「トンネル内や病院で携帯電話が繋がらない…」そんな課題を解決するため、総務省は「無線システム普及支援事業費等補助金(電波遮へい対策事業)」を実施しています。この制度は、電波が届きにくい場所での移動通信用中継施設の整備を支援し、国民の利便性向上や災害時の通信確保を目指すものです。本記事では、この補助金の概要から対象施設、申請の流れまでを詳しく解説します。
この補助金のポイント
- 道路・鉄道トンネルや特定の医療施設が対象
- 移動通信用中継施設の設置費用の一部を補助
- 補助率は対象施設により1/3または1/2
- 災害時の通信インフラ確保にも貢献
無線システム普及支援事業費等補助金(電波遮へい対策事業)の概要
本事業は、道路トンネル、鉄道トンネル、特定の医療施設など、人工的な構造物によって電波が遮断される場所において、携帯電話などの移動通信を可能にするための中継施設(アンテナ、光ケーブル等)の整備費用を国が一部補助する制度です。事業主体は、移動通信基盤の整備を行う一般社団法人等が担います。
項目 | 内容 |
---|---|
事業主体 | 一般社団法人等(例:公益社団法人 移動通信基盤整備協会) |
補助対象経費 | 移動通信用中継施設(鉄塔、局舎、アンテナ、光ケーブル等)の設置費用 |
補助率 |
|
補助対象となるエリアと施設
この補助金の対象となるのは、主に以下の3つのエリア・施設です。
1. 道路トンネル
高速道路や国道などの道路トンネル内での通信環境を整備します。
2. 鉄道トンネル
新幹線や在来線の鉄道トンネル内での携帯電話利用を可能にします。
3. 医療施設
特に災害時の通信確保が重要となる医療施設が対象ですが、以下の要件を満たす必要があります。
支援対象となる医療施設の要件
- 基幹災害拠点病院または地域災害拠点病院であること
- 病床数が概ね300床以上であること
- その施設が所在する二次医療圏が「地方都市」または「過疎地域」であること
申請から整備までの流れ
事業は公募制で実施され、大まかな流れは以下の通りです。
- 公募情報の確認総務省のウェブサイトで公募要領が公開されます。
- 事業計画の策定・提案事業主体となる一般社団法人等が、整備計画を策定し、総務省に提案書を提出します。
- 審査・交付決定提出された提案内容が審査され、採択されると補助金の交付が決定されます。
- 事業実施交付決定後、事業主体は入札等により整備事業者を選定し、移動通信用中継施設の整備工事に着手します。
- 実績報告と補助金交付事業完了後、実績報告書を提出し、検査を経て補助金額が確定・交付されます。
過去の採択事例
これまで、全国の多くの施設で本事業が活用されています。以下は医療施設の採択事例の一部です。
- 伊勢崎市民病院(群馬県)
- 国民健康保険小松市民病院(石川県)
- 市立福知山市民病院(京都府)
- 松阪中央総合病院(三重県)
- 彦根市立病院(滋賀県)
まとめとお問い合わせ
「無線システム普及支援事業費等補助金(電波遮へい対策事業)」は、私たちの生活に不可欠な通信インフラを整備するための重要な制度です。トンネルや医療施設の管理者様、また関連事業者の皆様は、ぜひ本制度の活用をご検討ください。
公募は不定期に行われるため、最新情報は総務省の公式サイトで必ずご確認ください。
【本事業に関するお問い合わせ先】
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課
電話番号:03-5253-5905