詳細情報
福島県郡山市で事業を営む小規模事業者の皆様へ朗報です。日本政策金融公庫の「マル経融資」を利用する際の金利負担を大幅に軽減できる「小規模事業者経営改善資金利子補給事業」をご存知でしょうか?この制度を活用すれば、年利1%相当の利子補給を受けられ、資金繰りの改善や新たな設備投資への後押しとなります。無担保・無保証人で最大2,000万円の融資が可能なマル経融資と組み合わせることで、事業成長の大きなチャンスが生まれます。この記事では、郡山市の利子補給制度の概要から、前提となるマル経融資の詳細、具体的な申請手順、採択されるためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。資金調達にお悩みの経営者様は必見です。
この制度のポイント
- 郡山市内の小規模事業者が対象
- 日本政策金融公庫のマル経融資の利用が前提
- 年利1%相当の利子(12ヶ月分)を郡山市が補給
- 申請は商工会・商工会議所を通じて行う
- 市税の完納が必須条件
制度の概要:郡山市の利子補給とマル経融資
本制度は、郡山市が独自に行う「利子補給事業」と、国の機関である日本政策金融公庫が提供する「マル経融資」の2つがセットになった支援策です。まずはそれぞれの役割と概要を理解することが重要です。
① 郡山市 小規模事業者経営改善資金利子補給事業
この事業は、郡山市が市内の小規模事業者の経営安定と成長を支援するために、マル経融資を受けた事業者の金利負担を軽減することを目的としています。事業者が日本政策金融公庫に支払った利子の一部を、後から郡山市が補給(補助)してくれる仕組みです。
| 郡山市 利子補給事業の概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 小規模事業者経営改善資金利子補給事業 |
| 実施組織 | 郡山市(農商工部 産業雇用政策課) |
| 目的 | マル経融資を利用する市内小規模事業者の金利負担を軽減し、経営改善を支援する。 |
| 対象融資 | 令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間に貸付実行された日本政策金融公庫の「経営改善貸付(マル経融資)」 |
② 日本政策金融公庫 マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
マル経融資は、商工会議所や商工会で経営指導を受けている小規模事業者向けの、無担保・無保証人で利用できる国の融資制度です。低金利で事業資金を調達できるため、多くの小規模事業者に活用されています。郡山市の利子補給を受けるには、まずこのマル経融資の審査に通過する必要があります。
| マル経融資の概要 | |
|---|---|
| 融資限度額 | 2,000万円 |
| 返済期間 | 運転資金:10年以内(据置2年以内) 設備資金:10年以内(据置2年以内) |
| 利率 | 特別利率F(金利は変動します。最新情報は日本政策金融公庫にご確認ください) |
| 担保・保証人 | 不要 |
| 推薦機関 | 商工会議所、商工会など |
利子補給額・計算例
郡山市から受けられる利子補給の額は、具体的で分かりやすいルールに基づいています。
補給額の計算方法
補助(利子補給)の額は、年利1%の割合で計算した利子の12ヶ月分を上限として支給されます。つまり、実際に支払う金利のうち、最大1%分を郡山市が肩代わりしてくれるイメージです。
【具体例】利子補給額のシミュレーション
仮に、マル経融資で1,000万円を借り入れ、適用金利が年2.0%だった場合を考えてみましょう。
- 年間の支払利子額(概算): 1,000万円 × 2.0% = 200,000円
- 郡山市からの利子補給額(上限): 1,000万円 × 1.0% = 100,000円
- 実質的な金利負担(概算): 200,000円 – 100,000円 = 100,000円(実質年利1.0%)
このように、金利負担が実質的に半分になる計算となり、経営へのインパクトは非常に大きいと言えます。
※実際の利子額は返済方式や残高によって変動します。あくまで目安としてお考えください。
対象者・条件
この制度を利用するためには、「郡山市の利子補給の条件」と「マル経融資の利用条件」の両方を満たす必要があります。
郡山市の利子補給の対象者要件
- 郡山市内に事業所を有する小規模事業者であること。
- 商工会または商工会議所の推薦により、マル経融資を利用した方。
- 納期が到来している市税等を完納していること。(市民税、固定資産税、軽自動車税、事業所税、入湯税、国民健康保険税)
- 令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間にマル経融資の貸付実行を受けていること。
マル経融資の対象者要件
- 常時使用する従業員数が、商業・サービス業は5人以下、製造業・その他は20人以下であること。
- 原則として、最近1年以上、郡山市内(商工会議所等の管内)で事業を営んでいること。
- 商工会議所・商工会の経営指導を原則6ヵ月以上受けていること。
- 所得税、法人税、事業税、住民税などの税金を完納していること。
- 日本政策金融公庫の融資対象業種であること。
補助対象経費(マル経融資の資金使途)
この制度は直接的な経費補助ではなく利子補給ですが、その元となるマル経融資で調達した資金は、事業に必要な幅広い経費に活用できます。
運転資金
事業を円滑に運営していくために必要な資金です。
- 商品の仕入れ、原材料の購入費用
- 買掛金や手形の決済資金
- 従業員への給与、賞与(ボーナス)の支払い
- 家賃、光熱費、通信費などの諸経費
- 外注費の支払い
設備資金
事業の成長や効率化のために行う設備投資に関する資金です。
- 店舗や工場の新築、増改築、改装費用
- 機械、装置、システムの導入費用
- 事業用車両(トラック、営業車など)の購入費用
- パソコン、ソフトウェア、POSレジなどのIT関連設備
- 陳列棚、厨房機器などの什器備品
申請方法・手順
申請は、マル経融資の申し込みから利子補給の申請まで、いくつかのステップを踏む必要があります。全体の流れを把握しておきましょう。
