産業部 農業振興課 農業支援・鳥獣対策担当
(はだの都市農業支援センター内)
電話番号: 0463-81-7800