福島県会津美里町で農業を始めたい・成長させたい方へ!豊富な補助金・助成金制度を徹底解説

福島県の西部に位置し、豊かな自然環境と肥沃な土壌に恵まれた会津美里町。稲作を中心に、高田梅や身不知柿、多種多様な野菜・果樹が栽培されるなど、農業が町の基幹産業となっています。しかし、全国的な課題である農業者の高齢化や後継者不足は、会津美里町も例外ではありません。町の高齢化率は41.28%(令和6年1月1日時点)に達し、耕作放棄地の増加や地域農業の活力低下が懸念されています。

このような状況を打開し、「元気と賑わいのある産業づくり」を実現するため、会津美里町では農業者を支援するための多様な補助金・助成金制度を用意しています。

この記事では、会津美里町が実施する主要な農業関連の支援事業を、町の公式資料である「事務事業事後評価シート」を基に、分かりやすく解説します。新規就農を目指す方から、経営規模の拡大や新たな取り組みに挑戦したい現役農家の方まで、ご自身の状況に合った支援策がきっと見つかるはずです。

この記事でわかること

  • 会津美里町で利用できる主要な農業補助金の種類と内容
  • 新規就農、農業機械の導入、耕作放棄地対策など目的別の支援策
  • 各事業の対象者、補助額の目安、問い合わせ先
  • 補助金を活用して農業経営を安定・発展させるヒント

【目的別】会津美里町の主要な農業支援事業(補助金・助成金)

会津美里町では、農業者が抱える様々な課題に対応するため、多岐にわたる支援事業を展開しています。ここでは、代表的な事業を目的別に紹介します。

1. 新規就農・担い手育成を目指す方へ

町の農業の未来を担う新しい人材を確保・育成するための、手厚い支援が特徴です。

新規就農者・担い手育成事業

目的:後継者不足を解決し、新規就農しやすい環境を整備することで、農業経営の安定化を図ります。

  • 対象者:認定新規就農者、親元就農者、農業研修生、研修受入農家など
  • 主な支援内容:
    • 新規就農者育成奨励金:就農時の初期投資や経営確立を支援します。(令和4年度実績:23名に対し総額1,100万円を交付)
    • 農業次世代人材投資事業:国の制度に基づき、経営開始を支援します。(令和4年度実績:4名に対し総額約1,287万円を交付)
    • 農業研修支援:就農前の研修期間中の生活費や、研修を受け入れる農家を支援します。
    • 移住就農者への住居支援:「産業活性化支援事業」として、移住して農業を始める方の定住をサポートします。
  • ポイント:就農前の研修段階から就農後の経営安定まで、一貫したサポート体制が整っています。令和6年度には新たに3名の青年等就農計画を認定するなど、積極的に担い手を支援しています。
  • 担当課:産業振興課 農政係

2. 生産性の向上・経営の安定化を図りたい方へ

スマート農業の導入や複合経営への挑戦を後押しし、儲かる農業の実現を支援します。

農業生産力強化支援事業

目的:農業機械の導入や新たな作物の作付けを支援し、生産活動の省力化と安定的な農業経営の確立を目指します。

  • 対象者:町内の農業者
  • 主な支援内容:
    • 農業機械導入支援:水稲生産だけでなく、農業機械全般の購入費用を補助します。ドローンなどのスマート農業技術の導入も支援対象です。
    • がんばる農業応援事業:水田を活用して土地利用型作物(麦、大豆など)や園芸作物を導入する取り組みを支援し、複合経営を推進します。(令和6年度実績:支援対象面積386ha、約1,300万円を交付)
    • 園芸作物種苗購入支援・園芸施設支援:園芸作物の新規作付や規模拡大を支援します。
    • 肥料高騰緊急対策事業:社会情勢の変化による生産資材の高騰に対し、緊急的な支援を実施します。(令和4年度実績:783経営体に対し約7,719万円を交付)
  • ポイント:農業機械全般が対象となる柔軟な補助制度や、時勢に合わせた緊急対策など、農家のニーズに寄り添った支援が魅力です。
  • 担当課:産業振興課 農政係

3. 農地の保全・有効活用に取り組みたい方へ

地域の宝である農地を守り、有効に活用するための事業です。

耕作放棄地対策事業

目的:増加傾向にある耕作放棄地の発生を防止し、解消を図ることで、農地の有効活用と集積・集約化を促進します。

  • 対象者:耕作放棄地を再生し、活用する農業者(担い手)など
  • 主な支援内容:再生利用が可能な遊休農地を再生するための経費(草刈り、抜根、整地など)を補助します。
  • 実績:令和4年度には約2.4ha、令和5年度には約2.5ha、令和6年度には約3.5haの耕作放棄地がこの事業によって再生されており、着実に成果を上げています。
  • ポイント:農地パトロールで状況を把握し、所有者の意向調査を行った上で、担い手とのマッチングまでサポートします。
  • 担当課:農業委員会 総務係

