東京都のMICE支援事業とは?国際会議やイベント開催を強力にサポート
東京都および公益財団法人東京観光財団は、国内外から多くの人々が集まるMICE(マイス)の誘致・開催を積極的に推進しています。MICEは、企業等の会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会・イベント等(Exhibition/Event)の頭文字を取った造語で、高い経済波及効果や都市の魅力向上に繋がる重要な取り組みです。
特に、国際会議の開催は、最新の研究成果や技術が共有される場であると同時に、開催都市の国際的なプレゼンスを高める絶好の機会となります。しかし、その開催には多額の費用と専門的なノウハウが必要です。
そこで東京都では、主催者の負担を軽減し、東京でのMICE開催を促進するため、最大1億5,000万円という大規模な助成金をはじめ、多岐にわたる支援事業を展開しています。この記事では、2024年度(令和6年度)に利用可能な東京都の主要なMICE関連助成金・支援事業を網羅的に解説します。
【一覧】2024年度 東京都の主要MICE関連助成金・支援事業
東京都が提供する支援は多岐にわたります。ここでは、特に注目度の高い主要な事業をピックアップしてご紹介します。
| 事業名 | 助成上限額 | 助成率 | 主な対象経費 |
|---|---|---|---|
| 国際会議誘致・開催支援事業 | 誘致: 800万円 開催: 1億5,000万円 |
10/10 | 会場借上費、機材費、広報宣伝費など |
| ユニークベニュー利用促進事業 | 1,500万円 | 2/3 | 美術館や庭園等の会場借上費、設営費 |
| ハイブリッド型会議等開催資金助成 | 600万円 | 10/10 | 会議の一部オンライン化に要する経費 |
| 次世代型MICE開催資金助成 | 3,000万円 | 10/10 | 先端テクノロジーの導入経費 |
| 環境配慮型MICE開催資金助成 | 700万円 | 10/10 | サステナビリティに配慮した取組経費 |
| 多摩地域におけるMICE誘致促進事業 | 600万円 | 10/10 | 参加者用貸切バスの運営費用など |
| 島しょ地域におけるMICE誘致促進事業 | 誘致: 500万円 開催: 1,500万円 |
10/10 | 会場借上費、島内輸送費など |
この他にも、報奨旅行の支援、展示会の国際化支援、MICEプロフェッショナル人材育成など、様々な角度からMICE開催をサポートする制度が用意されています。
【最大1.5億円】国際会議誘致・開催支援事業の詳細
最も規模の大きい「国際会議誘致・開催支援事業」について、詳しく見ていきましょう。この事業は、東京への国際会議の誘致活動と、東京での開催そのものを支援する2本柱で構成されています。
助成金の種類と金額
- 国際会議誘致資金助成
- 助成限度額: 最大800万円
- 助成率: 10/10
- 対象経費: 東京への誘致活動に要する経費(広報宣伝費、渡航費、印刷製本費など)
- 国際会議開催資金助成
- 助成上限額: 最大1億5,000万円
- 助成率: 10/10
- 対象経費: 東京での開催に要する経費(会場借上費、機材費、海外講演者の招聘経費など)
助成上限額は、現地の総参加者数に応じて変動します。例えば、開催資金助成の場合、参加者6,000人以上で1億5,000万円、50人以上500人未満で500万円となります。さらに、ハイブリッド形式で開催する場合は、別途最大600万円が上乗せされる可能性があります。
申請期間と方法
申請期間は助成金の種類によって異なります。特に開催資金助成は年4回に分けて公募・審査が行われるため、計画的な準備が必要です。
- 誘致資金助成: 令和6年4月5日(金)~ 令和7年2月28日(金)
- 開催資金助成:
- 第1回締切: 令和6年5月31日(金)
- 第2回締切: 令和6年8月30日(金)
- 第3回締切: 令和6年11月29日(金)
- 第4回締切: 令和7年2月28日(金)
申請は、所定の申請書に必要書類を添えて、公益財団法人東京観光財団コンベンション事業部へ提出します。詳細は公式サイトで必ず確認してください。
国の支援制度も活用しよう!JNTOの無償支援サービス
東京都の助成金に加えて、国(日本政府観光局:JNTO)も国際会議の誘致・開催を無償で支援しています。資金的な助成とは異なりますが、専門的なノウハウやネットワークを活用できる強力なサポートです。
JNTOの主な支援サービス
- 開催都市選定のお手伝い: 日本全国の都市の特徴や施設、支援メニューを紹介。
- ビッドペーパー作成支援: 競合国分析を踏まえたコンサルティングや、招請状(サポートレター)発行の手配。
- ロビー活動支援: 開催地決定権者(キーパーソン)の日本への招請や、JNTO海外事務所を通じたロビー活動をサポート。
- 誘致プレゼンテーション支援: 英語ネイティブの専門家によるプレゼン指導。
- 寄附金募集のお手伝い: 寄付者が税制上の優遇措置を受けられる制度を活用し、資金集めをサポート。
支援を受けるための基本条件
JNTOの支援を受けるには、以下のICCA(国際会議協会)基準を満たす会議であることが基本条件となります。
- 参加者数: 50名以上
- 開催頻度: 定期的に開催されていること
- 開催地: 3カ国以上でローテーションがあること
- 主催者: 国際機関・国際団体(各国支部含む)であること
大学関係者必見!国際会議開催のトレンド
観光庁の報告書によると、日本の国際会議開催件数の多くを大学が占めており、大学や研究者が主催者となるケースが非常に重要視されています。しかし、研究者の本来業務ではない会議運営の負担が大きいことが課題となっています。
東京都やJNTOの支援は、こうした研究者の負担を軽減し、国際的な学術交流を促進するためのものです。特に、若手研究者が主体となって企画・運営するシンポジウムや、国内会議を国際化する取り組みは、将来の大型国際会議の誘致・開催に繋がる重要なステップとして注目されています。
まとめ
東京で国際会議や大規模イベントを成功させるためには、多額の資金と専門的な準備が不可欠です。東京都では、最大1億5,000万円の開催資金助成をはじめ、ユニークベニューの活用、ハイブリッド開催、環境配慮など、現代のニーズに合わせた多様な支援制度を用意しています。
これらの助成金と、JNTOが提供する専門的なノウハウ支援を組み合わせることで、主催者の負担を大幅に軽減し、より魅力的で質の高いMICEを実現することが可能です。まずは公式サイトで詳細な要件を確認し、計画の早い段階で相談窓口に問い合わせてみることをお勧めします。