STEP 1: 商工会・商工会議所への相談
まずは、事業所所在地の商工会または郡山商工会議所に相談します。マル経融資の利用には経営指導を受けることが前提となるため、まだ会員でない場合は入会手続きから始めましょう。経営指導員に事業の状況や資金ニーズを相談し、マル経融資の利用についてアドバイスを受けます。
STEP 2: マル経融資の申込・推薦
経営指導員と相談の上、事業計画書や資金繰り表などを作成し、マル経融資の申込書類を準備します。商工会・商工会議所内で審査が行われ、推薦が決定すると、日本政策金融公庫へ申込書類が提出されます。
STEP 3: 日本政策金融公庫による審査・融資実行
日本政策金融公庫の担当者による面談や書類審査が行われます。審査に通過すると融資契約を結び、指定の口座に資金が振り込まれます。
STEP 4: 郡山市への利子補給申請
マル経融資の実行後、商工会・商工会議所を通じて郡山市へ利子補給の申請を行います。申請に必要な書類(申請書、納税証明書など)は商工会・商工会議所で入手・確認してください。市で審査が行われ、決定後に指定口座へ補給金が振り込まれます。
必要書類
主にマル経融資の申込時に多くの書類が必要となります。事前に準備を進めておくとスムーズです。
- 【マル経融資申込時】借入申込書
- 【マル経融資申込時】決算書・確定申告書(直近2~3期分)
- 【マル経融資申込時】事業計画書、資金計画書
- 【マル経融資申込時】見積書(設備資金の場合)
- 【マル経融資申込時】法人の場合は履歴事項全部証明書、個人の場合は本人確認書類
- 【利子補給申請時】郡山市小規模事業者経営改善資金利子補給金交付申請書
- 【利子補給申請時】市税の納税証明書
- 【利子補給申請時】融資実行が確認できる書類の写し(金銭消費貸借契約書など)
※必要書類は状況により異なる場合があります。必ず商工会・商工会議所にご確認ください。
採択のポイント
この制度を最大限活用するための鍵は、マル経融資の審査を通過することです。利子補給自体は要件を満たせば受けられますが、その前提となる融資のハードルを越える必要があります。
- 事業計画の具体性: 融資を何に使い、それがどう事業の改善や成長に繋がるのかを具体的かつ説得力のある計画書で示すことが重要です。売上や利益の予測も現実的な根拠に基づいて作成しましょう。
- 商工会・商工会議所との連携: 日頃から経営指導員に相談し、事業の状況を共有しておくことで、信頼関係が構築され、推薦や申込手続きがスムーズに進みます。
- 税金の完納: マル経融資、利子補給ともに税金の完納が絶対条件です。未納がある場合は、融資相談の前に必ず解消しておきましょう。
- 自己資金の準備: 設備投資などの場合、融資額だけでなく自己資金も一定額用意できていると、計画の実現性が高いと評価されやすくなります。
- 誠実な対応: 審査面談では、事業に対する熱意や課題に対する真摯な姿勢を伝えることが大切です。不明な点や不利な情報も隠さず正直に説明しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. すでにマル経融資を受けていますが、今から利子補給の対象になりますか?
A1. はい、対象になる可能性があります。令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間に貸付実行されたマル経融資が対象となりますので、この期間内に融資を受けていれば、郡山市の他の要件(市内事業者、市税完納など)を満たすことで申請が可能です。詳しくは商工会・商工会議所にご相談ください。
Q2. 利子補給はいつ、どのように受け取れますか?
A2. 通常、年に1回など定められた時期に申請を受け付け、審査後に指定の口座に振り込まれる形となります。申請時期や手続きの詳細は、管轄の商工会・商工会議所または郡山市産業雇用政策課にご確認ください。
Q3. 赤字決算が続いていますが、マル経融資は利用できますか?
A3. 赤字決算であることだけで一概に不可とはなりません。赤字の理由(先行投資など)が明確で、今後の改善計画に説得力があれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。経営指導員と協力し、実現可能な再建計画を立てることが重要です。
Q4. 創業したばかりでも利用できますか?
A4. マル経融資は原則として「最近1年以上、同一会議所の地区内で事業を行っている方」が対象のため、創業直後の利用は難しい場合があります。ただし、日本政策金融公庫には「新創業融資制度」など別の制度もありますので、まずは商工会・商工会議所に相談してみることをお勧めします。
Q5. 郡山市の他の補助金と併用は可能ですか?
A5. この制度は「利子」に対する補給であり、設備投資などの「経費」に対する補助金とは性質が異なります。そのため、例えば設備投資補助金とマル経融資(+利子補給)を組み合わせて活用することも考えられます。ただし、補助対象が重複しないかなど、併用する補助金の規定をよく確認する必要があります。不明な点は各制度の担当課にお問い合わせください。
まとめと行動喚起
郡山市の「小規模事業者経営改善資金利子補給事業」は、無担保・無保証人のマル経融資と組み合わせることで、市内小規模事業者の資金調達を強力にサポートする非常に有利な制度です。
- メリット: マル経融資の金利負担が年利1%分軽減され、実質的な借入コストを大幅に削減できる。
- 対象者: 郡山市内で事業を営み、市税を完納している小規模事業者。
- 重要なステップ: まずは商工会・商工会議所に相談し、経営指導を受け、マル経融資の推薦を得ることがスタートライン。
資金繰りの改善、新たな設備投資、事業拡大などを検討している郡山市の経営者の皆様は、この絶好の機会を逃さず、まずは最寄りの商工会または郡山商工会議所へ相談の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
【利子補給制度について】
郡山市 農商工部 産業雇用政策課
住所: 〒963-8601 福島県郡山市朝日一丁目23-7 本庁舎1階
電話番号: 024-924-2251
【マル経融資・申請手続きについて】
最寄りの商工会または郡山商工会議所