日本型直接支払制度事業

目的:地域の共同活動を支援し、農地や水路、農道などの地域資源を適切に保全管理することで、農業の多面的な機能の維持・発揮を図ります。

  • 対象者:農業者などで組織される活動組織
  • 主な支援内容:農地維持活動(水路の泥上げ、農道の草刈り等)、資源向上活動(景観形成、施設の長寿命化等)に対して交付金を交付します。中山間地域での農業生産活動を支える「中山間地域等直接支払」も含まれます。
  • 実績:令和6年度には、多面的機能支払で56組織、中山間地域等直接支払で5組織が活動しており、地域ぐるみでの農地保全が進められています。
  • 担当課:産業振興課 農政係

4. 鳥獣被害対策・環境保全に取り組みたい方へ

安心して営農できる環境づくりと、持続可能な農業の推進を支援します。

有害鳥獣防除事業

目的:イノシシやクマなどによる農作物被害を軽減するため、侵入防止対策や捕獲活動を支援します。

  • 対象者:農作物被害に悩む農業者、狩猟免許取得希望者など
  • 主な支援内容:
    • 侵入防止柵(電気柵など)の設置費用補助:(令和6年度実績:44件に対し約209万円を交付)
    • 狩猟免許の新規取得費用補助:(令和6年度実績:5件に対し約75万円を交付)
    • 鳥獣被害対策実施隊による捕獲活動
  • ポイント:個人での対策(電気柵)と地域での対策(捕獲、集落ぐるみでの対策)の両面から支援を行っています。
  • 担当課:産業振興課 森林環境対策室

環境保全型農業直接支払事業

目的:化学肥料・化学合成農薬の使用を低減する取り組みなど、環境保全に効果の高い営農活動を支援し、持続可能な農業を推進します。

  • 対象者:環境保全型農業に取り組む農業者の組織する団体など
  • 主な支援内容:化学肥料・農薬の5割以上低減の取り組みと合わせて行う、カバークロップ(緑肥)の作付けや有機農業などの活動に対し、面積に応じて交付金を交付します。
  • 実績:令和6年度には対象面積が16,221aに達し、環境に配慮した農業が広がっています。
  • 担当課:産業振興課 農政係

5. 6次産業化・販路拡大に挑戦したい方へ

農産物の付加価値を高め、農業所得の向上を目指す取り組みを支援します。

六次産業化支援事業

目的:農産物の生産(1次)だけでなく、加工(2次)、販売(3次)まで一体的に取り組む「6次産業化」を支援し、農業者の収益向上につなげます。

  • 対象者:6次産業化や販路拡大に取り組む農業者など
  • 主な支援内容:
    • 農産物加工機器の購入費用補助
    • 新商品開発、既存商品のリニューアル費用補助
    • マルシェや商談会への出店費用補助
  • ポイント:オンライン販売や首都圏でのPRイベントへの参加など、新たな販路開拓の挑戦を積極的にサポートします。
  • 担当課:産業振興課 農政係

補助金申請の一般的な流れと相談窓口

補助金の活用を検討する際の、一般的な流れは以下の通りです。

  1. 情報収集と相談:まずは町の担当課に相談し、自分の計画に合った補助金があるか、要件を満たしているかを確認します。
  2. 申請書類の準備:事業計画書や見積書など、必要な書類を準備します。計画書の作成が重要なポイントになります。
  3. 申請:定められた期間内に、担当窓口に書類を提出します。
  4. 審査・交付決定:提出された書類を基に審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。
  5. 事業の実施:交付決定後に、計画に沿って事業(機械の購入など)を開始します。※交付決定前の着手は補助対象外となる場合が多いので注意が必要です。
  6. 実績報告:事業が完了したら、領収書などを添えて実績報告書を提出します。
  7. 補助金の交付:実績報告書が承認されると、指定の口座に補助金が振り込まれます。

「どの補助金が使えるかわからない」「申請書の書き方が難しい」など、不明な点があれば、まずは気軽に下記の窓口にご相談ください。専門の職員が丁寧にサポートしてくれます。

ご相談・お問い合わせはこちら

会津美里町役場 産業振興課 / 農業委員会

電話番号: 0242-55-1122(代表)

会津美里町 公式ウェブサイト

まとめ:補助金を活用して、会津美里町の農業を盛り上げよう!

会津美里町では、農業者が直面する様々な課題に対し、きめ細やかな支援策を用意しています。これらの補助金・助成金は、町の税金や国・県からの交付金で賄われており、意欲ある農業者を応援するための貴重な財源です。

初期投資の負担軽減、経営の安定化、新たな挑戦への後押しなど、補助金を賢く活用することで、ご自身の農業経営をさらに発展させることが可能です。この記事で紹介した事業はあくまで一部です。まずは町の担当課に相談し、未来に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。