詳細情報
石川県能美市では、近年増加しているクマ等の野生動物による被害を防ぐため、「能美市獣害支障木伐採事業補助金」を実施しています。この制度は、クマを人里に引き寄せる原因となる柿や栗などの樹木の伐採費用の一部を補助するものです。ご自宅の庭や地域の共有地に、手入れが行き届かず放置された果樹はありませんか?それが思わぬ形で野生動物を呼び寄せ、地域全体の安全を脅かす可能性があります。この記事では、能美市の獣害支障木伐採補助金について、対象者、補助金額、申請方法から採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。大切な地域を獣害から守るため、この機会に補助金制度の活用をぜひご検討ください。
この補助金のポイント
- クマ等の誘引原因となる柿や栗の木の伐採費用を支援
- 業者への委託料(運搬・処分費含む)の2分の1を補助
- 補助額に上限なし!大規模な伐採にも対応可能
- 対象は辰口地区およびクマ目撃多発地域の町会
- 申請前に農林課への事前相談が必須
① 補助金の概要|なぜ今、樹木の伐採が必要なのか?
正式名称と実施組織
この補助金の正式名称は「能美市獣害支障木伐採事業補助金」です。能美市役所の産業交流部 農林課が担当しています。
目的と背景
近年、全国的にツキノワグマなどの野生動物が人の生活圏に出没する事例が増加しており、能美市も例外ではありません。その大きな原因の一つが、人里にある「餌」の存在です。特に、秋に実をつける柿や栗の木は、クマにとって非常に魅力的な食料源となります。収穫されずに放置された果実は、クマを住宅地深くまで誘い込む原因となり、人身被害につながる危険性を高めます。
この補助金は、そうしたクマ等の誘引物となりうる「支障樹木」を伐採・除去する費用を支援することで、野生動物と人との間に適切な距離を保ち、市民が安全・安心に暮らせる環境を整備することを目的としています。
② 補助金額・補助率|上限なしで費用の半分を支援
この補助金の最大の魅力は、手厚い補助内容にあります。具体的な補助率と金額について見ていきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 対象経費の2分の1以内 |
| 補助上限額 | 上限なし |
| 端数処理 | 算出された補助額の100円未満は切り捨て |
計算例で見る補助金額
実際にどれくらいの補助が受けられるのか、具体的なケースで見てみましょう。
- ケース1:町内の放置された柿の木2本の伐採を業者に依頼
伐採・処分費用合計:150,000円
補助金額:150,000円 × 1/2 = 75,000円
→ 75,000円が補助されます。 - ケース2:地域で問題となっている複数の栗の木(5本)をまとめて伐採
伐採・運搬・処分費用合計:485,500円
補助金額:485,500円 × 1/2 = 242,750円 → (100円未満切り捨て)→ 242,700円
→ 242,700円が補助されます。
【重要】予算には限りがあります!
補助額に上限はありませんが、市の年度予算には限りがあります。予算が上限に達した時点で受付終了となるため、伐採を検討している場合は、できるだけ早く農林課へ事前相談することが非常に重要です。
③ 対象者・条件|申請できるのは「町会」です
この補助金は、個人ではなく「町会」単位での申請となります。対象となる町会は、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 辰口地区の町会
- 過去にクマの目撃情報が複数回あった町会
ご自身の町会が対象になるか不明な場合は、能美市農林課へ問い合わせて確認しましょう。町内で放置されている危険な樹木がある場合、まずは町会長や役員の方に相談し、町会としてこの補助金の活用を検討してもらうのが第一歩です。
④ 補助対象経費|どこまでが補助の対象?
