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建設業界の事業主様へ。人材不足や若手・女性の定着、従業員のスキルアップにお悩みではありませんか?厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」は、そんな課題解決を力強くサポートする制度です。この記事では、複雑な助成金制度を分かりやすく解き明かし、どのコースが自社に合うのか、どうすれば申請できるのかを徹底解説します。
建設事業主等に対する助成金とは?
「建設事業主等に対する助成金」は、建設業界における労働者の雇用環境改善や技能向上を目的とした国の支援制度です。建設事業主やその団体が、人材確保や定着、生産性向上のための取り組みを行った場合に、経費や賃金の一部が助成されます。深刻化する人手不足や高齢化に対応し、若者や女性にとって魅力的な職場環境を創出することを後押しします。
助成金の主な目的
- 雇用環境の改善: 若年者や女性が入職・定着しやすい魅力的な職場づくりを支援します。
- 技能の向上: 建設労働者のキャリアアップに応じた技能実習や認定訓練の実施を支援します。
- 人材確保の促進: トライアル雇用や宿舎整備などを通じて、新たな人材の確保を支援します。
【目的別】助成金コース一覧
この助成金は、大きく3つの制度に分かれており、それぞれに複数のコースが設けられています。自社の目的に合わせて最適なコースを選びましょう。
1. トライアル雇用助成金
経験の少ない若年者や女性を試行的に雇用する際に活用できます。
- 若年・女性建設労働者トライアルコース: 35歳未満の若者や女性を技能労働者として試行雇用する場合に、通常のトライアル雇用助成金に上乗せして助成されます。
2. 人材確保等支援助成金
人材の確保・定着を目的とした職場環境の整備に関する取り組みを支援します。
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース: 現場見学会の開催や、雇用管理研修の実施など、若者・女性の入職や定着を図る事業の経費を助成します。
- 作業員宿舎等設置助成コース: 女性専用の作業員施設(更衣室、トイレ等)を賃借した場合や、特定の地域(石川県、岩手県、宮城県、福島県)で作業員宿舎等を整備した場合の費用を助成します。
- 建設キャリアアップシステム等活用促進コース: CCUSを活用して技能者の処遇改善(賃金5%以上増など)を行った中小建設事業主や、CCUS登録費用を補助した事業主団体に助成します。
3. 人材開発支援助成金
従業員の職業能力開発を促進するための訓練実施を支援します。
- 建設労働者認定訓練コース: 都道府県知事の認定を受けた職業訓練(認定訓練)を実施または受講させた場合に、経費や訓練期間中の賃金の一部を助成します。
- 建設労働者技能実習コース: 建設労働者の技能向上のために、法令で定められた技能実習(玉掛け、クレーン運転など)を有給で受講させた場合に、経費や賃金の一部を助成します。
助成額の例
助成額はコースや事業主の規模、賃上げの有無などによって異なります。ここでは代表的な例をご紹介します。
| コース名 | 助成内容(中小建設事業主の例) |
|---|---|
| 若年・女性建設労働者トライアルコース | 1人あたり月額最大4万円 × 最大3か月 |
| 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース | 対象経費の3/5(賃金要件を満たすと3/4に増額) |
| 作業員宿舎等設置助成コース(女性専用施設) | 対象経費の3/5(賃金要件を満たすと3/4に増額) |
| 建設労働者技能実習コース | 経費助成: 対象経費の3/4(20人以下)など 賃金助成: 1人1日あたり8,550円など |
※上記は一例です。詳細な要件や最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
申請手続きの基本的な流れ
多くのコースでは、事業を開始する前に「計画届」を提出し、事業終了後に「支給申請」を行うという2段階の手続きが必要です。
- 計画届の提出: 事業開始の原則1週間~2か月前までに、管轄の都道府県労働局へ必要書類を提出します。(計画届が不要なコースもあります)
- 計画の実施: 認定された計画に沿って、研修や施設の設置などの取り組みを実施します。
- 支給申請: 事業終了後、定められた期間内(例: 終了日の翌日から2か月以内など)に、実績報告書や経費の領収書などを添えて支給申請書を提出します。
- 審査・支給決定: 労働局での審査を経て、助成金の支給が決定され、指定口座に振り込まれます。
申請時の注意点
- 申請期限の厳守: 計画届・支給申請ともに提出期限が厳格に定められています。1日でも遅れると受理されないため、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。
- 不正受給は厳禁: 虚偽の申請などによる不正受給が発覚した場合、助成金の返還はもちろん、延滞金や違約金の加算、事業者名の公表、刑事告発といった厳しいペナルティが科されます。
- 書類の保管義務: 申請に関連する書類(賃金台帳、領収書、出勤簿など)は、支給決定日から5年間の保管が義務付けられています。
- 賃金の支払い: 訓練などを従業員に受講させる場合、それは業務命令にあたるため、所定の賃金を支払う必要があります。賃金の支払いが確認できないと助成金は支給されません。
まとめ
「建設事業主等に対する助成金」は、建設業界が抱える課題を克服し、持続的に成長していくための強力なツールです。若手や女性の活躍推進、従業員のスキルアップ、職場環境の改善など、様々な取り組みに活用できます。自社の経営戦略と照らし合わせ、最適なコースを見つけてぜひ活用を検討してみてください。不明な点があれば、まずは管轄の都道府県労働局に相談することをおすすめします。
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