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IT企業の地方進出が加速!その背景とメリットとは?
近年、働き方の多様化やリモートワークの普及に伴い、多くのIT企業が地方への拠点設立や本社移転に関心を寄せています。地方進出には、優秀な人材の確保、オフィス賃料や人件費などのコスト削減、そして地域経済への貢献といった多くのメリットがあります。このような動きを後押しするため、全国の自治体がIT企業(情報通信関連産業)を対象とした魅力的な助成金や補助金制度を用意しています。この記事では、IT企業の地方進出や事業拡大を強力にサポートする助成金・補助金制度について、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
情報通信関連産業向け助成金の共通点
自治体によって制度の名称や詳細は異なりますが、多くのIT企業向け助成金には共通する支援の柱があります。自社の事業計画に合わせて、どの支援が活用できるか確認しましょう。
- 設備投資支援:オフィス開設に必要な土地、建物、サーバー、PCなどの償却資産の取得費用の一部を補助します。
- 雇用促進支援:地域での新規雇用者数に応じて、1人あたり数十万円といった形で一定期間支援します。特に正規雇用への支援は手厚い傾向にあります。
- オフィス賃料支援:地方に新たに構えるオフィスの賃借料の一部を、数年間にわたって補助します。固定費の削減に直結するため、非常に人気の高い支援です。
- 事業運営支援:専用通信回線の使用料やクラウドサービスの利用料など、事業運営にかかる経費を支援するケースもあります。
【自治体別】IT企業向け助成金・補助金の具体例
ここでは、全国の自治体が提供する情報通信関連産業向けの助成金制度の具体例をいくつかご紹介します。これらの例を参考に、自社が検討している進出先の自治体にも同様の制度がないか調べてみましょう。
1. 大分県大分市「情報通信関連産業支援助成金」
大分市では、産業振興と雇用創出を目的として、ソフトウェア業やコールセンター、BPO業などを対象に手厚い支援を行っています。
| 支援内容 | 詳細 | 
|---|---|
| 設備投資支援 | 設備投資額の5%(限度額:2億8,000万円) | 
| 雇用促進支援 | 正規雇用従業員1人あたり50万円(3年間)など | 
| 事業運営支援 | オフィス賃借料の1/3(3年間)、通信回線使用料の1/2(3年間)など | 
特徴:設備投資から雇用、ランニングコストまで幅広く支援しており、特にBPOやコールセンターなど大規模な雇用を伴う事業に適しています。
2. 熊本県熊本市「情報通信関連産業支援」
熊本市では、ソフトウェア業やデザイン業、コールセンターなどを対象に、県の補助制度との併用も可能な支援策を講じています。
| 支援内容 | 詳細 | 
|---|---|
| 用地取得等補助金 | 土地取得費の10%や、賃料の1/2(6ヶ月分)など | 
| 設備投資補助金 | 投下固定資産取得額の5~10% | 
| 雇用促進補助金 | 正社員1人につき最大50万円/年(3年間適用) | 
特徴:新規雇用者1名につき最大50万円という雇用支援が魅力。県の制度と併用することで、さらに手厚いサポートが期待できます。
3. 宮城県「情報通信関連企業立地促進奨励金」
宮城県では、ソフトウェア開発拠点や本社機能、事務業務オフィス(BPOなど)の立地を促進するため、初期投資軽減を目的とした奨励金制度を設けています。
| 支援内容 | 詳細 | 
|---|---|
| 投下固定資産等奨励金 | 投下固定資産額の1/10、賃借料の1/3など(限度額あり) | 
| 雇用奨励金 | 新規雇用者1人につき30万円(県内新卒者は60万円)を3年間交付 | 
特徴:県内の教育機関を卒業した新卒者を採用した場合の奨励金が手厚く、若手人材の採用と育成を考えている企業にとって大きなメリットがあります。
申請の一般的な流れと注意点
これらの助成金を利用する際には、共通する手続きの流れと注意点があります。
- 事前相談:まずは自治体の担当窓口(企業誘致課など)に相談することから始まります。制度の概要や要件について詳しく確認しましょう。
- 事業計画書の提出:最も重要なポイントは、設備投資や契約を行う「前」に事業計画書を提出する必要があることです。事前の計画提出がない場合、助成の対象外となることがほとんどです。
- 指定申請・認定:事業計画が審査され、助成対象事業として指定(認定)されます。
- 事業開始:計画に沿って設備投資や雇用を行い、事業を開始します。
- 実績報告・交付申請:事業開始後、実績を報告し、助成金の交付を申請します。
- 助成金の交付:審査を経て、指定された口座に助成金が振り込まれます。
【共通の注意点】
- 税金の滞納がないこと:ほとんどの制度で、国税や地方税の滞納がないことが申請の条件となっています。
- 事業継続義務:助成金を受けた後、多くの場合で5年間程度の事業継続が求められます。期間内に事業を廃止すると、助成金の返還が必要になる場合があります。
- 雇用維持義務:雇用促進支援を受けた場合、一定期間、雇用者数を維持することが条件となる場合があります。
まとめ:助成金を活用して、IT事業の新たな可能性を切り拓こう
IT企業の地方進出は、コスト削減や人材確保だけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。全国の自治体は、情報通信関連産業の誘致に力を入れており、今回ご紹介した以外にも数多くの支援制度が存在します。自社の事業内容や将来のビジョンに合った進出先を見つけ、助成金・補助金制度を最大限に活用することで、事業拡大の大きな一歩を踏み出すことができるでしょう。まずは、関心のある自治体のウェブサイトを確認したり、企業誘致の担当窓口に問い合わせてみることをお勧めします。
