石川県金沢市では、物価高騰の影響を受ける市内中小企業の生産性向上と経営基盤強化を支援するため、「中小企業先端設備等導入促進事業」を実施しています。この制度は、市の「先端設備等導入計画」の認定を受けることで、最大200万円の補助金に加え、固定資産税の特例措置といった強力な支援を受けられる点が大きな魅力です。本記事では、この制度の概要から申請方法までをプロが徹底解説します。
制度の基本情報
まずは、補助金の基本情報を確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金上限額 | 200万円 |
補助率 | 1/3 (小規模企業者の場合は 1/2) |
申請期間 | 2025年9月18日 〜 2026年2月2日 |
対象者 | 金沢市内に事業所を有する中小企業者・小規模事業者・個人事業主 |
対象経費 | 設備購入費、ソフトウェア購入費など |
【最重要ポイント】
- この補助金を利用するには、まず金沢市から「先端設備等導入計画」の認定を受ける必要があります。
- 設備は計画の認定後に取得することが必須です。認定前の設備購入は対象外となるため、スケジュールに余裕を持った申請が不可欠です。
支援の2本柱:「補助金」と「税制優遇」
本制度の魅力は、直接的な経費補助と税制上の優遇措置を同時に受けられる点にあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 中小企業先端設備等導入促進事業(補助金)
「先端設備等導入計画」の認定を受けた事業者が、計画に沿って設備を導入する際の経費の一部を補助します。
補助対象経費の例
- 機械装置
- 測定工具及び検査工具
- 器具備品
- 建物附属設備
- ソフトウェア
2. 固定資産税の特例措置(税制優遇)
計画認定に基づき取得した一定の償却資産について、固定資産税の特例措置が適用されます。賃上げ方針を表明することで、さらに軽減率がアップします。
- メリット:新規取得設備の固定資産税が3年間、2分の1に軽減。
- 賃上げ表明時:要件に応じて、最大5年間、課税標準が4分の1に軽減される場合があります。
この他にも、信用保証協会による金融支援(別枠での追加保証など)も受けられる可能性があります。
対象となる中小企業者の範囲
本制度の対象となるのは、中小企業等経営強化法第2条第1項に規定される中小企業者です。主な業種と要件は以下の通りです。
業種分類 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|---|
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
※ゴム製品製造業、ソフトウェア業、旅館業など、一部業種では要件が異なります。詳細は金沢市の公式ページをご確認ください。
※固定資産税の特例措置は対象となる規模要件が上記と異なる場合があります。
申請から認定までの流れ
申請プロセスは複数のステップに分かれており、専門家の協力が不可欠です。計画的に進めましょう。
- 認定経営革新等支援機関への事前確認依頼
策定した「先端設備等導入計画」が要件を満たしているか、専門家(認定支援機関)に事前確認を依頼し、「事前確認書」を取得します。 - 金沢市 商工労働課への事前連絡
計画を提出する前に、必ず担当課(電話: 076-220-2193)へ連絡します。 - 金沢市へ申請書類をメールで提出
必要書類一式を揃え、指定のメールアドレス(syoukou@city.kanazawa.lg.jp)に送付します。 - 審査・認定書の交付
市で審査が行われ、認定されると郵送で「認定書」が交付されます。 - 設備の取得
認定書の交付後に、計画に記載した設備を取得します。 - 補助金申請・税務申告
設備の導入後、補助金の申請手続きや、固定資産税の特例を受けるための税務申告(償却資産申告)を行います。
まとめ
金沢市の「中小企業先端設備等導入促進事業」は、設備投資を検討している市内事業者にとって非常に価値の高い制度です。「先端設備等導入計画」の策定と認定が必要ですが、最大200万円の補助金と固定資産税の特例という二重のメリットは、投資負担を大幅に軽減します。生産性向上や経営基盤強化を目指す事業者の皆様は、ぜひこの機会に活用を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
金沢市 商工労働課
- 住所: 〒920-8577 金沢市広坂1丁目1番1号
- 電話番号: 076-220-2193
- ファックス番号: 076-260-7191