Beyond 5G 研究開発促進事業とは?
「Beyond 5G 研究開発促進事業」は、2030年代の社会・産業基盤の中核になると期待される次世代情報通信技術「Beyond 5G(6G)」の実現に向け、総務省が主導する国家的な研究開発支援プロジェクトです。5Gを遥かに超える超高速・大容量、超低遅延、超多数同時接続といった性能を実現し、日本の国際競争力を確保することを目的としています。
この事業は、単に研究開発を行う企業や大学を直接支援するだけでなく、研究開発プロジェクト全体を円滑に推進するための「執行団体(補助事業者)」を公募するという特徴的なスキームも採用しています。本記事では、過去に公募された執行団体向けの事業内容を解説するとともに、研究開発者向けの関連事業についてもご紹介します。
この記事のポイント
- Beyond 5G(6G)実現に向けた総務省の国家プロジェクトの概要がわかる。
- 研究開発を支援する「執行団体」向けの公募内容を詳しく解説。
- 研究開発を直接行う企業や大学向けの関連事業も紹介。
【公募終了】「Beyond 5G研究開発促進事業(執行団体)」公募の概要
ここでは、令和4年3月に公募が終了した「執行団体」向けの事業概要を解説します。これは、研究開発プロジェクトの管理・運営を担う専門機関を募集したものです。
事業名 | Beyond 5G 研究開発促進事業(一般型)に係る補助事業者 公募 |
実施機関 | 総務省 |
事業規模 | 200億円(20,000,000千円) |
公募期間 | 令和4年2月25日~令和4年3月18日 【公募終了】 |
対象者 | 独立行政法人、一般社団法人、一般財団法人等で、Beyond 5Gに関する高度な知見や事業遂行能力を有する組織(執行団体) |
補助率 | 定額 |
公募内容の詳細解説
事業の目的とスキーム
本事業の目的は、Beyond 5Gの実現に必要な要素技術を早期に確立し、デジタル時代における日本の国際競争力を確保することです。そのために、専門的な知見を持つ執行団体(補助事業者)を通じて、企業や大学等の研究開発を効率的かつ効果的に支援する体制を構築します。
採択された執行団体は、総務省との連携のもと、以下の業務を実施します。
- 研究開発課題の公募・採択評価
- 採択された研究開発事業の進捗管理
- 研究開発費(委託費・助成金)の確定・支払
- 成果(知的財産権等)の管理
- シンポジウム開催やWebサイト等を通じた情報発信
補助対象となる経費
補助の対象となる経費は、事業の実施に直接必要な費用に限定され、大きく2つに区分されます。
区分Ⅰ:Beyond 5G 研究開発促進事業費
企業や大学等への委託・助成に必要な経費です。
区分Ⅱ:業務管理運営費
事業の管理・運営に直接必要な事務経費です。
- 人件費
- 旅費、委員旅費・謝金
- 会議費(シンポジウム等含む)
- システム構築・運営費
- 広報費(Webサイト、パンフレット作成等)
- 検査費、その他必要な経費
応募資格
応募できるのは、以下の要件をすべて満たす法人に限られ、非常に高度な専門性が求められます。
- 独立行政法人、一般社団法人、または一般財団法人であること。
- 事業を円滑に遂行する経営基盤と資金管理能力を有すること。
- Beyond 5G等の最先端情報通信技術に関する知見を有すること。
- 研究開発計画の作成能力、外部評価の実施能力、知的財産権等の管理能力を有すること。
- 総務省等から補助金交付停止措置等を受けていないこと。
申請手続きとスケジュール
申請は電子申請システム「jGrants」を利用して行われました。
- GビズIDの取得: jGrantsの利用に必須となるGビズIDプライムアカウントを取得します。
- 応募書類の作成: 指定された様式(申請書、提案書等)や財務諸表などの必要書類を準備します。
- jGrantsで申請: 応募期間内にjGrantsを通じて電子申請を完了させます。
- 審査・採択: 提出書類に基づき審査が行われ、必要に応じてヒアリングが実施された後、補助事業者が決定されます。
申請時の注意点
- 応募期間は厳守であり、締切後の提出は一切受け付けられません。
- 提出資料に不備がある場合は審査対象外となるため、公募要領の熟読が必須です。
- 応募書類の作成費用は事業経費には含められません。
【研究者・開発者向け】Beyond 5G関連の研究開発支援事業
ここまで解説してきたのは「執行団体」向けの公募ですが、実際に研究開発を行う企業や大学を対象とした事業も、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)などを通じて活発に行われています。
NICTでは、Beyond 5Gの研究開発を促進するための基金を造成し、複数のプログラムで公募型研究開発を実施しています。こちらが、多くの研究開発者にとって直接的な支援となります。
主な研究開発プログラムの例
- Beyond 5G 機能実現型プログラム: Beyond 5Gに求められる中核的技術の研究開発を支援。
- Beyond 5G 国際共同研究型プログラム: 戦略的パートナーとの国際連携による先端技術の研究開発を支援。
- Beyond 5G シーズ創出プログラム: 革新的な技術シーズの創出を目指す研究開発を支援。
これらのプログラムは定期的に公募が行われる可能性があるため、研究開発に携わる方はNICTの公募情報を継続的にチェックすることが重要です。
まとめ:Beyond 5G時代の波に乗るために
Beyond 5G研究開発促進事業は、日本の未来を支える情報通信インフラを構築するための重要な国家プロジェクトです。本記事で解説した「執行団体」向けの公募は、その巨大プロジェクトを動かすための特殊なものでしたが、その背景には、数多くの企業や大学が参加する大規模な研究開発支援が存在します。
今後も同様の公募や、研究開発者向けの新たな支援事業が開始される可能性があります。最新情報を逃さず、次世代の技術開発をリードするチャンスを掴むために、関連機関の公式サイトを定期的に確認しましょう。