新型コロナウイルスの影響で、私たちの働き方や暮らしに対する価値観は大きく変化しました。特に地方への関心が高まり、テレワークの普及は、新たな人の流れを生み出す大きなチャンスとなっています。この記事では、国の地方創生戦略の核となる「まち・ひと・しごと創生基本方針」に基づいた各種交付金や支援策を、専門家が分かりやすく解説します。

まち・ひと・しごと創生基本方針とは？

「まち・ひと・しごと創生基本方針」は、人口減少や東京一極集中といった課題に対応し、持続可能で魅力的な地域社会を実現するための国の総合的な戦略です。特に「基本方針2021」では、コロナ禍で生まれた変化を捉え、地方創生をさらに加速させるための新たな視点が盛り込まれました。

地方創生を加速する「3つの重点視点」

この基本方針では、地方創生の取り組みをバージョンアップさせるため、新たに「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」の3つの視点が重点に据えられています。これらの視点に基づいた事業は、各種交付金で手厚く支援される傾向にあります。

👥 ヒューマン：新たな人の流れを創出

地方への移住や関係人口の創出を強力に推進します。「転職なき移住」を可能にするテレワークの推進や、子育て世帯の移住支援が大きな柱です。

• 地方創生テレワーク：サテライトオフィスの整備・利用を促進。
• 企業の地方移転促進：地方拠点強化税制などで税制優遇。
• 人材支援の充実：企業版ふるさと納税（人材派遣型）やプロフェッショナル人材事業で外部人材を確保。
• 関係人口の創出・拡大：都市と地域をつなぐ民間組織を支援。

💻 デジタル：DXで地域課題を解決

デジタル技術を活用し、地理的・時間的な制約なく質の高いサービスを提供できる社会を目指します。情報通信インフラの整備が基盤となります。

• 情報通信基盤の整備：5G基地局や光ファイバの整備を加速。
• デジタル人材支援：民間の専門家を市町村へ派遣。
• 各分野でのDX推進：スマート農業、遠隔医療、GIGAスクール構想などを実装。
• スーパーシティ/スマートシティ：分野横断的な課題解決を支援。

🌿 グリーン：脱炭素で持続可能な地域へ

地域の資源を活用した再生可能エネルギーの導入などを通じ、「地方創生と脱炭素の好循環」を実現します。地方創生SDGsの推進も重要な要素です。

• 再生可能エネルギーの導入：木質バイオマスや洋上風力発電などを推進。
• グリーン分野の人材支援：専門家派遣によるノウハウ定着。
• 地方創生SDGsの推進：脱炭素の視点を重視した「SDGs未来都市」の選定。
• 農林水産・国土交通分野での取組：エネルギーの地産地消やMaaSの実装を推進。

【具体例】注目の交付金・支援制度

これらの基本方針に基づき、様々な交付金や支援制度が展開されています。ここでは代表的なものを紹介します。

申請に向けた基本ステップ

地方創生関連の支援策を活用するための一般的な流れは以下の通りです。

1. Step 1: 情報収集と方針の理解
   まずは国の「まち・ひと・しごと創生基本方針」や、事業を展開したい自治体の「地方版総合戦略」を読み込み、方向性を確認します。
2. Step 2: 自治体への事前相談
   事業計画の骨子をまとめ、自治体の担当部署に相談します。地域のニーズと合致しているか、どの交付金が最適かなど、アドバイスを得ましょう。
3. Step 3: 事業計画の策定
   相談内容を踏まえ、具体的で実現可能性の高い事業計画書を作成します。KPI（重要業績評価指標）の設定が求められることが多いです。
4. Step 4: 公募への申請
   自治体の公募開始後、期間内に必要書類を提出します。電子申請が主流になりつつあります。
5. Step 5: 審査・採択・事業実施
   審査を経て採択されれば、交付決定通知が届きます。計画に沿って事業を実施し、完了後は実績報告を行います。

まとめ：地方創生は新たなビジネスチャンスの宝庫

「まち・ひと・しごと創生」は、国と地方が一体となって推進する大きなプロジェクトです。自社の強みを活かして地域の課題解決に貢献することは、社会貢献だけでなく、新たな市場を開拓し、持続的な成長を遂げる絶好の機会と言えます。今回ご紹介した交付金や支援策をきっかけに、ぜひ地方創生への参画を検討してみてはいかがでしょうか。