詳細情報
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、事業規模の縮小などで離職を余儀なくされる労働者の再就職を支援する事業主を応援する制度です。この助成金を活用することで、職業紹介事業者への委託費用や訓練費用の一部が助成され、企業の負担を軽減しながら、従業員の円滑な再就職をサポートできます。人材の流動化を促進し、社会全体の雇用安定に貢献できる魅力的な助成金です。
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の概要
早期再就職支援等助成金は、労働者の早期再就職を支援するための助成金制度です。令和6年4月1日に名称が変更され、以前の労働移動支援助成金から、より具体的な支援内容を示す名称となりました。事業主が離職者の再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇を付与したり、再就職のための訓練を実施した場合に助成金が支給されます。
- 正式名称: 早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)
- 実施組織: 厚生労働省
- 目的・背景: 事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者の再就職支援
- 対象者: 事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者を支援する事業主
助成金額・補助率
助成金額は、支援内容や事業規模によって異なります。以下に主な助成内容と助成額・補助率を示します。
| 支援内容 | 中小企業事業主 | 中小企業事業主以外 |
|---|---|---|
| 再就職支援委託費用 | 委託費用の1/2(45歳以上は2/3) | 委託費用の1/4(45歳以上は1/3) |
| 訓練加算 | 訓練委託費用の2/3(上限15万円~50万円) | 訓練委託費用の2/3(上限10万円~30万円) |
| グループワーク加算 | 3回以上実施で1万円 | 3回以上実施で1万円 |
| 休暇付与支援 | 1日あたり8,000円(上限180日) | 1日あたり5,000円(上限180日) |
| 早期再就職加算 | 1人につき10万円(離職後1ヶ月以内の再就職) | 1人につき10万円(離職後1ヶ月以内の再就職) |
| 職業訓練実施支援 | 訓練委託費用の3/4(上限15万円~50万円)+ 賃金助成960円/時間 | 訓練委託費用の3/4(上限10万円~30万円)+ 賃金助成480円/時間 |
計算例: 中小企業が45歳以上の離職者に対して、再就職支援を委託し、委託費用が100万円だった場合、助成金額は100万円 × 2/3 = 約66.7万円となります。さらに、訓練を実施した場合、訓練委託費用の2/3が加算されます。
対象者・条件
この助成金を受けられる事業主は、以下の要件を満たす必要があります。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けていること、または求職活動支援基本計画書を作成し、都道府県労働局に提出していること
- 離職する労働者の再就職支援を職業紹介事業者に委託していること、または求職活動のための休暇を付与していること、または再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託して実施していること
- 再就職支援の対象となる労働者が、以下の条件を満たしていること
- 「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であること
- 申請事業主に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として継続して雇用された期間が1年以上であること
- 申請事業主の事業所へ復帰の見込みがないこと
具体例:
- A社は、事業縮小のため、従業員Bさん(勤続5年)を解雇することになりました。A社はBさんの再就職を支援するため、職業紹介事業者に委託し、Bさんの再就職が実現しました。この場合、A社は早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)を申請できます。
- C社は、従業員Dさん(48歳、勤続3年)の再就職を支援するため、求職活動のための有給休暇を付与しました。Dさんは休暇中に積極的に求職活動を行い、1ヶ月以内に再就職が決定しました。この場合、C社は早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)を申請できます。
補助対象経費
補助対象となる経費は、以下の通りです。
- 職業紹介事業者への委託費用
- 教育訓練施設等への委託費用
- 求職活動のための休暇中の賃金
対象外経費: 職業紹介事業者や教育訓練施設等への委託費用であっても、事業主と密接な関係がある事業者への委託費用は対象外となる場合があります。
申請方法・手順
申請は以下の手順で行います。
- 再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受ける、もしくは求職活動支援基本計画書を作成し、都道府県労働局に提出する。
- 再就職支援の実施(職業紹介事業者への委託、求職活動のための休暇付与、再就職のための訓練実施など)
- 支給申請書の作成・提出
必要書類:
- 支給申請書
- 再就職援助計画または求職活動支援基本計画書
- 職業紹介事業者との委託契約書(再就職支援を委託した場合)
- 教育訓練施設等との委託契約書(訓練を実施した場合)
- 対象労働者の雇用保険被保険者証の写し
- その他、必要に応じて書類の提出が求められる場合があります。
申請期限: 支給対象者の再就職日の翌日から起算して2ヶ月以内
申請方法: 郵送または窓口
採択のポイント
採択のポイントは、以下の点が挙げられます。
- 再就職支援計画の内容が具体的かつ効果的であること
- 対象労働者の再就職支援に積極的に取り組んでいること
- 申請書類に不備がないこと
審査基準: 審査では、再就職支援計画の内容、対象労働者の状況、事業主の取り組みなどが総合的に評価されます。
採択率: 早期再就職支援等助成金の採択率は、年度や地域によって異なりますが、一般的には比較的高い傾向にあります。
よくある質問(FAQ)
- Q: 休暇付与支援のみ実施でも助成金の利用は可能ですか?
A: はい、可能です。求職活動のための休暇付与や職業訓練を実施する場合のみでも、再就職支援コースの申請が可能です。
- Q: 無料職業紹介事業者を含めることは可能ですか?
A: いいえ、無料職業紹介事業者を含めることはできません。有料職業紹介事業者を複数選定する必要があります。
- Q: 最後の支給対象者の助成対象期限まで相当期間があるため、現時点で就職が実現した方について先んじて支給申請をすることは可能ですか?
A: いいえ、複数の対象者がいる場合、原則として最後の支給対象者の助成対象期限が経過してから申請する必要があります。ただし、助成対象期限までに支給対象者が全員再就職を実現したときや、最後の支給対象者の助成対象期限よりも前に法人の解散が見込まれるときなどは、例外的に申請が可能な場合があります。
- Q: 再就職援助計画対象者かどうかはどのように確認すればよいですか?
A: 求職者本人が「再就職援助計画」または「求職活動支援書」を保有しているかを確認しましょう。もし本人が書類を紛失した場合、本人が離職した事業所を管轄するハローワークの求人窓口に問い合わせれば、対象者かどうか確認可能です。ハローワーク以外の職業紹介事業者で採用した場合は、紹介をした職業紹介事業者に問い合わせて確認しましょう。
- Q: 早期雇入れ支援コース:正社員として雇い入れる場合のみ対象ですか
A: 正社員に限らず、雇用保険の被保険者となる労働条件で、かつ無期雇用で雇用する場合は正社員以外でも支給対象となります。
まとめ・行動喚起
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、事業主が離職者の再就職を支援する際に活用できる助成金です。職業紹介事業者への委託費用や訓練費用の一部が助成されるため、企業の負担を軽減しながら、従業員の円滑な再就職をサポートできます。ぜひこの助成金を活用し、従業員の再就職支援に取り組んでみてください。
次のアクション: 申請を検討される場合は、厚生労働省の公式サイトで詳細を確認し、最寄りの労働局またはハローワークにお問い合わせください。
問い合わせ先: 最寄りの労働局またはハローワーク