【令和6年度】建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業の公募開始!
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建物の省エネ性能向上は喫緊の課題です。環境省は、業務用建築物等のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を強力に推進するため、「令和6年度 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募を開始しました。この補助金は、新築・既存建築物のZEB化に必要な高性能設備等の導入費用を支援するもので、最大5億円という大規模な支援が特徴です。本記事では、この注目の補助金について、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この補助金の重要ポイント
- 公募期間: 令和6年6月3日(月) 〜 7月10日(水) 17時必着
- 補助上限額: 最大5億円(事業規模により3億円または5億円)
- 補助率: 最大2/3(建物の規模やZEBランクによる)
- 対象事業: 新築・既存の業務用建築物におけるZEB化
- 執行団体: 一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)
※本記事では、3つの事業メニューのうち「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」に焦点を当てて解説します。
補助金の概要と基本情報
本事業は、業務用建築物において年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロになるZEBの実現と普及を目的としています。省エネ性能の高いシステムや設備機器の導入にかかる費用の一部を支援することで、脱炭素社会への移行を加速させます。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金名 | 令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業)のうち「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」 |
公募期間 | 令和6年6月3日(月) 〜 7月10日(水) 17時必着 |
補助上限額 | 最大5億円 |
補助率 | 1/4, 1/3, 1/2, 2/3(条件により変動) |
対象者 | 民間企業、個人事業主、独立行政法人、地方公共団体(一部除く)、学校法人、医療法人など |
事業期間 | 原則、交付決定日〜令和7年1月31日(単年度事業の場合) ※最大3年度以内の複数年度事業も可能 |
申請前に確認すべき重要要件
本補助金は支援額が大きい分、申請要件も専門的です。主要なポイントをしっかり押さえましょう。
1. ZEBの定義と省エネ要件
申請する建築物が、以下のいずれかのZEB定義を満たす必要があります。省エネ(再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率)と創エネ(再生可能エネルギーを含む削減率)の両面から評価されます。
ZEBランク | 省エネによる削減率 (再エネを除く) |
創エネを含む削減率 (再エネを含む) |
---|---|---|
『ZEB』 | 50%以上 | 100%以上 |
Nearly ZEB | 50%以上 | 75%以上 100%未満 |
ZEB Ready | 50%以上 | 50%以上 75%未満 |
ZEB Oriented | 30%以上 or 40%以上 (用途による) |
― |
※ZEB Orientedは延べ面積10,000㎡以上の建築物等が対象です。
2. 対象となる建築物
対象は業務用建築物で、用途や面積に要件があります。
- 対象用途: 事務所、ホテル、病院、店舗、学校、飲食店、集会所など。
- 面積要件:
- 民間事業者等: 新築は10,000㎡未満、既存は2,000㎡未満。
- 地方公共団体: 面積要件なし。
- その他: 申請時点で実施設計が完了していること、耐震基準を満たすことなど。
3. 必須となる登録・認証
専門家の関与と第三者による性能評価が不可欠です。
- ZEBプランナーの関与: 設計や申請において、登録されたZEBプランナーが関与することが必須です。
- ZEBリーディング・オーナーへの登録: 建築主はZEBリーディング・オーナーへの登録が必須となります。
- BELS認証の取得: 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)でZEB評価の認証を取得する必要があります。
- BEMSの導入: エネルギー管理システム(BEMS)を導入し、エネルギー使用量を計測・分析・報告できる体制を整備する必要があります。
補助率・上限額と対象経費
補助率と上限額の詳細
補助率は、建物の「延べ面積」「新築/既存」「ZEBランク」の組み合わせで細かく設定されています。特に地方公共団体が所有する施設や、既存建築物の改修は手厚い支援が受けられます。
延べ面積 | 新築建築物 | 既存建築物 | ||
---|---|---|---|---|
ZEBランク | 補助率 (上限) | ZEBランク | 補助率 (上限) | |
2,000㎡未満 | 『ZEB』 | 1/2 | 『ZEB』 | 2/3 (上限3億円) |
Nearly ZEB | 1/3 | Nearly ZEB | ||
ZEB Ready | 対象外 | ZEB Ready | ||
2,000㎡以上 10,000㎡未満 |
『ZEB』 | 1/2 | 『ZEB』 | 2/3 (上限3億円) |
Nearly ZEB | 1/3 | Nearly ZEB | ||
ZEB Ready | 1/4 | ZEB Ready | ||
10,000㎡以上 (地方公共団体のみ対象) |
『ZEB』 | 1/2 | 『ZEB』 | 2/3 (上限5億円) |
Nearly ZEB | 1/3 | Nearly ZEB | ||
ZEB Ready | 1/4 | ZEB Ready | ||
ZEB Oriented | 1/4 | ZEB Oriented |
補助対象経費
ZEB化に直接必要な費用が補助対象となります。対象外の経費も明確に定められているため、見積もりの際には注意が必要です。
✔ 補助対象となる主な経費
- 設備費: 高効率空調、給湯器、換気設備、再生可能エネルギー設備、蓄電システム、BEMSなど
- 工事費: 設備導入に不可欠な搬入・据付、配管、電気、断熱工事など
- その他: BELS認証の取得費用、事務費など
✖ 補助対象とならない主な経費
- 既存設備の撤去・処分費
- 設計費、現場調査費
- 照明機器、昇降機設備
- 土地取得費、汎用的な什器・備品
- 申請手続きに係る経費
申請から受給までの流れ
申請プロセスは以下の通りです。特に、事業開始のタイミングには注意が必要です。
- 公募要領の確認・申請書類の準備: 執行団体のウェブサイトから書類をダウンロードし、ZEBプランナー等と連携して実施計画書や経費内訳を作成します。
- 申請書類の提出: 指定のメールアドレスに電子データを送付後、全ての書類を保存した電子媒体(CD-R等)を郵送します。(7月10日 17時必着)
- 審査・交付決定: 審査委員会による審査を経て、採択事業者に交付決定が通知されます。(8月上旬頃〜)
- 事業開始: 交付決定日以降に、工事契約や設備発注を行います。
- 事業完了・実績報告: 期限内(令和7年1月31日まで)に事業を完了させ、完了後30日以内に実績報告書を提出します。
- 確定検査・補助金支払い: 書類審査や現地調査を経て補助金額が確定し、請求後に補助金が支払われます。
【最重要】事業開始のタイミングに注意!
原則として、補助金の交付決定通知を受ける前に契約・発注した経費は補助対象外となります。公募期間中から準備を進めることは可能ですが、正式な契約・発注は必ず交付決定後に行ってください。
まとめと公募情報
「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」は、建物の脱炭素化を目指す事業者にとって非常に魅力的な補助金です。しかし、申請要件が専門的で複雑なため、ZEBプランナーなどの専門家と早期に連携し、計画的に準備を進めることが採択への鍵となります。
公募期間が短いため、関心のある方はすぐに情報収集を開始し、申請準備に取り掛かることをお勧めします。
公募情報・問い合わせ先
執行団体: 一般社団法人静岡県環境資源協会 支援センター
E-mail: zeb@siz-kankyou.or.jp
電話: 054-266-4161