補助の対象となる経費と、対象外となる経費をしっかり理解しておくことが重要です。
対象となる経費(〇)
補助対象は、専門業者へ支払う作業委託料です。具体的には以下の費用が含まれます。
- 柿、栗などの果樹の伐採作業費
- 伐採した木の枝や幹の運搬費
- 伐採木の処分費(チップ化、焼却など)
対象外となる経費(×)
以下の費用は補助の対象となりませんのでご注意ください。
- 山林にある樹木の伐採費用
- 町会の会員などが自分たちで作業した場合の人件費や日当
- 伐採に必要なチェーンソーや梯子などの道具の購入費・レンタル料
- 抜根(根を掘り起こす作業)にかかる費用(※対象となるか要確認)
- 消費税および地方消費税
⑤ 申請方法・手順|事前相談から交付までの流れ
補助金交付までの流れは以下の通りです。必ず事業(伐採作業)を開始する前に申請が必要ですので、順番を間違えないようにしましょう。
ステップ1:事前相談
まずは能美市農林課に「獣害支障木伐採事業補助金を利用したい」と電話等で相談します。対象地域や事業内容について確認してもらいます。
ステップ2:業者から見積書を取得
伐採を依頼する業者(造園業者、林業業者など)を決め、作業内容と費用の見積書を取得します。複数の業者から相見積もりを取ることをお勧めします。
ステップ3:交付申請書の提出
必要書類を揃えて農林課に提出します。これが正式な申請となります。
【必要書類】
- 様式第1号(交付申請書)
- 事業計画書(伐採する樹木の種類、本数、場所などを記載)
- 収支予算書
- 業者からの見積書の写し
- 伐採対象樹木の現況写真
- 伐採場所の位置図(地図)
ステップ4:交付決定通知
市で申請内容が審査され、問題がなければ「補助金交付決定通知書」が届きます。この通知を受け取ってから、業者と正式に契約し、事業を開始できます。
ステップ5:伐採事業の実施
業者に伐採作業を依頼し、実施してもらいます。
ステップ6:実績報告書の提出
事業が完了したら、費用を業者に支払い、実績報告書を提出します。
【必要書類】
- 様式第4号(実績報告書)
- 事業報告書
- 収支決算書
- 業者への支払いを証明する書類(領収書の写しなど)
- 事業完了後の写真
ステップ7:補助金額の確定・請求
実績報告書を審査後、市から「補助金確定通知書」が届きます。その後、「様式第6号(補助金請求書)」を提出します。
ステップ8:補助金の交付
指定した口座に補助金が振り込まれます。
申請書類のダウンロード
各種申請様式は、能美市の公式サイトからダウンロードできます。
能美市獣害支障木伐採事業補助金について(公式サイト)
⑥ 採択のポイント|補助金を確実に受けるために
この補助金は要件を満たせば採択されやすい制度ですが、よりスムーズに進めるためのポイントがいくつかあります。
- 何よりもまず事前相談!
繰り返しになりますが、これが最も重要です。予算の有無の確認はもちろん、申請手続きで不明な点をクリアにすることで、書類の不備を防げます。担当者とコミュニケーションを取っておくことで、その後の手続きも円滑に進みます。 - 事業の必要性を明確に記述する
申請書の事業計画書には、「なぜこの木を伐採する必要があるのか」を具体的に書きましょう。「過去にこの木の近くでクマが目撃された」「通学路に面しており、子どもへの被害が心配される」「高齢の所有者が管理できず、地域で問題になっている」など、具体的な状況を説明することで、事業の緊急性や重要性が伝わります。 - 写真は分かりやすく撮影する
申請時(伐採前)と実績報告時(伐採後)の写真は、同じアングルから撮影すると変化が分かりやすく、審査がスムーズになります。樹木全体と、周辺の家屋や道路との位置関係が分かるように撮影しましょう。 - 見積書は適正か確認する
1社だけでなく、できれば2〜3社から見積もりを取り、金額の妥当性を確認しましょう。極端に高額な見積もりは、補助対象として認められない可能性があります。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 個人で申請することはできますか?
A1. いいえ、できません。この補助金は「町会」が申請者となる制度です。個人の敷地内にある樹木であっても、町会が取りまとめて申請する必要があります。まずは町会長にご相談ください。
Q2. 柿や栗以外の木(例えば梅やビワなど)は対象になりますか?
A2. 要綱では「柿、栗等の樹木」とされています。クマを誘引する可能性がある果樹であれば対象となる可能性がありますが、最終的な判断は市が行います。柿・栗以外の樹木を伐採したい場合は、必ず事前相談の際に農林課へ確認してください。
Q3. 申請前に業者に伐採を依頼してしまいました。後から申請できますか?
A3. いいえ、できません。補助金の交付決定前に着手した事業は、原則として補助対象外となります。必ず市の交付決定通知書を受け取ってから、業者との契約・作業着手を行ってください。
Q4. 補助金はいつ頃振り込まれますか?
A4. 事業完了後の実績報告書と請求書を提出し、市での審査・手続きが完了した後になります。通常、請求書提出から1ヶ月〜2ヶ月程度かかることが多いですが、時期によって変動しますので、目安としてお考えください。
Q5. どの業者に頼めばいいか分かりません。市で紹介してもらえますか?
A5. 市役所が特定の業者を斡旋することはありません。お近くの造園業者、シルバー人材センター、森林組合などに相談し、見積もりを依頼してください。
⑧ まとめ|地域の安全のために、まずは相談から
今回は、能美市の「獣害支障木伐採事業補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 目的:クマ等の獣害防止のため、誘引原因となる柿・栗の木を伐採する
- 補助内容:業者への委託費用の1/2を補助(上限なし)
- 対象者:辰口地区およびクマ目撃多発地域の「町会」
- 注意点:予算に限りあり。事業着手前の申請と、市への事前相談が必須
放置された果樹は、クマを人里に慣れさせてしまう危険な存在です。地域住民の安全を守るためにも、この補助金を活用して、危険の芽を摘み取ることが重要です。まずはご自身の町内で放置されている樹木がないか確認し、町会長や役員の方々と情報を共有することから始めてみましょう。そして、少しでも活用の可能性があるなら、すぐに能美市農林課へ相談してみてください。
お問い合わせ先
能美市 産業交流部 農林課
電話番号:0761-58-2256
ファクス:0761-58-2297